55.パーティーで【施設】、買占めに成功、そして実際の商品調達
55話目です。
ではどうぞ。
[施設 万屋:○○コンビニ]
①【剣術】:200Isekai ……販売中
②【筋力上昇】:200Isekai ……販売中
③成長の種(小):100Isekai ……販売中
④成長の種(小):100Isekai ……販売中
⑤魔隷の首輪(下):300Isekai ……販売中
⑥魔隷の首輪(下):300Isekai ……販売中
「あっ、スキルが売ってる」
「わぁ~。本当、色んなのが売ってますねぇ……」
久代さんや来宮さんとともに、【施設】の内容を見ていく。
どうやらパソコン教室やドラッグストアと同様、商店タイプの【施設】のようだ。
“万屋”というだけあって、スキルもありアイテムもあり。
統一性はなく、何でも売っているという感じだった。
「ちゃんとどれも販売中ですね。……どうしましょうか、私、手持ちのお金で購入できますけど」
来宮さんの確認は要するに、誰が先に購入したいものを選ぶか、ということだろう。
あるいはそもそも、ここで購入すべきかどうかを純粋に相談しているという風にも取れた。
「私も一つは購入してみたいかな。順番は来宮さんの後で良いけど。……滝深君はどうする?」
俺はどうしようかな……。
12時のイベントに向けて、できるだけ貯蓄したい気もする。
だが買い占められれば、ジョブ【施設の王】の効果が得られるから買いたい気も――あっ。
<“施設の王”:称号。所有しているだけで効果がある。買占めに成功した施設の特典に、“効果2倍 確定”が追加される>
称号の効果を、特にその文言を注意深く読み直し、とある可能性を思い付く。
「……ちょっと試したいことがあるから購入はする。でも最後、残った奴でいい」
世界的にも有名な某RPGの御三家選択の時みたく。
でも俺は最後に残った1体を選ぶという、優しいライバルポジションで行くことに。
「あっ、そうなんですか? じゃあすいません、遠慮なく。……【剣術】スキル、いただきますね」
「それじゃあ私は【筋力上昇】をもらうね」
ただ来宮さんと久代さんは1つずつ、スキルを選ぶようだ。
なので実質、アイテムの残り4つを購入することになった。
「久代さんは【筋力上昇】か……」
何気なく思ったことが口に出ていた。
【パーティー】機能でパーティーメンバーから受けられる恩恵も確か、久代さんは“筋力+”だったはず。
……久代さんは、筋力モリモリガールでも目指してらっしゃるのかな?
「おい」
ヒィッ!
ドスの効いた声!?
上がったばかりのご自慢“筋力”で捻り潰される!?
「な、なな何でしょう……」
「滝深君のその動揺具合が物語りまくってる。……良いでしょうに。私が“筋力”の能力値を上げようと、別に」
久代さんは恥ずかし気に、だがそれを何とか覆い隠そうとするかのように、ジト目でこちらを睨みつけてきた。
やめて!
そのクールな美貌で、凄くギャップある可愛い仕草!
ボッチの心の壁の防御力が1段階下がっちゃうから!
本当、何故心を読まれたのだ。
アトリと言い、久代さんと言い。
来宮さん以外にも、プレイヤースキルで【読心術】持ってる女子が多すぎるだろう……。
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[施設 万屋:○○コンビニ]
①【剣術】:200Isekai ……売却済み Spring Nuts
②【筋力上昇】:200Isekai ……売却済み CLEAR CASTLE
③成長の種(小):100Isekai ……売却済み TOKI
④成長の種(小):100Isekai ……売却済み TOKI
⑤魔隷の首輪(下):300Isekai ……売却済み TOKI
⑥魔隷の首輪(下):300Isekai ……売却済み TOKI
結局③~⑥は俺が買うことにした。
800Isekaiを使ったため、手持ちは2672Isekaiとなる。
12時までに4000Isekaiが一応の貯金目安なため、正直な所、結構使っちゃった感は否めない。
だがそれを踏まえても、確認しておきたいことがあった。
もちろん純粋に③~⑥のアイテムを欲しいとも思ったが、やはりある一点について確かめておきたいという気持ちが大きい。
「さて、どうなるか――」
今回は購入の際、パソコン教室のような事前の通知がなかった。
実際自信はないが、行けるという気持ちもあるには――
<――おめでとうございます! 一つの【施設】の商品を買い占めることに成功しました!>
<新たなメールを受信しました。新着メール:1件>
――うぉっ!?
「あれっ!? またメールが……」
「えっ、“一つの【施設】の商品を買い占めることに成功しました!”ってあるけど……私、一つしか買ってないですよ!?」
久代さんと来宮さんにも同じタイミングでメールが届いたようだ。
やっぱり……!
自分が想像・推測した通りに事が起こった、そのことへの興奮がジワジワと内から湧いてくる。
気分が高揚するままに、早速メールを開封した。
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16 差出人:【異世界ゲーム】運営
件名:ワールドクエスト“一番最初にパーティーで【施設】の商品買占め”のクリア報酬贈呈
おめでとうございます。
【異世界ゲーム】開始後、一番最初にパーティーで【施設】の商品を買い占められました。
クエストのクリア報酬を贈呈します。
ゲームでの生き残りにご活用ください。
報酬:
【パーティー共用 施設利用カード1500Isekai分】 ■
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「わっ――……またカード?」
「えっと、皆同じカード、ですかね?」
3人全員に、同じ見た目のカードが出現した。
【施設利用カード】は2度ゲットし、そして利用したことがある。
なので、そのこと自体に驚きは然程なかった。
ただ“パーティー共用”との限定がかかっている。
やはり“パーティーで買占め”のクエストを達成したからだろう。
<【パーティー共用 施設利用カード1500Isekai分】:
アイテム。施設でのみ利用可能。
パーティー内で合わせて1500Isekai分だけ、このカードで支払いを代替できる>
つまり3人で均等に500Isekaiずつとか。
あるいはAさんが1000、B・Cさんは250ずつとか。
そんな感じで、1500の配分はパーティー内で話し合って決めろということだろう。
「……凄いね。お金を使ったらまたお金と同等のアイテムがもらえたってことでしょう?」
「まあ、2/3は滝深さんが払ったわけですけどね。……それでもこんなの貰えるなんて、凄すぎますよ」
もちろん【施設利用カード】もありがたいが、それだけで終わっていてはいけない。
「あの~久代さん、来宮さん。購入した【筋力上昇】と【剣術】のスキル。レベルは、どうなってた?」
「えっ? スキルのレベル? えーっと――あっ。【筋力上昇Lv.2】だ」
「嘘ッ!? ――あっ、私も! “【剣術Lv.1】”じゃなくて、“【剣術Lv.2】”です!」
――つまり、称号【施設の王】の効果が、“パーティー買占め”の場合にも及んだのだ。
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「わっ、ここの衣料品コーナー、結構無事なの多いよ。ソルアちゃん、これも持っていこう!」
コンビニの【施設】検証が終わり。
出発前に、今度はコンビニの“実際の商品”を確認しておこうということになった。
来宮さんはソルアを連れ、率先して物資の必要・不要を選別してくれている。
「ストッキングもタイツも。普通の靴下だって、どれも使えそう」
俺も近くでボクサーパンツやインナーなど、男性用の物を適当に見繕っていく。
タオルとかは男女関係なく使うだろうし……。
「……あの、ハルカ様。少しよろしいでしょうか?」
少々遠慮がちに、ソルアが来宮さんへと尋ねた。
「うん。ソルアちゃん、何でも聞いてね」
ドンと請け負った来宮さんに、ソルアも安心した様子。
ホッとした表情で告げる。
「――これは、肌着で合ってますでしょうか?」
ソルアは“レギュラーショーツ”との商品名が書かれた袋を手に、来宮さんへと確認を取った。
……もちろん女性用である。
「あっ……えと、うん。そ、そうかな。あ、あはは」
異性である俺が直ぐ傍にいることを、来宮さんももちろん理解しているのだ。
凄く恥ずかしそうに声を上ずらせていた。
だが具体的に言葉にして指摘するのはさらに恥ずかしいためか、それ以上は何も言わず。
ソルアからそれをパッと受け取り、いそいそとこのコーナーの確認を終わらせようとする。
……無自覚に来宮さんへ羞恥心を植え付けるとは。
ソルアさん、恐ろしい子!
「ハルカ様。これは、何ですか?」
「これ? これは、サプリメントかな。小さなカプセル……入れ物に、栄養をギュッと詰め込んでてね。だからこれだけで簡単に食事の補助ができるの」
まあでも、こういうのは同性同士でやっていく方が気は楽だろう。
ソルアも友人との会話を楽しむように、知らない物を尋ねていた。
「ハルカ様。これは、何ですか?」
「これ? これは、マスクかな。顔に着ける物なの。目には見えない空気中の異物を体内にいれないため、とか。他は、顔をあまり出したくない人が使うこともあるかも」
ああしてウインドウショッピングではないが、気晴らしもかねて来宮さんと仲良く作業するのも良いんじゃないか。
「――あっ、ハルカ様! これ、これは何なのですか!?」
「えっ!? えーっと、これ、は――」
来宮さんが、固まった。
一方で、ソルアは凄い興奮した様子で、とある商品を手に取る。
そして“何ですか?”攻勢を強めた。
「……あれは、もしや!? ――」
長方形の箱。
赤や黒のシンプルな色のデザイン。
そして“うすい”やら“0.01”などと大きく書かれた文字。
――ソルアさん、それはだから聞かないでってぇぇぇ!!
「先日、ご主人様にもお伺いしたんですが、明確な用途は中々わからなくて……」
「あっ、そ、そうなんだ。――えーっと、あの、その、ゴ、ゴムかな、うん!」
――間違ってない!
凄く恥ずかしそうに、だが何とか核心部分には触れないようにと絞り出した感じだった。
ただそれだけにこっちも“あっ、来宮さんもちゃんと本来の用途は分かってるんだ……ふ~ん”ってなっちゃう!!
「ゴム? ……確か、良く伸びる性質をもった物質、ですよね? ……で、そのゴムは何に使うんでしょうか?」
――ソルアさんの際限ない純粋な知的好奇心が、来宮さんを追い詰める!
……来宮さん、とてもいい子だった。
君のことは忘れないぜ。
「あっ、ちょっ!? 滝深さん、何でそんな、私のことを諦めたような目で!? “男女で使う物”なんですから、滝深さんも一緒に――」
「――えっ、これは“男女で使う物”なのですか!? ……一体どうやって? あっ、“一緒に”ということは、つまりご主人様とハルカ様もお使いに?」
来宮さんが墓穴掘って、俺も道連れにされたぁぁぁ!!
その後、飲食料を担当していたアトリ、ファム、そして久代さんがやってくるまで。
俺と来宮さんは、ソルアさんの無自覚なセクハラ行為を受け続けたのだった。
……しゅごい恥じゅかちぃ。
コンビニは大体マンガかジュースかスイーツ買うのが多くて、衣料品は実際に買ったことは数えるほどしかないですね……。
えっ、ゴム?
……輪ゴムのことかな?(すっとぼけ)
ソルアさんはきっと将来、探究心ある良い研究者になるでしょうねぇ……(白目)
日間ランキングは6位で踏ん張ってましたね。
もうすぐ投稿して2か月になろうかという所、未だにこうして上位のランキングにい続けられているのも、本当に応援してくださる読者の皆さんのおかげだと思います。
ありがとうございます。
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