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47.報酬と参加条件、旗を立てし者の真価、そしてパーティーレベルとランクアップ

47話目です。


ではどうぞ。



=====


13 差出人:【異世界ゲーム】運営       



件名:ワールドクエスト開催の告知



 生存者(サバイバー)の皆様。

 本日12:00より、ワールドクエストを開催することが決まりましたため、お知らせいたします。


【異世界ゲーム】3日目12:00より各地に、今まで生存者の皆様が出会った以上に、凶暴・凶悪なモンスターが出現します。

 放置すれば、皆様の今後の生存(サバイバル)は非常に困難になってしまうことでしょう。


 先のメールにてお知らせいたしました【パーティー】機能を使い、他の生存者の方と協力して、ボスモンスターを討伐できればクリアとなります。 

  

 ボスモンスターの討伐、即ちワールドクエストのクリアには、報酬も用意しております。

 

 是非奮ってご参加ください。



●ワールドクエスト“ボスモンスターを討伐しよう!”


■クエスト詳細:

【異世界ゲーム】3日目 12:00以降に通知


※それ以前の詳細獲得の可能性について排除せず

 方法は【マナスポット】の探索過程に準ずる



■参加条件:

 パーティーランク:G+以上 



■報酬:

 討伐パーティー

①3000Isekai

②【マナスポット】


 他の参加パーティー

 クエストクリアの貢献度に応じて分配

 

 

=====



「3000Isekai! それに【マナスポット】が報酬って、つまりそういうことだよな?」



 2つ目の運営からのメール。

 そこで告げられらワールドクエストの報酬欄に、思わず興奮する。


【マナスポット】が得られるというのは言葉通りの意味ならば、またあの連続レベルアップができるということだ。


 それだけでなく、ソルア・アトリの★6への可能性を縛る鎖を、また一つ破壊できることをも意味する。

 


「確かに凄い額……ただ【マナスポット】って、滝深君たち以外は獲得したことないよね? 結局どんな感じだったの?」



 久代さんの言葉に、来宮さんも遠慮がちにだが頷いていた。

 俺にというか、ソルアとアトリに、コミュニケーションがてら尋ねているようだ。 



「ん~。私は特に、実感ある何かがあったわけでは……。ご主人様はパワーアップされていましたよ?」


「私も同じ。ただ何となく、体が軽くなった気はしなくもないってくらい。……目に見える形で強くなったのはマスターとファムだけかしら?」

   


 いや。

 だから君たちも、6つあった内の1つの(かせ)が破壊されたんだよ。 

 でもその話に言及すると、あの闇空間で見た光景に触れないといけなくなる。


 それはつまり、ソルアとアトリが生まれたままの姿でいたこと。

 そして、それを俺がバッチリ見てしまったことにも話が及ぶわけで……。 



「まあ、少なくとも生存者(サバイバー)が獲得すると、飛躍的に強くなることは確かだ」


「……そっか。ならやっぱり滝深君的には、このクエストには参加したい感じかな? ……私たちの“パーティーランク”って、今“G”だよね? “G+”ないとダメらしいけど」



 俺が【マナスポット】の恩恵について話を打ち切ろうとしているのを、久代さんは敏感に察してくれた。

読心術(テレパス)】を持つ来宮さんの方が、そういうのに長けているとの先入観があったが……。

  

 でも久代さんも、別に気配りが苦手というわけではないようだ。



「……“G(ジー)”って、なんか聞くだけでも嫌だよね。“G(ジー)+(プラス)”なんて、強化された更におぞましい造形がイメージされちゃって」 


「あっ、意外。透子(とうこ)さんって、全然虫とか平気なタイプとばかり思ってました」



 少し話が逸れる気がしたが、俺も内心で来宮さんに同意しておく。

 逆に来宮さんの方は平気で、普通に新聞紙で退治してしまうらしい。

 

 どこかのお嬢様みたいな可憐で(はかな)い見た目だが、案外に庶民的なんだなぁ。 

   


G(ジー)? 何でしょう、虫という話が出てますが……」


「さぁ~? 名称の略語みたいなものじゃないかしら?」


 

 気になるだろうソルアとアトリに、これだけは教えておこう。



(ゴキ)は地球人の……いや。全人類共通の天敵だ。【異世界ゲーム】のモンスターがもし全て奴だったら、今頃俺たちは既に滅ぼされていただろう」


「は、はぁ……」


「……えっ、本当に?」




 俺のマジとも冗談ともつかないトーンに、二人はどう反応すればいいかわからない様子だった。

 ……うん、わからないなら、わからないでいいんだ。


 知らないままでいられた方が幸せなことも、世の中にはあるんだから。



□◆□◆ ◇■◇■  ■◇■◇ ◆□◆□




[【パーティー】]



●生存者ネーム:TOKI


●パーティーLv.1


●パーティー申請


●パーティーメンバー:


 ①TOKI:リーダー 


 ②CLEAR CASTLE:メンバー 


 ③Spring Nuts:メンバー 


 ④――

 

 計:3/4

 

●パーティーランク:G



「“パーティーランク”は多分だけど“パーティーレベル”が関係していると思う。だから各人の“パーティーレベル”をまずは上げることを目標にすればいい……はず」



 改めて【パーティー】の項目全体を見て、一応の推論を述べる。

 それ以外に今、“ランク”を上げるために改善できる部分はないからだ。



「パーティーレベル……普通に考えれば、私たちの【ステータス】の“基礎情報”にある“レベル”と同じ、よね?」


「つまり、パーティーを組んだ状態で戦闘? あるいはモンスターを倒せばってことですかね?」



 今までとは違って、生存者が3人揃うと、やはり話し合いで得られる情報量が圧倒的に違う。  

 あるいは、同じ情報量に到達するまでの時間が早いように感じた。


 

 そのことで節約できた分を無駄にするまいと、早速外で検証することを提案した。




「……滝深君、やっぱり凄いね。印象に反してかなりの行動派だ」


「ですね。決めて直ぐ“じゃあ戦闘に行ってくる!”なんて……中々心の切り替えできないですから」



 悪かったね、見た目陰キャボッチで。


 ……いや、久代さんも来宮さんも、別に中で待っててくれていいんだよ?

 流石に逃げてきたばっかで戦闘に駆り出すほど、俺は切羽詰まってるわけじゃないし。


 

「じゃあ、私は“トウコ”につくわね」


「それでは、私が“ハルカ”様をサポートします」


 

 アトリは久代さん。

 そしてソルアは来宮さんの傍で戦闘することになった。


 俺も初日は、ソルアにサポートしてもらう部分が多かったと思う。

 二人も最初は申し訳なさもあると思うが、投資をしてもらってるんだと割り切って欲しい。



≪――ご主人、いたよ。モンスター2体!≫



 ファムから情報がもたらされる。

 今回は戦闘を避けるためではなく、積極的な狩りのための偵察を頼んだのだった。 



「よしっ――」



 共有された視界から得た情報を、手早く伝える。 

 モンスターの種類、大体の大きさや特徴を全員に教えて出発した。



「GARRRR……」


「GARUAAA!」



 通常の種よりも大きく綺麗な毛色をしたシルバーウルフ。

 百均からドラッグストアに来るまでにも倒したことのあるモンスターだ。


 その2体をガレージから出て100mほど行った先で見つけ、戦闘を開始した。



 今回は実験したいこともあり、一人で前に出て(おとり)を務める。



「GARUUU!!」



 直ぐ1体に気づかれた。

 襲い掛かってきたその鋭い爪を避け……はせず。


 両腕を交差させて、防御するにとどめた。



「っ!」



 引っかかれた。

 強い痛みを覚悟する――



 ――しかし。痛みどころか、大きな衝撃すら。いくら待っても訪れなかった。

 


「GARU!?」


「おっ――」



 エネルギーでコーティングされたように、腕全体が黄色い光で覆われている。

 硬く、ヒビ一つ入らず。

 衝撃全てが、そのエネルギー体に吸収されてしまったみたいに見えた。



 まるで破損という概念を知らない小手(ガントレット)を装着しているみたいに、ダメージを受ける気が全くしなかった。


 

旗を立てし者(フラッガー) 代替旗(インステッドフラグ)

 

 残量:98/100




 ――今のでHP2しか食らってない計算なのか! 



【マナスポット】を一番最初に獲得したことにより得た称号。

 その効果を今、体感したのだ。 


 突如として脳裏に、旗が今のダメージを代わりに吸収してくれたイメージが訪れる。

 実際、イメージ通りのことが起こったのだろう。

 

 感覚的にはもう10や20は削られてもおかしくない、そんな攻撃を真正面から受けてこれだ。



【身体硬化】で純粋な耐久力が上昇し。

 やろうと思えばさらにファムの【フェアリーシールド】でHP50に相当する守りを得られる。


 さらに、元は回避専念の戦闘スタイルでもいいのだ。

【HP自動再生】もあることを考えると、本当に凄い。


 自分がまるでHP・耐久力・回避能力のみを上げまくった、攻撃しても攻撃しても全然死んでくれない害悪ゾンビみたいだと思ってしまう。

 ……いや、誰が陰キャボッチの死んだ目ゾンビだ!



「……ははっ。やべぇ、死ぬ気がしないわ」



 そうするとHPが0になるまでには、モンスター達は一体どれだけの攻撃を俺に加えないといけないのか。


 それを想像するだけで、根拠ある自信からくる笑いが漏れたのだった。



□◆□◆ ◇■◇■  ■◇■◇ ◆□◆□   



「GURAAA!!」


「GARU!」



 もう1体も攻撃に参加してくる。

 だがもう、食らってはやらない。



 お客さん、超々サービスタイムはさっきの1回だけ、ですぜっ!



「っと! っ、よっ――」 



 回避に戦闘スタイルを切り替え、囮としての役割を全うする。

 ほれほれっ、当たらないと、HP削れないよ?


 残量は後98もあるんだよ、もっと頑張らないと。

 それを削りきった後、ようやく本丸のHPが見えてくるんだから。

 


「――【フラッシュ】!!」 


「【魅了(チャーム)】!!」



 だがもちろん、削られてやるつもりは全くなくて。

 俺が視線を独占している間に、ソルアとアトリが完璧なポジション取りから技を決める。



「GAR――」


「GARRRR……」

 


 ソルアの【光核(ライトコア)】が強く発光し、モンスター達は視界を焼かれ。

 そしてアトリの【魅了】で思考を溶かされる。


 大きなウルフ2匹はその場で行動できなくなり、ただただ唸り声を上げ続けるだけだった。

 


「今っ――」


「はいっ!」



 そこで二人と入れ替わるように、久代さんと来宮さんが前へ出る。


 久代さんが持つのは、ドラッグストアに置いておいたマジックゴブリンの丈夫な木杖。

 来宮さんは、ゴブリンたちの装備品だったナイフを1本ずつ両手に握って駆けていく。



「やぁっ!」


「せぃっ、りゃっ!」



 頭をクリーンヒットしたような、大きな打撃音。

 次に短く体を切りつける音が連続して聞こえた。


 昨日ファムで尾行した時も、モンスターを倒したという話をしていた。

 それが嘘ではないことは、二人が大きな躊躇(ちゅうちょ)を見せず攻撃しきったことからちゃんと見て取れた。



「GARUA!」


「GRA……」



 とはいえ、倒しきるまでには至らず。

 二人が武器を振るい続けるのに合わせるようにソルア、そしてアトリが加勢した。



「せぁっ!」


「ふんっ!!」



 流石にほぼ無抵抗な状態にまでしていただけあり。

 ソルアとアトリの一撃は追い打ち、そしてトドメとなった。



<所有奴隷“ソルア”がシルバーウルフを討伐しました。38Isekaiを獲得しました>  

  

<所有奴隷“アトリ”がシルバーウルフを討伐しました。38Isekaiを獲得しました>  

  


 モンスター達が光の粒子となって消えていく。

 だが、今回はその通知だけにとどまらなかった。



<所有奴隷“ソルア”がシルバーウルフを討伐しました。パーティーポイントを5P獲得しました ※リーダーを務めているため、獲得ポイントが8Pになります>  

  

<所有奴隷“アトリ”がシルバーウルフを討伐しました。パーティーポイントを5P獲得しました ※リーダーを務めているため、獲得ポイントが8Pになります>  

  

<パーティーレベルアップ! ――Lv.1→Lv.2になりました。 詳細:パーティー加入時 全パーティーメンバーMP+1 魔力+1 容量(キャパシティー)+1>


<パーティーレベルアップ! ――Lv.2→Lv.3になりました。 詳細:パーティー加入時 全パーティーメンバーMP+1 魔力+1 容量(キャパシティー)+1>


<パーティーランクアップ! ――Gランク→G+ランクになりました。 詳細:パーティー内で1日1回 ヒール(小)スクロール 使用可能>



日間ランキングはまたギリギリでの5位でしたね。

中々に厳しい時が続きますが、そんな中でも変わらず読んで応援してくださる皆さんのおかげで頑張れています。


クスっと来るような感想を頂けたり、いいね・ブックマーク、それに評価をしてもらえたのを見ると本当に心に沁みます……。

頑張って更新しようという意欲が湧いてきます。


是非今後も、ブックマークや広告の下にある★★★★★のボタンの方、していただけますと大変嬉しいです。


よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 運営(?)からのお知らせが雑になった気がします。 ちょっと判りにくい。
[一言] 直接ステータスが上がるだなんて、パーティーレベルの恩恵も結構でかいですね!
感想一覧
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