38.興味津々なお二人さん、【マナスポット】のとても大きな恩恵、そして二人のさらなる可能性
38話目です。
ではどうぞ。
「あっ、うわぁ……」
「何これ……エッチ過ぎでしょう」
中に入ると、案の定二人は顔を真っ赤にしていた。
ここがどういう場所だったのか説明するが、聞いているのかいないのか。
どこか上の空みたいな反応である。
「そ、そうだったんですね……!」
「へ、へぇ~……そう」
最初こそ視線の向きを床にして、刺激的なケースの表紙を見ないよう努めていた。
だが俺の目を盗んではチラチラと見ているようである。
……男の俺以上に興味津々ですな。
主目的である【マナスポット】のこともちゃんと頭にあるのかどうか……。
「むむっ……」
ソルアさん?
“露出の多いメイドさんがご主人様にご奉仕する”パッケージを注視してるようですが、どうかされましたか?
「う、うわぁ……この子、凄い大胆な格好ね」
いやいや、何をおっしゃるアトリさん。
あなたのそのドエロいサキュバス衣装。
そのアニメのサキュバスに、全く負けてないですよ。
「あー。あくまで一般論だが。こういう世界だし、娯楽というか、息抜きって大事だと思うよ、うん」
暗に、気になる物があったら1,2本持っていくのもありなんじゃ、と告げる。
乾電池式のDVDプレイヤーは一応持っているので、アパートに戻れば見ることは可能だ。
「!?」
「あっ! ――」
二人は雷に打たれたみたいに衝撃の表情を浮かべる。
……いや、大人の映像にどんだけ興味あるんだよ。
「俺は先に【マナスポット】の確認をしてくるわ」
あえて俺が傍にいない時間を作ってあげることにする。
普通はこういう場合って逆じゃないのかな。
「でもまさか、俺が異性とこの空間に来る日が訪れようとはな……」
それも飛び切り魅力的な美少女二人と、だ。
元の平和な世界の時では考えられないような経験をしている。
【異世界ゲーム】開始から色々とあり過ぎて感覚が麻痺しているが、思えば本当に凄いことだ。
これも生き抜いているからこそ実感できるありがたみだ。
今後も、頑張って生き続けよう。
「おっ――」
そうして二人から少しだけ距離を取って間もなく。
店の奥、行き止まりの角の所に、お目当ての物をようやく見つけることができた。
……いや、俺も俺で、欲しい大人の映像作品を見つけたとかじゃなくて。
「――これが【マナスポット】か」
半透明な黄緑色をした渦を巻く空間。
半径2mほどの円形をしている。
流石に室内のスペースを無視はできず、壁や商品棚が中に含まれてしまっている。
ゲームとかで見たら、多分セーブポイントか回復エリアのようなイメージを受けるだろう。
「……うん。間違いないな」
視界に入った瞬間から、物凄いエネルギーを肌で感じる。
この黄緑色のスポット内に入れば、それを取り込めるのだろう。
「ご主人様、お待たせしました。あっ、それが【マナスポット】ですね?」
「へぇ~モンスターに取られず、ちゃんと残ってたのね。……凄く大きな力を感じるわ」
合流した二人も、一目でこれが【マナスポット】だと理解できたようだ。
それだけこの空間が発する存在感というか、純粋なエネルギーの大きさが分かるのだろう。
≪ちなみにソルアお姉さんもアトリお姉さんも、とてもエッチなのをちゃんと選んでたよ! ソルアお姉さんは――≫
……ファム、そこでストップだ。
それ以上の詳細な報告は二人のプライバシー的にも止めて差し上げろ。
「――よし、じゃあ早速【マナスポット】ゲットするか」
一秒でも早くこの空間・話題から逃れるため。
ファムも合わせた4人で、【マナスポット】の中へと入っていくのだった。
□◆□◆ ◇■◇■ ■◇■◇ ◆□◆□
「あっ――」
同時にスポット内へと足を進める。
すると直ぐにその効果が現れだした。
「凄い……力が、体の中から溢れてくるのが分かります!」
「ええ! でも、何かしら……今までの自分じゃなくなるみたいで、少し怖い気もする」
二人も【マナスポット】から膨大なエネルギーを受け取っているようだ。
黄緑色の渦が次々と光となって体内へと入ってくる。
それでもエネルギーは底がないというように、床からどんどん湧いて出ていた。
「おっ、来るぞ――」
そして自分の中で、そのエネルギーが形となって昇華されるのが実感できた。
俺の場合は……ステータスが一気に上がるな。
<レベルアップ! ――Lv.7→Lv.8になりました。 詳細:HP+2 (魔術師 →MP+2) 筋力+1 (魔術師 →魔力+2) (魔術師 →魔法耐久+1) 器用+1 容量+1(ガチャ師 +1→+3)>
<レベルアップ! ――Lv.8→Lv.9になりました。 詳細:HP+2 (魔術師 →MP+2) 筋力+1 (魔術師 →魔力+2) (魔術師 →魔法耐久+1) 器用+1 容量+1(ガチャ師 +1→+3)>
<レベルアップ! ――Lv.9→Lv.10になりました。 詳細:HP+2 (魔術師 →MP+2) 筋力+1 (魔術師 →魔力+2) (魔術師 →魔法耐久+1) 器用+1 容量+1(ガチャ師 +1→+3)>
<レベルアップ! ――Lv.10→Lv.11になりました。 詳細:HP+2 (魔術師 →MP+2) 筋力+1 (魔術師 →魔力+2) (魔術師 →魔法耐久+1) 器用+1 容量+1(ガチャ師 +1→+3)>
凄いな……!
4つもレベルが上がったぞ。
そして【マナスポット】の恩恵はそれだけにとどまらない。
<ジョブ【ガチャ師】レベルアップ! ――Lv.2→Lv.3になりました。 詳細:ランク②ガチャライセンス獲得>
<ジョブ【魔術師】レベルアップ! ――Lv.1→Lv.2になりました。 詳細:MP+6→MP+10 魔力+5→魔力+7>
<【異世界ガチャ】レベルアップ! ――Lv.2→Lv.3になりました。 詳細:★4確定ガチャ券>
<【身体強化】レベルアップ! ――Lv.2→Lv.3になりました。 詳細:筋力+7→+15 敏捷+7→+15>
<【身体硬化】レベルアップ! ――Lv.1→Lv.2になりました。 詳細:耐久+20→耐久+35>
[ステータス]
●基礎情報
ジョブ
①ガチャ師Lv.2→Lv.3
②魔術師Lv.1→Lv.2
●能力値
Lv.7→Lv.11
HP:32/32→40/40
MP:41/56→53/68
筋力:31→43
耐久:6(装備+5)(【身体硬化】+20→+35)
魔力:21→31
魔法耐久6→10
器用:12→16
敏捷:13→21
容量42/43(③[●●●●●●]+④[●●●●●●]→54/55)
↓
容量42/55(③[●●●●●●]+④[●●●●●●]→54/67)
●スキル
【異世界ガチャLv.2】→【異世界ガチャLv.3】
【身体強化Lv.2】→【身体強化Lv.3】
【MP上昇Lv.3】
【索敵Lv.2】
【時間魔法Lv.1】
【操作魔法Lv.2】
【セカンドジョブ】
【状態異常耐性Lv.10】
【剣術Lv.1】
【身体硬化Lv.1】→【身体硬化Lv.2】
【HP自動再生Lv.1】
【火魔法Lv.1】
【チームワークLv.1】
「エグッ」
ジョブ、そしてスキルもレベルが上がってくれた。
“容量”も12上昇だ。
全体的にどんだけ上がんだよ……。
そりゃ運営の言う通り『一気に大きな成長を遂げることが可能』だわ。
≪――あっ、ご主人! ボクも、なんか凄く強くなった気がするよ!≫
ファムも同じく、自分の成長を実感できたようだ。
[魔導人形ファム 追加機能の候補一覧]
①視覚共有……10MP ※【索敵】から要素獲得 ……取得済み○
②聴覚共有……10MP ※【索敵】から要素獲得 ……取得済み○
③付与魔法……30MP ※【身体強化】+【○○魔法】から要素獲得
④MP上昇 ……10MP ※【MP上昇】から要素獲得 ……取得済み○
⑤回復魔法……30MP ※【状態異常耐性】+【○○魔法】から要素獲得 ……取得済み○
⑥異空間室……100MP ※【時間魔法】+【セカンドジョブ】+【操作魔法】から要素獲得
↓
【セカンドジョブ】と【操作魔法】の要素により【時間】要素を変質……隣接概念【空間】へと変質成功
⑦フェアリーシールド ……50MP ※【身体硬化】+【○○魔法】から要素獲得……取得済み○
⑧筋力・魔力上昇 ……10MP ※【火魔法】から要素取得 ……取得済み○
⑨取得済み機能 1段階レベルアップ……各取得済み機能の性質に依存(New!)
「あぁ~なるほど」
ファムのパワーアップは⑨の部分か。
つまり今まで獲得した機能を、さらにMP注入でレベルアップできるということだな。
ならこれでまたMP上昇の効果を上げることができる。
MP頼りなことが多い俺にとっては、ファムのこの成長はとてもありがたい。
≪うん! これからもガンガン熱い魔力注入して、ビシバシご主人色にして行ってね!≫
いや、言い方!
間違ってないんだろうけど、絶対に誤解を生むような言い方するよね君は!
「……で? ソルアとアトリは――」
二人がどうなったのか確認すべく、声をかけようとした。
――だがソルアとアトリの姿を見た瞬間、言葉を無くした。
というか、意識がいつの間にか別の世界・空間に飛んでいたのだ。
□◆□◆ ◇■◇■ ■◇■◇ ◆□◆□
「えっ、ここは――」
真っ暗闇の中。
自分以外は周りに何もない無の世界。
今自分が声を発しているのか、それとも思考しただけなのかすら曖昧になってしまう。
そんな恐ろしい場所に、いつの間にかいたのだ。
「あっ――ソルアっ! アトリっ!」
そしてまた気づいた時には、目の前に二人がいた。
「えっ――っ~!?」
さらにあろうことかソルアもアトリも、ほぼ生まれたままの姿だったのだ。
「一体どうなってんだ……?」
目と鼻の先にいるはずの二人に近づこうとするが、全く距離が縮まらない。
意味が分からない。
いくら呼び掛けても二人は深い眠りについているように目を閉じて、一切応えてくれない。
「――あん? 何だ……鎖? 星?」
そこに、ようやく変化が訪れた。
裸の二人をキツく縛り上げるように、突如として全身に鎖が巻き付く。
そしてそれぞれの周囲に5つずつ、計10個の輝く星が現れたのだ。
「5つの星……二人のレア度に対応している?」
分からないことだらけなので、とにかくそう判断しておくしかない。
それ以外に出来ることもないのだから。
「ん? あれ……“もう一つ”ないか?」
よくよく見るとソルア・アトリの胸元にも、透明な星があって点滅し続けている。
その透明な星もまた、二人の姿と似せるかのように鎖でグルグルに縛られていた。
「あっ――」
――そして突如、黄緑色をしたエネルギーの塊が現れる。
【マナスポット】のエネルギーだ。
大きなエネルギーの塊はそれぞれの点滅する星に衝突。
――鎖、そして付属していた南京錠のようなものが一つ、パリンと音を立てて砕け散った。
「……よく見ると、錠も5つずつあるか」
つまり今【マナスポット】のエネルギーによって壊されたのを含め。
鎖も錠も元々6つあったようだ。
元々5つの星に、透明で点滅する星も。
合わせれば6つ。
……この数の対応を無関係と見るのは難しいだろう。
「うわっ、ちょっ、いきなりなんだっ! 眩しっ――」
何の脈絡もなく。
突如、闇の世界は終わりを告げる。
闇が光に反転するかのように、視界が無限の明るさによって埋め尽くされていく。
「あぁ、戻るのか――」
その時になってようやくこの現象が何だったのか理解できた。
これはどこかの精神世界というか、異空間だったんだ。
そこで二人が【マナスポット】からどんな恩恵を受けたかを、所有者である俺は見せられていたらしい。
そしてそれは、二人の可能性を縛り付ける枷を、一つ取り払ってくれるものだったようだ。
――★6への可能性か。
二人のこの先の未来についてを考えながら。
ソルアとアトリ、そしてファムが待つ現実へと意識を戻したのだった。
読み返して楽し分には全く問題ないんですが。
ステータスの更新作業はいつも一番苦労しますね。
今回のは特に……もう書き始める前から地獄を予感して、一人頭を抱えていました(白目)
日間ランキングは5位で何とかとどまっていました。
日々変動が激しいランキングで、こうして上位にい続けられること自体とてもありがたいことだと思います。
読んでくださり、そして応援してくださる皆さんのおかげです。
本当にありがとうございます。
繰り返しになりますが、今日なんかは本当に書く前から気分が乗らなかったのですが、おかげで頑張って書ききることができました。
今後も是非、ブックマークや広告の下にある★★★★★のボタンの方、していただけますと執筆の際のとても大きなモチベーションとなります。
よろしくお願いいたします。




