18.報酬の増加、施設の利用、そして報酬としての施設
18話目です。
ではどうぞ。
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6 差出人:【異世界ゲーム】運営
件名:ワールドクエスト“一番最初に複数【施設】を解放”のクリア報酬贈呈
おめでとうございます。
【異世界ゲーム】開始後、一番最初にモンスターに占拠された【施設】を複数解放されました。
クエストのクリア報酬を贈呈します。
ゲームでの生き残りにご活用ください。
報酬:
①【セカンドジョブの種】 ■
②1200Isekai
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ソルアを何とか誤魔化しきった後、届いたメールを確認することにした。
「おぉぉ、また報酬か」
しかも今度はさらにもらえるIsekaiが増額されている。
200ということはゴブリン10体分と考えると、決して少なくない増加だ。
<【セカンドジョブの種】:消費アイテム。使用すると、使用者が二つ目のジョブを得るためのスキル【セカンドジョブ】を習得することができる>
一方で【ジョブの種】とは違い、【セカンドジョブの種】はジョブ自体を得られるわけではないらしい。
……まあ、でもそうか。
もしかしたら一つもジョブを持ってないかもしれない生存者が、このクエストを達成していた可能性だってあったのだ。
そうすると一つ目の枠が空白のまま、二つ目のジョブをゲットするというチグハグなことになりかねない。
そういう場合も念頭に置いて、ジョブの枠をゲットできるという効果に限定してあるんだろう。
「あぐっ……むぐっ、ごくっ――」
具現化された種を口に入れて噛み砕き、そうして飲み込む。
体内で熱いエネルギーの循環を感じ、それがゆっくりと体に馴染んでいく。
その感覚が自然と消えていったとき、スキルの獲得を理解した。
[ステータス]
●基礎情報
ジョブ:
①ガチャ師Lv.2
②――(New!)
●スキル
【異世界ガチャLv.2】
【身体強化Lv.2】
【MP上昇Lv.3】
【索敵Lv.1】
【時間魔法Lv.1】
【操作魔法Lv.2】
【セカンドジョブ】(New!)
現在保有Isekai:2265
「よし……」
実際のステータスもちゃんと【セカンドジョブ】が反映されていた。
これで、多分【ガチャ師】を破棄しなくても【村人】を習得できるんじゃないだろうか?
……でも実際に【村人】を習得できちゃうと、それはそれでうーんとなる。
★1であまり実益のなさそうな【村人】で固定されちゃうのもどうかと思うのだ。
ジョブの結晶をもう一つ、ガチャでゲットできてからでも遅くないかな。
「で、次――」
今度は、マジックゴブリンを倒したことでようやく解放できた【施設】を見ていくことに。
アパートやパソコン教室の実体験からしても、【施設】の機能は使えれば使えるほどサバイバルに有利だからな。
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[施設 薬屋商店:○○ドラッグストア]
①【毒耐性】 スキル:100Isekai ……販売中
②【毒耐性】 スキル:100Isekai ……販売中
③【毒耐性】 スキル:100Isekai ……販売中
④【麻痺耐性】 スキル:100Isekai ……販売中
⑤【麻痺耐性】 スキル:100Isekai ……販売中
⑥【麻痺耐性】 スキル:100Isekai ……販売中
うわっ、見事に耐性系のスキルばっか。
それにMPバッテリーや容量保存の時と同様、ダブりだ。
結局は【毒耐性】と【麻痺耐性】の二つということだろう。
まあドラッグストアだしなぁ……仕方ない。
「でも、一つ100で買えるってのはお得か?」
全部、つまり6つ全て買い占めても600Isekaiで済む。
それに丁度【施設利用カード1000Isekai分】がある。
【操作魔法】ゲットに400Isekai分を使って、ピッタリ残りが600だ。
それに現金というか、ガチャにも使えるIsekaiの方は残しておきたい。
12時以降に異世界奴隷(女)を当てるのに、1回でも多く回すためだ。
「……買っとくか」
全部を選択して、購入を押す。
【施設利用カード】で決済。
残高が0になり、カードは光となって消えていった。
[施設 薬屋商店:○○ドラッグストア]
①【毒耐性】 スキル:100Isekai ……売却済み TOKI
②【毒耐性】 スキル:100Isekai ……売却済み TOKI
③【毒耐性】 スキル:100Isekai ……売却済み TOKI
④【麻痺耐性】 スキル:100Isekai ……売却済み TOKI
⑤【麻痺耐性】 スキル:100Isekai ……売却済み TOKI
⑥【麻痺耐性】 スキル:100Isekai ……売却済み TOKI
<――おめでとうございます! 一つの【施設】の商品を買い占めることに成功しました!>
<新たなメールを受信しました。新着メール:1件>
「おぉっ!」
またか。
連続して続くな。
この流れは、もしかしたらまた報酬をもらえるのかもしれない。
やはりこのゲーム、どんどんお金を使って、買える物は買っていった方が得だ。
買って、自分が強くなって。
で、その購入自体が何らかのクエスト達成の条件になっていることが多い。
だから買えば買うほど強くなるし、クエスト達成もしやすくなるという好循環が生まれるのだ。
<“施設 薬屋商店:〇〇ドラッグストア”買占めの特典……買占め商品の効果が2倍になります>
あれ?
パソコン教室とは違う特典だ。
あの時は確か、【操作魔法】が俺だけ閲覧・購入できるようになるという特典だった。
今回は買った商品の効果が2倍……。
つまり称号の【施設の王】と同じってことになるけど……
<【毒耐性Lv.4】は、既に取得している【毒耐性Lv.4】に統合されます。統合中……>
<――統合が完了しました。【毒耐性Lv.4】→【毒耐性Lv.8】になりました>
うわっ、やっぱり4倍か!?
MP上昇の時と同じく、ダブっているスキルの統合が進められる。
そして購入した【毒耐性】は3つ。
だからまだ統合は続いて……。
<【毒耐性Lv.4】は、既に取得している【毒耐性Lv.8】に統合されます。統合中……>
<――統合が完了しました。【毒耐性Lv.8】→【毒耐性Lv.10】>
同じ処理が【麻痺耐性】でも行われ、【麻痺耐性Lv.4】の3つが統合された結果……。
<――統合が完了しました。【麻痺耐性Lv.8】→【麻痺耐性Lv.10】>
「ヤバいな……一気にレベル10のスキル2つもゲットとか」
耐性系で、戦闘を積極的に動かすスキルではないとはいえ。
ここまでレベルが上がったスキルを得られたことは、大きな興奮を生んだ。
――しかし、それで事態は終わりではなかった。
<【毒耐性Lv.10】、【麻痺耐性Lv.10】。レベル上限にまで達した、状態異常に対する耐性系のスキルを複数確認しました。統合を開始します。統合中……>
<――統合が完了しました。【毒耐性Lv.10】+【麻痺耐性Lv.10】→【状態異常耐性Lv.10】>
[ステータス]
容量30/34(③[●●●●●○]+④[○○○○○○]→35/46)
●スキル
【異世界ガチャLv.2】
【身体強化Lv.2】
【MP上昇Lv.3】
【索敵Lv.1】
【時間魔法Lv.1】
【操作魔法Lv.2】
【セカンドジョブ】
【状態異常耐性Lv.10】(New!)
【毒耐性】や【麻痺耐性】の上位互換だろうスキルの獲得。
嬉しいことに違いはない。
ないのだが……。
「【状態異常耐性】のLv.10……えぇぇ」
いきなりのことが続き、困惑と驚きの感情の方が先行してしまっていた。
そしてダメ押しに、さらなる通知が届いたのだった。
<新たなメールを受信しました。新着メール:2件>
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「凄いな……」
この【異世界ゲーム】、頑張って戦った奴にかなり有利に出来ている。
ちゃんと報酬も用意してるんだから、閉じこもってないで命張って無様に戦え、と。
そういうことだろう。
だが報酬がもらえると分かって無謀な戦いに挑み、そうして死んでしまう奴もいるはずだ。
「……気を付けないとな」
報酬の恩恵が凄いと分かったからこそ、それに前のめりになり過ぎないようにしないと。
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7 差出人:【異世界ゲーム】運営
件名:ワールドクエスト“一番最初に複数【施設】の商品買占め”のクリア報酬贈呈
おめでとうございます。
【異世界ゲーム】開始後、一番最初に複数の【施設】の商品を単独で買い占められました。
クエストのクリア報酬を贈呈します。
ゲームでの生き残りにご活用ください。
報酬:
【施設利用カード1200Isekai分】 ■
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またか!
いや、凄くありがたいんだけども。
さっき消えたとおもったカードがまた新しく、そして額も200Isekai分増えてやってきた。
またこれで施設の買占めに使えるな。
クエスト報酬がクエスト達成を生み、また報酬をゲットできてクエスト達成に役立てる……。
これがクエスト達成報酬の錬金術か……。
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8 差出人:【異世界ゲーム】運営
件名:ワールドクエスト“一番最初にスキルレベルを上限まで上げる”のクリア報酬贈呈
おめでとうございます。
【異世界ゲーム】開始後、一番最初にスキルのレベルを上限の10まで上げることに成功なさいました。
そんなスキル大好きなあなたにピッタリの報酬をご用意いたしました。
ゲームでの生き残りにぜひご活用ください。
報酬:
施設【スキル盗賊団】を解放・利用可能
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「【スキル盗賊団】?」
謎の報酬にしばし首を傾げる。
だが漠然とした想像にしかならず、明確な回答を得るため結局は詳細を見てみることに。
<スキル盗賊団:施設。クエスト達成報酬の受領者のみ使用可能。Isekaiを使用することで、指定した相手のスキルを奪うチャレンジができる。成功率は“施設レベル”、“使用Isekai”、“相手のステータス”に依存>
「うぉっ!?」
――相手のスキルを奪う!?
またとんでもない効果だな。
これ以上はないと思っていた興奮が、再び天上を超える。
ソルアに断りを入れて、一度一緒に外へと出た。
敷地からもさらに外、道へと出ると、そこで再びステータス画面を確認。
未だ【施設】というコマンドが残っていたのでそこをタッチした。
[施設 スキル盗賊団:施設使用者 TOKI]
施設レベル:Lv.1
①Lv.1スキル ……時価
「なるほど……」
今までは例えば【宿屋】の施設なら、アパートにいないとその機能が使えなかった。
MPバッテリーなんかも、パソコン教室に行かないとダメ。
つまり施設に対応する場所じゃないと、その機能を利用できないのだ。
だがこのもらった施設の場合、どこでも使えるらしい。
つまり“俺自身”のことを“移動する施設”とでも捉えるのだろう。
「そして“施設レベル”という概念……」
これを【強奪】的な“スキル”として扱うのではなく。
【施設】として扱っているということは、“施設レベル”というのもスキルレベルとは違った上げ方をするのだと思う。
この手の場合、他に“施設レベルを上げる機能”専用の施設があったりするものだ。
「他の施設をより豊かにするための場所……銀行? いや、お金の使い道を決めるという意味じゃ議会もありえるか」
だが他の施設の場所の検討をつける前に。
この【スキル盗賊団】という施設の機能を確かめてみたくなった。
「……おっ。丁度いい」
ドラッグストアに来る前、戦闘を避けたモンスター。
それが、ゆっくりと大通り近くを歩いているのを見つけた。
他のモンスターとは違い、異世界風の剣を持った骨。
それに狙いを定めて、施設の機能確認のためこっそりと近づいていくのだった。
日間ランキング、皆さんの応援に支えられて何とか5位で踏ん張り続けております。
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