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101.改めて害悪肉盾ゾンビです、そしてループものだったっけ?

お待たせしました。


101話目ですね。


ではどうぞ。




「ZIAAAAAAAAAAAA!!」



 ボスの太くしなやかな脚が、左右からランダムに襲いかかって来る。

 しかも人より圧倒的に数が多いそれは、攻撃の数もその分だけ増えることを意味した。


 3階で逆側に叩き折ったはずの1本も、今では傷跡なく綺麗に完治。 

 俺を(ゲームオーバー)へ追いやろうと、勤勉にも自由自在に動き回っている。



「よっ、はっ、っと!」



 もちろん俺だって、こんな所で死んでやるつもりなどサラサラない。

 新たにできた相棒の筋トレ(バー)とは一時コンビ解消し、この4階以降は回避特化へとシフトチェンジ。



≪ふにゅっ! およっ、ぬわわっ!≫


 

 ファムも必死にボス蜘蛛の背後へと張り付き、そこから見ることでしか得られない宝の山、ボスの情報を送り続けてくれる。 


 二手に分かれる必要がないため、ファムとよりを戻し。 

 改めて害悪肉盾ゾンビ戦法の再結成だ。

 


≪ふんぬっ! ボクっ、あんな新入りに負けないもん! ボクの方が絶対ご主人の役に立つからね!≫ 


 

 ファムさん、何故か筋トレ棒に対抗意識を燃やして、いつも以上にキレッキレで頑張ってくれてます。

 ……まあパフォーマンスが上がってくれるのであれば、別に良いんですけどね。


“赤い蜘蛛”がいないため、最初から全員でボス戦に当たれることの裏返しで。

“赤い光”によるボスの硬直が期待できないため、効果的にダメージを与えるにはいつも通りタンクが必要となるのだ。

  


「――皆っ! マスターが引き付けてくれてる今の内に!」


 

 アトリを筆頭に。

 参加できる者は皆、一斉攻撃に加わる。

 


「【光核(ライトコア)】、【フルチャージ】! ――やぁぁぁ!!」 


 

 ソルアが、自分の持てる最大火力で切りつければ。



「透子さん、遥さん! あたしが文字通り盾になりますんで!」


 

 リーユの護衛に専念していた水間さんも前に出る。

 ボス、そして兵蜘蛛(アーミースパイダー)らの意識が、俺にだけ集中しているためできる、大胆な一手だ。



「ありがとう、水間さん!――せぁっ!!」


「うん! 透子さんに、合わせます!!――たぁっ、やっ、せぃっ!!」


 

 水間さんが盾となってボス付近の兵蜘蛛(アーミースパイダー)を弾き、それによってできた(スペース)を二人が進む。

 そしてソルアが穿(うが)ったボスの傷跡へ追い打ちをかけるように、そこだけを執拗(しつよう)に狙って攻撃。


 重い蹴りの一撃。

 そして短剣による複数回に及ぶ切りつけが、血蜘蛛(ブラッドスパイダー)の体力を大きく削った。



「ZIAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA――」



 絶叫。

 だが、まだ例の共食いが始まらない。



「っ!――任せてっ!!」



 そこで、すかさずアトリが動いた。

 一瞬だけ俺へと視線が向く。



 ――OK,例の(あれ)だな?



「リーユ!」



 即座にアトリの意図を察し、リーユの名を呼ぶ。



「は、はい(あるじ)さん! ――えいやっ!」



 予め準備しておいてくれたらしく。

 リーユも即応し、“炭酸水”のペットボトルを投げてくれる。


 今回は無事こちらへと飛んできたので、無駄なく【操作魔法】を発動。

 


「せぁああああ!!」 



 ――はいよっ、炭酸水(ペットボトル)一本お待ちっ!



 既に態勢へと入ってるアトリの攻撃範囲内へ“ペットボトル”の速達便(プレゼント)

 中継プレイが上手く行ったため、ピッタリのタイミングで容器が切り落とされる。



「ZIAAAAAAAAAAAAAAAA!?」



 そして勢いそのまま、噴き出した液体がボスへと降りかかる。


 ソルア達の見事な連携によってできた大きな傷跡。

 そこへ直に被ってしまったため、これが決定打となったのだった。     



□◆□◆ ◇■◇■  ■◇■◇ ◆□◆□



「ZIAAAAAAAAAAAA!!」



 ボスの太くしなやかな脚が、左右からランダムに襲いかかって来る。

 しかも人より圧倒的に数が多いそれは、攻撃の数もその分だけ増えることを意味した。


 4階で見事に削りに削られたはずの皮膚・肉も、今では傷跡なく綺麗に完治。 

 俺を(ゲームオーバー)へ追いやろうと、勤勉にも自由自在に体を動かしまくっている。



「よっ、はっ、っと!」



 もちろん俺だって、こんな所で死んでやるつもりなどサラサラない。

 1階での出来事(ハプニング)でとても頼もしくなった【危険察知Lv.4】を加えて、5階以降も回避特化トリオを盤石に。  


 ……あれ?

 俺、何か同じようなこと4階でも考えてなかった?

   


「くっ、いっ、よぉっ!」


 

 そりゃ同じ相手(ボス)と。

 短期間で、何度も繰り返し戦っているのだ。


 一瞬、自分はループものに陥ったのかと錯覚するのも仕方ない。


 5階・6階はどちらもレストラン街を構成している。

 そのため6階へと上がった時の方が、むしろ俺はタイムリープ感を味わうことになるだろう。



≪よっ! むふんっ、とわっ!≫ 



 ファムがもたらす、文字通りボスの裏情報。


 そしてタイミング、頻度、精度。

 そのどれもが格段に上昇した、危険を知らせてくれる警鐘(アラーム)


 二つが俺の中で、情報として一元化され。

 回避能力をより高次元なものへと引き上げてくれていた。


 

「――たぁっ、はっ! せぁっ、たぁっ!」 



 そして俺以外の攻撃組が行うそのパターンも、もちろん4階の時とは異なっていて。

 負担がなるべく一人に集中しないよう、この階はアトリが攻めの中心を担ってくれる。


 息もつかせぬ程の、圧倒的な速度。

 そこから繰り広げられる華麗な連撃は、【ワールドクエスト】のボス相手にも十分以上に通用していた。



「これで決めるわっ――」



 アトリの【魅了(チャーム)】が発動。

 血蜘蛛(ブラッドスパイダー)の7つある眼が揃って、思考を制限されたかのようにトロンとなる。


 合わせて、全身に濃い桃色の霧が漂う。

 そしてそれが一か所に集中し、視界を遮らんばかりの濃霧になった。

 


「はぁっ――」



 そこへ向けて、アトリがただ一直線に駆ける。

 ボスの状態異常(チャーム)が解ける暇すら与えないというような、一瞬にも思える速さ。



「――【迅雷紅(スカーレット・ライトニング)】!!」



 ピンク色をした蒸気が、一点に集まった箇所。

 そこへ。

 目にも止まらぬ連続斬りが、次々と入っていく。



「はっ、たっ、せぁっ、やぁぁぁぁ!!」 



 それはまるで、鮮やかな紅い(いかずち)が。

 激しく、無限に降り注ぎ続けるかのような光景。     


 (とどろ)く雷鳴のごとく。

 一撃一撃に弾けるような音が、遅れて聞こえてくるようだった。



「ZI,ZI,ZIAAAAAAAAAAAA!?」



 4階の時のソルアと同様に。

 この際に力を出し切ってでも、最大ダメージを与えたいというアトリの意思。


 次に待つ6階のことは頭になく。

 むしろ(それ)を任せられる仲間がいるから。

 信頼しているからこその大技だということが、これでもかと伝わって来た。



「あっ――」


「やったわ、アトリさん!」


「お~! ボスが兵蜘蛛(アーミースパイダー)を食べ始めましたね!!」



 そしてアトリの奮闘の甲斐あって、5階での戦闘も勝利に終わり。

 残すは6階、そして最終の7階となったのだった。

  

  

100話を祝す感想を沢山いただけて、とても嬉しかったです!

改めてこのお話を投稿し始めて、そして再開してよかったと実感しております。


中身も今回の1話で4・5階をクリアできたので、何とか次話で最後の7階に入れそうですね。

で、多分決着がその次、つまり2話後になるかなと想定しています。


次話で6階後、7階に入って。

でその更に次話でボスとの最終決戦、って感じですかね。

補足として、それが終わったら2日目の終わりみたく、拠点回を挟みたいなと考えてます。


一応まだ予定なので、変更の可能性もあるということは念頭に置いておいていただけるとありがたいです。


やはり今回のように感想を沢山いただけると、その分モチベーションも上がります。

いいねはもちろん、ブックマークやご評価も、執筆を継続する上でとても大きな励みになります。


今後も当作品をよろしくお願いいたします。

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