命に嫌われた人
「俺は命に嫌われた。」
「.......。」
「最近は何をやるにも、胸にモヤモヤみたいなのを感じないんだ。」
「それはいいことだね。」
しごく当然のように言った。いや当然だろう。
「どうだかな...、昔は何をするにもモヤモヤしたり、ドキドキしたりしたものだがなぁ、最近はてんで何もないからなぁ。」
「嫌なのかい?」
「そうだな....。そうかもしれないな。」
渋いおじさんは悲しそうに笑いながら続けた。
「張り合いがないんだよ。若い時みたいに悩んだり、嫌がったり、緊張したりしないからなぁ、....」
「退屈ということですか?」
「そうだな....、」
渋おっさんは帰っているであろう若者たちをみていた。
「少し、うらやましいなぁ...。」