表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

~視線の正体~

「着きましたね」

ガルシア公爵の屋敷は、謎に包まれているイメージだったけれど、意外と普通だった。

他と違い珍しいのは、周りに木がたくさんあることくらい。

「ヴァレンティーナちゃん、いらっしゃい」

ソフィ様はわざわざ出迎えてくれた。

「今日はよろしくお願いします」

「こちらこそ。私、堅苦しいのはあまり苦手だから、普段通りにしてね」

一昨日、帰る時に話したからか、ソフィ様はフレンドリーだ。

「ガルシア公爵家って、意外と普通って思ったでしょ」

「えっと…まあ」

否定しようか肯定しようか、迷い、曖昧な返事になってしまった。

「ごめんなさい、困らせちゃったかしら」

一言区切って言う。

「私も旦那様…ガルシア公爵も公爵領から、あまり出ないから、変な噂がたっちゃうのよね。変わってはいるけれど、言うほどクレイジーじゃないわよ」

変わっているのは、なんとなくわかる。

自覚しているから、おかしすぎる訳ではないけど。

「ここの階段を上がれば、開いていた窓があるわ」

階段を上がると、例の窓があった。

バルコニーへ続く窓とかじゃなくて、普通の小さな窓だった。

「ヴァレンティーナちゃん、お茶でもする?よかったらオリアナちゃんも」




「オリアナちゃんってなんだか私の妹に似ているの。お顔が似ているんじゃなくて、雰囲気がね」

「へえ、そうなんですか」

「ヴァレンティーナちゃんも可愛いけど、オリアナちゃんもまた違った可愛さで、二人とも仲良くしたいなって」

「オリアナって大人っぽくて可愛いからね~」

女子会と言えばやっぱり恋バナ!

勿論、その話になった。

「二人って好きな人っているの?」

ソフィ様の問いに考える。

「オリアナを好きな人なら…」

「ヴァレンティーナ様が好きな人なら…」

「「え?」」

驚いて、顔を見合わせる。

「え、私、好きな人ならいないよ」

「あれは、どう考えても好きですよ」

オリアナはモテるので、自分の話題にはたいして驚いていない。

一番好きだとしたら…

「いや、まさか」 

ある人物が思い浮かぶが、まさかと思い、考えを振り払う。

「ヴァレンティーナちゃんが好きな人って…?」

「はい、そうです。でも本人は全然気づいてないんです」 

ソフィ様がオリアナに囁いたが、小さくて聞き取れなかった。

「オリアナだって。あからさまにアピールされても、全然気づいてないじゃん」

「誰のことですか?この間告白してきたK君ですか?」

ちがーう!

お兄様のイニシャルはGだし、全然違う…。

「オリアナちゃんを好きな人って誰なの?」

ソフィ様が耳を近づけてくる。

「私のお兄様です。お兄様って奥手だから、告白なんてするはずがないし、したとしても、遠回しになので、オリアナが気付かないんです。せめて、鈍くなければ、気づいて貰えるのに…」

「あらまあ…」

ソフィ様も苦笑いしている。

「若いっていいわね」

「ソフィ様も若いですよ」

「ソフィ様の好きな人ってガルシア公爵ですか?」

「ええ、勿論。最初はそうでもなかったけれど、今ではね」

そう言ったソフィ様は、恋する乙女のよう。

ラブラブ夫婦なんだろうなー。

「あ、そろそろ帰らないと、暗くなっちゃうわね」

恋バナをするまで、結構話してたからか、もう4時になっていた。

「じゃあ、最後に恋占いさせてください」

「恋占い?」

「はい。誕生月を言って貰えれば、恋愛がどうなるか、わかるので」

「今月よ」

所詮占いだし、たいしたことない、

そう思っているふうでは、あったが、教えてくれた。

予想通り誕生日は近かった。

「誕生日が近いソフィ様には、何か良いことがありますよ!悩み事は原因を作った本人から、直接聞けるでしょう。今は、いつも通りにするべし、です!」

「へえ、占いありがとう」

ソフィ様は本気で受け取ってはいないだろうけど、一応当たってはいるはずだ。

こうして、私たちは、公爵邸をあとにした。



「ヴァレンティーナ様が考えたこと、なんとなく気づきました」

「恋っていいねー」

「何、年寄り臭いこと、言ってるんですか」

「鈍いオリアナには言われたくないよ」

「それを言うなら、ヴァレンティーナ様だって。王太子が好きなんでしょう」

「え、やっぱそう思ったの!?そうなのかな~」 

「どうなんてすか」

「う~ん、多分そうだ」

恋を自覚した途端に顔が赤くなった。

忘れかけていたけれど、私は悪役令嬢。

カーティス様は攻略対象。

私の恋は結ばれる確率は低い。



…初恋がどうなってもいいから、今は、幸せに浸っていたい。



ソフィ・ガルシア

→ガルシア公爵夫人・銀髪・青い眼・ちょっと変わり者


ソフィ:こんにちは!ヴァレンティーナちゃん、

    今回はありがとう

ティー:大したことないですよ

    あと、旦那さん素敵ですね

ソフィ:まさか、視線の正体が旦那様だったと 

    は。誕生日プレゼントを何にすればいい

    かわからなくて、使用人に私の趣味思考

    を調べさせてただけなのよね 

    どうしてわかったの?

ティー:部外者の人が公爵邸の近くでソフィ様を

    ずっと見ていたら、普通は、誰か気づ 

    くし、不審者になるでしょう? 

    それに、奥さんが変な視線がとか言った

    ら、勘違いでも護衛を増やしたり一応す

    るはずです。

    そうではないし、ソフィ様の誕生日が近

    いのだったら、この可能性が高いかなっ

    て

ソフィ:へえ~

    ヴァレンティーナちゃんは、王太子殿下

    との恋!頑張ってね!

    可愛いから大丈夫よ

ティー:ありがとうございます!

    (大丈夫じゃないかも…)

    

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ