~不気味な視線~
「ガルシア公爵夫人に相談された?」
お母様に呼ばれて何事かと思ったら。
先日あったお茶会でガルシア公爵夫人のソフィ様に相談されたようで、
引き受けちゃったから、何とかしてっ。
って、ことらしい。
「お母様が勝手に引き受けたことです。私には関係ありません」
この間みたいに易々と受け入れる気はない。
なんで面倒事を引き受けた上に、娘に頼むのかな~。
「ティー、お願い!話だけでも…」
「嫌です!」
腕を掴まれるが、振り払って、部屋に戻ろうとする。
が、お母様は怪力だし、大人だし。
逃げられなかった。
「もう!なんでこんなことに~!!」
「うるさいですよ。もう夜なんですから、さっさと寝てください」
オリアナはいつも通り冷たい。
私は被害者なんだから、少しくらい優しくしてくれてもいいと思う。
「毎度毎度、大変ですね~」
顔にでてたからか、気づかってくれる。
やっぱり、オリアナは優しい。
普段は冷たいけど、めちゃくちゃ良い人だ~!
「ふふっ」
オリアナに抱きつく。
「なんですか、離してください」
「普段があれだから、ちょっとでも優しくしてくれると、すごく嬉しい」
若干嫌そうな顔をしているけれど、無理矢理離そうとは、しない。
なんか、お母様より、オリアナってお母さんっぽい。
「私なんか…」
嬉しかった私は、オリアナが一瞬見せた表情の陰りに、全く気づけなかった。
「今日はわざわざ時間をとってくださり、ありがとうございます」
翌日。
ソフィ様は、相変わらず可愛かった。
お母様が絆されるのも、わからなくもない。
だからといって、厄介事を押し付けていい理由にはならないんだけど。
「いえいえ~。同じ公爵家同士ですし、仲良くしたいわ。ところで、その困ったことって?」
お母様が問う。
「実は…」
相談したいことは次のようなことだった。
ある晩。
ソフィ様は眠れなくて目を覚ましたらしい。
「水でも飲もうかしら」
あまりに遅くだったから、使用人を呼ぶのも気が引け、自分で厨房まで行く。
廊下を歩いていると、一ヵ所だけ、窓が開いているのに気づいた。
誰かが閉め忘れたのだと思い、窓を閉めようとする。
が、窓から見える木々の間から、誰かが覗いているのが見えた。
この時は勘違いかと思ったが、自室にいるときや、外で買い物をしているときにも、似たような視線を感じるのだそうだ。
無論、視線の主は雇っている使用人たちではない。
不気味に思って、旦那さんに相談したが、勘違いだとか、よくあることだとか。
日に日に視線を感じる数も増え、あまりにも不気味だから、お母様に相談したようだ。
「旦那様の言う通り、思い過ごしだと思ったんです。でも、一度気になりだしたら…」
眉尻を下げたソフィ様は庇護欲を掻き立てられるような、表情だ。
モテそう…。
全く関係ないことを考えてしまい、側で立っていたオリアナにジトリとした眼でみられる。
解決策を考えないとな…。
「あのソフィ様。最初に視線を感じた開いた窓って、お屋敷のどの位置にあるんですか?」
「えっと…。確か、厨房へ繋がる階段の近くの窓でした」
「ということは、窓は二階に?」
「はい。そうです」
階段ね~。
二階となると、微妙だけど…。
「ソフィ様。実際に目で確認したいので、今度お屋敷にお邪魔させて頂けないでしょうか?」
「はい。いいですけれど…」
なんで、わざわざ屋敷に…?
という表情で言われるが、ニッコリ笑って返す。
「人から聞くのと、実際に目で見るのとは、天地の差があるんですよ」
大人数で行っても迷惑なので、明後日。
私とオリアナでお屋敷に行くことになった。
「ティー、何かわかったの?」
「さあ、どうでしょう」
「教えなさいよ~」
「確証が持てません」
お母様が知りたがるが、教えない。
面倒事を押し付けた仕返しだ。
すっきりした~!
晴れた気分で、ガルシア家に行く準備を整える、ヴァレンティーナであった。
レベッカ・グランメル
→金髪・赤色の眼・ヴァレンティーナの母・男勝りな性格
レベッカ:レベッカ・グランメルです!
年は永遠の二十歳だよっ
ティーナ:何言ってるんですか、お母様。
実際はさんじゅぅ…うぐっ!
レベッカ:女性の年齢は言っちゃダメだよ!
ティーナ:(全然女の人らしくないのに…。てい
うか、口押さえないで、痛い…)