覇道
短いのでサクッと読んでください!
今日も庭先で物思いにふける。今日で何年目だろうか……いまだ私の覇道は終わりを迎えない。
覇道とは何かだと?もちろんハーモニカに決まっているではないか!私はハーモニカを今年まで……約6年間にわたって練習しているのだ!凄いだろう?この情熱が伝わるか!?この私の!長きに渡る練習の成果が!ふっ……といっても文字だけでは伝わらんか……まぁいい……君達には私の覇道が理解できんだろう。それも仕方なしだ。そんなことを考えていると、私の目の前を少年が浮かばない顔で歩いていった。
「む?どうしたんだそんなに浮かない顔をして?」
「へ!?は、ハーモニカおじさん!?」
ふむ。私は周りにはハーモニカおじさんと呼ばれているのか。いかにも私にあった名前だ。周りの私はネーミングセンスに感心しうんうんと頷いた。
「とりあえずきたまえ。茶でも入れよう」
そういって私はもう1つグラスを持ってきてやかんからお茶を入れる。それを啜りながら少年の話を聞く。
「それで?」
私がそう聞くと少年は浮かない顔のままで口を開き話し始めた。
「そ、その……実は音楽のテストで良い点が取れなくて……」
音楽の授業だと!?まさに私の専門分野ではないか!
「いいだろう!私が音楽の真髄と言うものを教えてやろう!」
「ほ、ほんと!?ハーモニカおじさんの協力があれば百人力だよ!」
「だが私の歩む道は覇道だぞ?いいのか?」
「うん!」
「そうか。それで何の曲なんだ?」
「エーデルワイス!!」
ふむ。あの曲か……。懐かしいな……。
「いいだろう。ならまずは手本を見せてやる」
「お願いします!師匠!」
師匠か……ついに私もそう呼ばれるときが来たか……そんな物思いにふけながら私はハーモニカを口に銜え……
「ピーーーーーーッッッ」
お読みいただきありがとうございました!