36. ザ・セカンド・ティタノマキア その⑳
「あらら、終わっちゃったじゃない。どうするの? ガイアちゃん」
この世界のどこか、「夜」ある場所にある、秘密の宮殿。その玉座の間に、三柱の神が集まっていた。
ひとりはガイア。残りは、玉座に座る黒装束の女と、その傍らに立つ、四十代くらいの外見年齢の、痩せた男性。
〝始原の五神〟のうち、〝夜〟と〝冥府〟を司る神……ニュクスとエレボスである。
「また何か面白いもん見つけるよ。何年後になるかは知らねえけど」
「ふうん。あなたの趣味だし、とやかく言うつもりはないけれど。あまり恨みを買うと、そのうち痛い目に遭うわよ?」
ニュクスの心配そうな眼差しに、傍らのエレボスも、賛同の視線をガイアに送った。
「あはっ、そりゃねえよ。あーし無敵だもん。誰も止められやしねえよ……ククク」
混沌を求める女神は、次の快楽を見据え、妖しく嗤う。
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「えぇー……」
「むむ……」
吹きすさぶ夜風の中。ハルパーの斬撃だのヘファイストスの砲撃だので壊滅的な被害を受けた柚葉駅周辺で、たたずむ男女が一組。怪原希瑠と神院優愛だ。
「ちょっ……コレ、どういうことなの⁉ 地震⁉ 店の中では揺れなかったわよ⁉」
「んー……」
「なんなのよぉー! こんなことってある⁉」
瓦礫の山と化した駅前通り。しかし、どういうわけか、彼らがお茶していた喫茶店はまったくの無傷だ。三階建のテナントの二階より上は吹っ飛んでいるにもかかわらず。
一時黙った希瑠は、「ハッ」と鼻を鳴らして含み笑いをした。
「そうさなあ。三つ首の犬にでも、化かされたんじゃないか?」




