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5月1日

5月1日、やけに下から目線の新聞屋が来た。

5月1日「つくも」


午後6時過ぎ、自室にて——

『よくないなぁ...こういうのは...』

俺は自室のベッドの上でノートPCを開きYouTubeを見ていた。

「やっぱこいつ清々しい程嫌な奴だよなぁ」

「このベルト...欲しいな...」


ピンポーン

「誰だ?こんな時間に、まぁ、誰かしら出るだろ...あ、家にいるの俺だけか」

俺は気怠く重い体を起こし玄関を開ける。


「こんばんはー、新聞屋ですー」

玄関を開けると新聞屋と名乗る若い男が立っていた。

「あ、こんばんはー?」

俺は挨拶を返す、なぜか疑問形で。

「すいません、GWでお休み中でしたか?だとしたら申し訳ないです~」

男は言う。

「いや、別にそんなことはないっすけど...」

俺は答える、今日普通に学校あったし...

「あぁ、ならよかった!あの、いまお宅って新聞とってますか?」

男は続けて言う。

「うちはそういうのはとってないですね」

最近はスマホとかで簡単にニュースも見れる時代だしね。

「そうですか...うちの新聞をご契約してもらえないでしょうか」

男は異常と呼べるほどに下から下からとまるで懇願するかのように言ってくる。

「いえ、今うち俺のほかに家族いないんでちょっと決めかねますね」

そもそもまず根本的にそこだ、俺の一存で契約とかできないから。

「そうですか...今うち発行部数がピンチで赤字寸前なんですよ...どうにか考えてもらえないでしょうか」

う、うさんくせー!!いや、同情なんてできないからね!?

「すいません、俺が勝手に決められることじゃないんで...」

それでもなお男は続ける。

「いつもなら1年とか2年なんかで契約してもらうんですけど今なら数か月でもいいので、決めちゃってもらえないですか?」

おいおい、これって詐欺とかじゃないでしょうね...

「ごめんなさい、親がいれば相談とかできるんですけどね」

すると男はようやく諦めたようで。

「そうですか...すいません、しつこくしてしまって...」

やったー!やっと諦めてくれたー!

「いえいえ、お疲れ様です」

俺はドアノブに手をかける。

「すいませんでした、ではまた後日来ますね、失礼しまーす」

男はそう言い去って行った。


「ふう...ん?また後日来ますねって言ってなかった!?また来るのかよ!」


どうか俺のいない時に来てくれ、そんな切実な思いを抱きながら自室に戻った――

いまだに本物の新聞屋だったのかが疑問である。

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