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軍備を整えましょう

「なんで自衛隊なのじゃ? 国防軍でよかろうが」

「それな」

 この会話で、自衛隊がそのまま国防軍になった。左巻きのマスコミが発狂した。


 そもそも、昭和初期にマラッカ海戦で日本海軍が歴史的大敗北を喫し、屈辱的な内容での講和をした経緯があった。大東亜共栄圏は解体寸前になり、日本の軍備は縮小を余儀なくされたのである。

 敗戦の責を負って当時の東条内閣は総辞職し、喜多川信定が総理大臣職に就いた。彼は信秀の父、信隆の祖父に当たる。当時41歳であった。

 信定は蓬莱国から援軍を呼び寄せ、大胆にも本土の防衛すべてを任せ、全力で出撃した。この時点で講和を破棄している。

 もともと海軍の出身であり、恐ろしいことに総理自身が先陣を切っていたのである。沖縄で補給を済ませ、旗艦尾張を先頭に進軍を続け、フィリピン沖でフランス、スペイン、ポルトガルの連合艦隊を撃破した。

 そのまま進軍を続け、アチン沖でイギリス艦隊を撃破しインド洋東半分を制圧してのけた。ゴア講和条約でマラッカ海戦以前の領土を取り戻したのである。

 余談であるがこのイギリス艦隊の敗北を得てインド本土ではイギリスの支配体制が緩んだ。各地で反乱が相次ぎ、のちのガンディーの独立運動に繋がってゆくのである。


 閑話休題。

 発狂したマスコミは意味不明なレッテル張りを繰り返した。

「軍靴の響きがー! 侵略の歴史がー!」

「まあ、東南アジアとかに進出したのは事実だがな? 日本が欧州の植民地になれってことを言いたいのかね?」

「戦争になったら死人が出る。命が一番大事、人命軽視だー!」

「では、その暁新聞の貴方。命さえあればそれでいいというのであれば、仮にと前置きしておくのだが」

「なんでしょうか?」

「まずあなたの人権をすべて剥奪する。奴隷として扱い、そうだな、朝晩鞭で殴る。気に食わないことがあったら殴る。気分転換に殴る。殴った後は治療を施し、食事も最低限与える」

「なんだそれは! ふざけているのか!」

「何を怒る? 命は奪っていないぞ? そもそもたとえ話ではないか」

「そういう問題ではない!」

「そうだな、おっしゃる通りだ。人が人として生きるにあたり、尊厳が必要である。貴方はそう言いたいのだな?」

「その通りだ!」

「命と同じくらい大事だということで間違っていないか?」

「……!?」

 ここで記者はしまったという顔をした。

「さて、命が保証されているイコールそれでいいということにならないことは今のやり取りでも明らかである。話を戻そう。

 ちと極論に走ったきらいはあるが、命があればそれでよいということではない。無論、いたずらに軽視してはならないが、国民を背負って前線で命を張る将兵がいる。彼らについてどう思う?」

「命を奪うのは鬼畜の所業だ!」

「言いたいことはそれだけか? ならばお主は今すぐ前線に赴き、その主張をもって戦闘を止めるがよい。止められるならな。そもそも自分がその鬼畜の所業によって守られている自覚もない。それは卑怯ではないのか?」

「ぐぬぬぬぬぬ」

「唸るだけならそれこそ獣でもできるわ。自分の放った言葉に責任を持てぬのは大人として、社会人としてあるまじき行為である。それとも貴様、新卒の学生気分が抜けておらんのか?」

 反論してきた野党議員は顔だけでなく首まで真っ赤である。

「ああ、それとだ。キリスト教団体への過剰な寄付はあらぬ疑いをもたれますぞ?」

 今度はいきなり顔色が真っ白になった。後ろ暗いことがあるにしてもあまりに胆力に欠ける。信隆は密かに嘆息した。敵が無能すぎる。


 さて、信隆は軍務大臣を新設した。その下に陸、海、空の副大臣が付く。初代大臣は佐久間盛隆が任命された。ちなみに、大臣は元帥位相当となる。軍人の階級も旧来に倣って改められた。

 陸軍は前田利孝副大臣、海軍は藤堂信虎副大臣、空軍は明智光孝副大臣。副大臣は大将の階級となる。参謀総長に真田昌長大将、後方支援のトップとして兵站局長に丹羽長信中将。彼らが日本の国防を担う。

 そして国防軍にまつわる法律が施行される日、総理および今上帝が参列の上記念式典が催された。

 京都府大山崎の軍演習場。古来、織田幕府成立のころからここは様々な催しと、軍の訓練に利用されてきた。

「諸君! 諸君らの後ろには一億二千万の国民の暮らしがある! 命を賭して国家の盾となる諸君らに、何とか報いることができないかと常に思っていた。まず、軍として成立させ、軍人としての名誉と尊厳を得ることができた。これは第一歩である。

 軍を用いるは凶事である。武力衝突は最後の手段である。わたしは諸君らを死なせたくない。なぜならば、諸君らも私が守るべき国民であるからだ。

 しかし、そうも言っていられないことは常にありうる。悲しいけどこれは現実である。わが祖先、織田信秀公はこう申された。兵を犬死させてはならぬ。命を懸けるに値するものを常に用意せよ。

 私はためらわない。必要に応じてわたしは諸君らに死ねと命ずる。だが一つだけ約束しよう。わたしは諸君ら一人足りとも犬死させはしない。故に敢えて言おう。安心して死ぬがよい!」

「「「おおおおおおおおおおおおおおお!!」」」

 兵の熱狂を一身に浴びる。初めての、だがどこか懐かしい感覚だ。

「問おう、貴様らの為すべきことはなんだ!」

「「「殺せ! 殺せ! 殺せ!」」」

「貴様らの得意なことはなんだ!」

「「「殺せ! 殺せ! 殺せ!」」」

「貴様らは国を、民を愛しているか!」

「「「弾正! 弾正! 主上!」」」

「よくぞ申した! 貴様らの命、内閣総理大臣たる喜多川秀隆が預かった!」

「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」


 翌日の新聞の一面はひどかった。

 総理が兵に死ねと言い放ったとされている。話な流れ? 何それおいしいの? 印象操作でこれであのマスコミをないがしろにする総理を引きずり落としてやるという意図がありありだった。

 そして、総理の優秀なブレーンはあらかじめ手を打っていた。首相官邸メールマガジン、ツブヤイターほかのSNSソーシャルメディアサービスを利用し、マスコミを介さずに情報を流していた。

 そしてメールマガジンには、軍設立に当たり、総理の演説全文を掲載していた。同時に今上帝がそれを古今まれにみる名演説であると絶賛していた。すっごいニヤニヤしながら。

 新聞社は朝から電話が鳴りやまなかった。それは印象操作によってデマを流したという抗議の電話である。彼らは情報は自分たちが一手に担っていると思い込んでいた。だがスマート端末の普及による紙媒体の衰退と、メディアを介さずにつながる独自の情報網の存在をあまりに軽視していたのだ。

 新聞の代理店は朝から解約手続きの数に頭を抱えていた。こんな嘘ばかり書き立てる新聞はいらないとクレームの雨あられを受ける。

 政府の情報の扱いは明確であった。裏のとれる情報しか載せないのである。そして加工しない。総理の演説や言動はそのまま記載され、動画なども簡単に見つかる。無論失策やミスもあるがそれもありのままに公開する。ミスにはフォローを添えている。そうすることで、政府からの情報は正しいと印象付けるのである。


「まあ、全部を公開はしていませんがね」

 涼しげな顔で秀隆がうそぶく。それはそうだ。国防上、国益上その時点で非公開の情報など山ほどある。ただしそういった情報についてはマスコミは触れることができていない。省庁にそういったリークには厳罰を持って臨むことを徹底し、実は法改正も住んでいる。

 すべてが上手に回られていることを理解しないまま、デマゴーグの象徴たるマスコミは衰退していくのだった。

乾坤一擲の番外編3の加筆修正版です。

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