第四話
フワフワで温かいものにベッタリくっついてお昼寝を楽しんでいた
軽い衝撃にぼんやりしながら薄く目を開けると、フワフワな尻尾が動いているのが見えた
力を加減してくれているのだろう尻尾は、ゆっくり体を軽く叩いている
それが心地よくて開けた目を閉じて、フワフワで温かいものに喉を鳴らしてすり寄った
「起きろ」
低い声が聞こえたが、あまりの心地良さに聞こえないふりをした
「おい」
けれども、すぐに聞こえた苛立った声と少し強くなった尻尾の衝撃にノロノロと体を起こした
ふわーっと欠伸をしてからゆっくり伸びをして毛繕いをしていると、ふわりとお日様の匂いがした
目を開けると目の前にいい香りのするフワフワな毛が見えた
思わず顔を近づけて匂いを嗅ぎながら額をこすりつけた
そのまま、すりすりクンクンしているとピシリと鋭い音がして慌てて離れて顔を上げた
「いい加減にしろ」
フワフワな尻尾でどうしてそんなに鋭い音が出るのか分からないけれども、叩かれている地面からは砂煙が上がっていた
「ごめんなさい」
「聞き飽きた」
即返って来た低い声に思わず呟いた
「だって・・・」
「なんだ」
「いい匂いがする!」
少しだけ優しく聞こえた声に顔を上げて叫ぶと、目を細めて鼻に皺を寄せているのが見えた
「ふっ、鼻が利かないなんて致命的だな」
返って来た馬鹿にするような、楽しそうな声に苛立って、尻尾で地面を力任せに叩いた
「むー」
力一杯地面を叩いたはずなのに、聞こえて来たのは頼りない音だった
何だか悔しくて何度も何度も地面を叩いていると、突然出て来た前足が尻尾を押さえつけた
「何をしているんだ」
呆れたような低い声に顔を上げたけれども、悔しくて悲しくて耳が後ろに倒れた
「音が違うの・・・」
「そんなことか、大きくなればその内鳴るさ」
「むー」
納得出来ずに顔を下げると、ペロリと頭を舐められた
そのままゆっくり毛繕いするように舐められて、気持ち良さに思わず喉が鳴った
「くっ、ははは」
頭の上から楽しそうな笑い声が聞こえた