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私の望みはひとつだけ  作者: MIK
出会い
3/21

第三話

突然強くお腹を押されて気持ち悪くなり、込み上げて来たものを吐き出すと代わりに空気が入って来た

むせて咳き込んでいると、急に背中が暖かくなった

どうやら濡れて張り付いている毛を誰かが舐めてくれているようだ

呼吸が落ち着くと急にふわりと体が持ち上がった

しばらく銜えられたまま移動するようだ

濡れたままなので、普段は心地よいはずのそよ風が吹くたび寒くて仕方なかった

急に地面に降ろされたが、寒くて縮こまっていると呆れたような低い声が聞こえて来た

「さっさと水を払え」

力を振り絞って体を揺らすと思った以上に水が跳ねた音がした

震えながら繰り返し体を揺らしていると、また銜えられて運ばれた

次に降ろされたのは乾いた草の上で、寒くてブルブル震えているとまた、呆れたような低い声が聞こえた

「早くこっちに来い」

もう動けなくて必死に声を上げると不機嫌そうな鼻息が聞こえた後、銜え上げられすぐに離された

フワリとした浮遊感に無我夢中で手足を動かしたが、すぐにフワフワで温かいものに包まれた

ボーッとしていると器用に鼻先で裏返された

あまりの寒さに暴れると低い唸り声が聞こえて来た

本能的に硬直すると、すぐに唸り声は止まり、代わりに勢い良くお腹を舐め始められた

お腹の毛が乾くと震えが大分おさまった所で、鼻先で裏返される

触れていた温かさが無くなって思わず声を上げると、フワフワで温かいものが震えだした

しがみついて声を上げると、楽しそうな低い声が聞こえて来た

「悪い、あまりにも情けない声を出すから、つい笑ってしまった」

どうやら、このフワフワで温かいものは、この低い声の体のようだ

ボーッとしていると、声の(ぬし)は背中を舐め始めた

全身の毛が渇き始めると温かくなってきて、段々眠くなって来た

ついに堪え切れずにフワフワで温かいものに頭がポスッと落ちると、ふわりとお日様の匂いがした

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