第十八話
思い切り伸ばした手を誰かが掴んだ
〈 良くやった 〉
聞こえて来た低い声に嬉しくなって、思い切り抱き付いてすりすりと甘えた
《 うん! 》
温かくて大きな手に優しく頭を撫でられながら、すりすりと甘えていた首筋に顔をうずめるとふわりとお日様の匂いがした
《 ・・・ん? 》
〈 どうした? 〉
聞こえて来た声につられて上を見上げると、濃い金色の目と視線があった
目の前にあったのは、見ようによっては冷たい印象を与えるような整った顔をした人だった
《 ・・・ん? 》
ジィッと見つめたまま動かない私を見て、その人が首を傾げると艶のある黒髪がサラサラと涼しげな音を立てた
良く考えるために視線を下げると、綺麗な首が目に入った
吸い寄せられるように顔を近づけると、ふわりとお日様の匂いがした
確かめるために、さらに顔を近づけて匂いを嗅いだ
( ああ・・・ )
( 何か、嫌だな )
( うわー )
何か声が聞こえる気がするけれど、今はこちらの方が大切だ
勢い良く顔を上げると、楽しそうに細められた目と視線があった
《 おじいちゃん! 》
嬉しくて、嬉しくて、自然と顔が緩んだ
私の答えを聞いて不機嫌になっていたのに、急にニヤリと笑うと顔を近づけて私の鼻をペロリと舐めた
〈 俺に会えてそんなに嬉しいか、そうか、そうか 〉
《 うん、やっと会えた! 》
(( うわあぁぁ・・・ ))
( 砂、吐きそうだねー )
聞こえて来た声の方を向こうとすると、ガシッと頭を掴まれた
《 ・・・ん? 》
〈 自分の姿が気にならないのか? 〉
《 あ! 》
抱き付いたままだった手を目の前にかざすとそれは人の手だった
驚いていると、大きな手が私の髪を一房持って目の前に差し出し、まるで私に見せつけるかのようにゆっくり髪に口付けた
((( げえぇぇ・・・ )))
綺麗に揃った悲鳴のような声聞こえたがそれよりも顔が熱くなって、誤魔化すように視線を目の前でニヤリと笑っている顔から自分の髪に移した
薄茶色のクセ毛が目に入ってガッカリしていると、くすくす笑う声が聞こえた
〈 目は、藍色だぞ 〉
《 へぇー、イオみたいに真っ直ぐな髪が良かった・・・ 》
〈 取り返たのは色だけだからな、まあ、どっちにしろクセ毛だったがな 〉
むぅっと低く唸っていると、なだめるように優しく頭を撫でられた