第十七話
セールの押し殺した鳴き声で目を開くと、意外と近くにセールの泣きそうな顔があって驚いた
セールの周りを温かい色をした光が心配そうに飛び回っていた
その光を良く見ると、細い線が部屋の外に繋がっていた
その光を辿っていくと、ランと良く話している女の人が忙しそうに働いているのが見えた
どうやらその光は女の人のお腹に繋がっているようだ
首を傾げつつ、部屋へ戻るとアズールの腕に抱かれている自分が目に入った
セールがアズールに抱き締められると、心配そうに周りを飛んでいた光がすっと私に近づいて来た
( セールが泣くから何か頂戴? )
《 いいよ 》
( ありがとう! )
光がそっと私に重なった瞬間、すうっと軽くなった気がした
( じゃあね )
《 うん 》
光はそのまま部屋を出て行った
何だか不思議な感じがして自分を見下ろすと、体が無かった
( そっか、死んじゃったのか )
途端にいろんなことが頭の中を駆け巡った
今まで見ていた景色ががらりと変わった
( 来い・・・ )
( 混乱してるかもしれないだろ! )
( それはないだろー )
((( 痛い!! )))
懐かしい声が聞こえたと思ったら、綺麗に揃って聞こえた後静かになった
《 もしかして、お兄ちゃん? 》
〈 お兄ちゃんだ? 〉
( ああ )
( そうだよ! )
( あってるよー )
《 おじいちゃん! 》
〈 誰が、じじぃだ!! 〉
( え、じじぃ? )
( 痛い! )
《 楽しそうだね! 》
((( 楽しくない )))
〈 焦らなくていい、気になること片付けてから上がって来い 〉
《 わかった! 》
〈 待っててやる 〉
《 うん! 》
( 何でこんなじじぃに・・・ )
( 焦らせてる! )
( なんか、かゆいー )
〈 煩い!! 〉
皆とまた会えると思ったらとても嬉しかった
《 気になること? 》
その後は、意外とヘタレな男たちの世話を甲斐甲斐しく焼いた
特にセール・・・、魂レベルでシンザからは逃げられないのにくっつくまで長かった
セールの心の中の黒い滲みのような、セール自身も気付いていない思いに気付いたときは、逆に色を取り返たのはまずかったかなと焦った
《まあ、終わり良ければ総て良し!》
〈 良かったな 〉
ずっと見守っていてくれたのだろう、タイミング良く聞こえた声に向って飛び上がった