あと一歩
"中学生"。
大人とも子供ともいえない微妙な年頃。そして思春期。異性に興味が沸いてくるのもこの頃だということは、保健の授業で教えてもらった。だからと言って中学生全員が異性に興味を持つわけでもないのだ。私はどちらかと言えば恋愛には疎く、つまり異性には興味がないということだ。
「それって変なことかな?」
隣の席の草太に問いかける。
草太は私の幼馴染みと言える存在。性別は違えど良い関係を築いてきたと思っている。だからこそこんな話もできるのだ。
「んー…。別に変って訳じゃないんじゃね?そりや佳奈みたいにそういうことに興味ねぇやつは居んだろ。」
「例えばそこのガリ勉君とかな」、そう言って教室の隅に居る眼鏡男子を指差す。確かあの子はテスト学年1位の人。確かに恋愛とか興味なさそうだね。別にどうでもいいけど。
「草太はどうなの?」
「俺?俺かぁ…。まあ、好きな奴が居ないっつたら嘘になるけどさ。」
そうか、草太は好きな人いるのか。別に私は草太に恋愛感情を抱いてるわけじゃない。だがもし草太に彼女なんていうものができたら、きっと寂しくなるんだと思う。そう思えばはぁ、と溜め息をついてしまった。
「お前は彼氏できなさそうだな」
「失礼だよ草太」
「だったら彼氏の1人や2人…」
「草太に言われたくありませーん」
そう言って草太から目をそらす。私のこういうとこはホントに子供だ。
「ま、安心しろよ!」
そう言ってバシッと背中を叩かれる。痛い。
「なんなら、俺が嫁に貰ってやっからさ」
「……そりゃありがとさん。」
薄ら笑いを浮かべて私は机に突っ伏した。なんだろ、顔がやたらと熱い気がする。いや、気の所為だ。気の所為だったら気の所為だ。
「……草太に彼女ができなかったら、婿にしてあげるよ」
「ああ、楽しみに待ってるぜ!」
はじけるような笑顔を見せる草太に私も口を綻ばせる。胸の奥がキューっとした。あぁ、分かっちゃったかも。でもしばらくはこの想い、閉まっておこう。
「ばーか」
お互い笑いながら憎まれ口を叩く。
こんな瞬間でも何か幸せを感じてしまう。
いつかこんな感じで伝えてやろうか。今はまだ素直に言えないからさ。
きっと、あと一歩だよ。
思ったより短くなってしまいました。( ノД`)
中学生のころって色々と複雑ですよね。親や友達、部活、先輩、勉強、そして恋愛などなど。私の私情も含めて、書かせて頂きました。
読んでくださり、誠にありがとうございます。