第6章:ベネシアの貴婦人
こんにちは、ミンゴです!
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Pura Vida!
ローズは拳を握りしめ、一歩一歩を慎重に踏みしめた。巨大な猫科の獣――フェリックスが親しげに小走りで近づいてくる。その様子に、ローズの緊張が一瞬だけほぐれた。
滝のように流れる深い青色の髪を肩に流した少女は、動物の気配を感じると口ずさむのをやめた。
「あら! もう来たの?」
彼女は甘い声で言った。
「女の子……?」
ローズは呟き、足を止めた。彼女は傷ついた青年を完全に無視し、フェリックスを撫で始めた。
「ずっとどこにいたの、いたずらっ子?」
(ゴロゴロ……)
獣は低く喉を鳴らし、それから頭を回してローズを見た。少女の温かさは瞬時に蒸発し、鋭い眼差しに取って代わられた。
「あなた……誰?」
「えっと……目が覚めたら、この猫が連れてきてくれたんだ」
ローズは首筋を掻きながら答えた。
(バカっぽく聞こえない言い方がわからない……)
「猫じゃないわ」
彼女は失望したように言い返した。
「フェリックスという名の、高位のネクロフローの獣よ」
「なるほど……」
沈黙が重くのしかかった。不信感の壁は明らかだった。ローズは一歩踏み出そうとしたが、激しい咳き込みに襲われた。
「ゴホッ、ゴホッ!」
口を押さえると、鮮やかな深紅が両手を染めていた。
「怪我は?」
「ああ、いや……傷は塞がっている。大したことじゃない……」
ローズは言葉を続けられなかった。足から力が抜け、視界が真っ暗になった。
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ローズが再び目を開けると、お腹に心地よい温もりを感じた。青い髪の少女が彼のそばにひざまずき、その手は柔らかな青白い光を放っていた。
「目が覚めたのね……気分はどう?」
「だいぶ良くなった。ありがとう」
ローズは起き上がった。
(なんて治癒力なんだ……すっかり元気になったぞ)
「リリア」
彼女は突然そう言った。
「私の名前はリリアよ」
「ああ……俺はローズ。よろしく」
リリアは純粋な好奇心で草の上に腰を下ろした。
「さて、ローズ。ベネシアには何の用? それに、どうしてあんな状態だったの?」
ローズは正直に話すことにした。牢獄のこと、五人の魔術師との戦い、そしてリュウに貫かれたことを。
「雨の日、だったと言った?」
リリアが眉をひそめて聞き返した。
「ああ、戦っている間、ずっと降っていたんだ」
リリアはしばらく考え込んだ後、ローズの血の気が引くような言葉を放った。
「それはとても奇妙ね……だってここベネシアでは、何ヶ月も一滴の雨も降っていないのですから」
「え……?」
ローズは背筋が凍った。ついさっきまで戦っていたはずなのに。
「……俺はどれほど長く眠っていたんだ?」
「まあ、もういいわ。街を案内するから、外に出ましょう」
彼女は再び親しみやすい笑顔を取り戻した。
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リリアは彼をベネシアの中心部へと案内した。千年の巨樹に家々が溶け込む、非現実的なほど緑豊かな場所だ。
「何か考えてるの?」
リリアは立ち止まり、彼の顔を覗き込んできた。
「わっ……!」
ローズはその近さに驚いて後ずさった。
(近すぎる……!)
「いや、ただこの場所が綺麗だと思って……」
「本当? 最高のものはこれからよ」
二人は巨大な城の前にたどり着いた。
「あれが女王の宮殿。ベネシア最強の『スワッチ僧』も住んでいるけれど、今は旅に出ているわ。今はエリザベス女王陛下だけがいらっしゃるの」
宮殿に入る間、ローズはその豪華さに息を呑んだ。
(地下牢にいた俺には、毒のような眩しさだ……)
「ローズ、こっちよ」
リリアが大きな広間へと導いた。だが、次の瞬間、豪華さは凶器へと変わった。衛兵たちがローズを取り囲み、槍をその首に突きつけたのだ。
「あの少年は……何者だ?」
威厳ある声が玉座から響いた。
「エリザベス女王陛下です」
リリアは跪いた。
「陛下、彼は私の領地に侵入した、ただの浮浪者に過ぎません」
(浮浪者……!?)
ローズの心臓が跳ねた。裏切りは、リュウの傷よりも深く彼を刺した。
「なるほど。ならば、直ちに投獄せよ」
「チッ……!」
ローズの血が沸騰した。信じた俺が馬鹿だった……! 結局、俺を動物のように引き渡すのか!
ローズは拘束を振りほどき、怒りに燃えてリリアに襲いかかった。だが、彼女の瞳が冷たく光った。
「――深淵の支配」
固まった水の触手がローズを捕らえ、青い虚無へと引きずり込んだ。
ドボンッ!
水に囲まれているのに、なぜか呼吸はできた。
「ローズ、少し落ち着いて……」
リリアが目の前に現れ、心配そうに浮いていた。
「黙れ! また閉じ込めるつもりか!」
「違うわ! あなたが誤解しているの!」
リリアは悲しそうに叫んだ。
「ベネシアでは、異邦人というだけであなたは処刑されていた。法を逃れる唯一の手段は、あなたを『ただの浮浪者』と呼ぶことだったの。私はあなたの命を救ったのよ、バカ……」
ローズは凍りついた。不信感という彼の鎧が、リリアの言葉で砕け散った。
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大理石の間に戻ると、エリザベス女王は依然として激怒していた。
「彼があなたを襲ったのよ、リリア! 衛兵たち、処刑しなさい!」
「ダメ! 彼を私のそばに置いておいて」
リリアが口を挟んだ。
「何だと!?」
女王とローズが同時に叫んだ。
「ほら、彼はフローレス(無能力者)なの。危険じゃないわ。私の小屋に泊まらせてあげて」
エリザベス女王は軽蔑の眼差しで目を細めた。
「……許可しましょう、リリア。だが浮浪者よ、もし彼女を裏切ったら私が殺す。他の者たちが戻ったら、危険度テストを受けさせるわ」
ローズは抑えた憎悪の眼差しで女王を見返したが、何も言わなかった。
「その必要はありません。私はすでに保証します」 リリアは力強く答えた。
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草原に戻ると、リリアはうつむき、異様に落ち込んだ様子で歩いていた。ローズは唾を飲み込んだ。
「……説明もせずにごめんね。あんなに激しく反応するとは思わなかったの」
「いや……俺の方こそ、悪かった」
ローズは目をそらした。
「正直に言うと、あなたを見た瞬間、フローレスだとわかったわ。だからこの計画を立てたの」
「……俺を癒して、守ってくれて……ありがとう、リリアさん」
「ええ……だって、あなたがとても無防備に見えたから」
彼女は、ローズを子供のように扱うあの優しい口調を取り戻した。
「あなたを殺されたくなかったの、ローズくん。とても弱そうに見えたから……」
「弱そう?」
ローズは眉をひそめた。ゴリアを貫いたあの力を思い出しながら。
「ところで、女王様が言っていた『他の者たち』って?」
「ああ、私たちの精鋭部隊『ダンサー』のことよ。五人で王国を守っているの。私もその一人」
ローズは固まった。自らを
「ただのヒーラー」
と呼んでいた少女は、国家の精鋭だったのだ。
「五人の中で、私は断トツで一番弱い方だけどね。――さあ、帰ろうか」
(あの技で最弱……? 他の四人は一体どんな化け物なんだ……)
「帰るって……どこへ?」
「家に帰るの。今日から、私と一緒に暮らすのよ」
彼女はいたずらっぽい笑みを浮かべて付け加えた。
(……あの小さな小屋で、二人きりか。まあ、牢獄に比べれば天国だな)
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次回は第7章でお会いしましょう。
コスタリカよりご挨拶申し上げます!




