第5章:権力者たちの忘却
ミンゴです!
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Pura Vida!
風がローズの耳元で唸り、彼の体は北東へと空気を切り裂いて飛んでいった。アルフィルの鎧による跳躍は、一つ一つが苦痛だった。金属はますます重く感じられ、視界はぼやけ、赤みを帯びたベールに覆われていく。
「はあ……はあ……」
ローズは下を見下ろしたが、そこには果てしなく続く樹木の海しか見えなかった。
「どこ……ここはどこだ?」
村もなければ、明かりもない。ただ、次第に弱まりつつある嵐の轟音だけが響いていた。
(出血している……)
彼はそう思い、四肢を走る冷たさを感じた。
(もう追ってこないだろうけど……うっ)
世界が回り始めた。彼の力は完全に失われ、首飾りの輝きは消えた。ローズは空中で倒れ込み、森の暗い抱擁へと急降下した。
(本当にここで死ぬのか? 嫌だ……戻る前に……)
その思考は途切れた。首飾りの輝きは完全に消え、ローズは森の闇へと呑み込まれていった。
バキィッ!
枝が彼の落下を和らげ、苔の上に激突するのを防いだ。ローズは一瞬目を開けたが、影しか見えなかった。そして、完全な闇が彼を飲み込んだ。
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リバダビス中央首都:王宮
「そして……それが最終報告です、陛下」
ルー将軍は汗を拭いながら報告を終えた。ザビエル王は石の玉座にもたれかかり、ため息をついた。
「なるほど。街が無事だと安心した。しかし……囮となった囚人が消えたと言うのか」
「はい、陛下! フローレスです」とルーは確認した。」
「うーん……」
ザビエルは、銀色の髪の一房を弄んでいる若い女性の方を向いた。
「ビアンカ様、お越しいただきありがとうございます。あなたがいなければ、我々は一体どうなっていたか」
「いえ、大丈夫ですよ、ザビエル王様」
ビアンカはいつもの歌のような口調で答えた。
「でも本当に、ルーおじさん……10キロ圏内に誰もいなかったのよ。あなたが言うその囚人……そんな人物は存在しないわ」
「しかし……私は彼を見ました、ビアンカ様。彼は負傷していて――」
突然、居間の温度が氷点下まで下がったように感じた。目に見えない圧倒的な圧力がルーの肩にのしかかり、彼は膝をつかざるを得なかった。ビアンカは彼をじっと見つめていた。彼女の笑顔は、もはや目に届いていなかった。
「ねえ……」
彼女の声は、今や電気を帯びたささやき声になっていた。
「私、十二人のうちの一人が、目に見える人物を感知できなかったとでも言うの? 私の知覚は間違えないわ、将軍」
「うっ……」
ルーは震え、肺から空気が抜けていくのを感じた。
「たとえフローレスであっても」
彼女は冷たく鋭い口調で続けた。
「遠くからでも見抜くことは可能よ。私の知覚は間違えない、将軍」
「ビアンカ様、どうかお落ち着きを……」
王は恐る恐る口を開いた。ビアンカは鼻を鳴らし、圧力が一気に消えた。
「チッ。まあいいわ」
(王の前で私に『チッ』と言ったのか?)
ルーは恐怖で思った。
「十二人の大規模な会合は八か月後よ」
ビアンカは気楽な口調を取り戻して言った。
「8人の部門長と10人の冒険者マスターが参加する大集会で、今日の出来事は私が報告しておきます。ご心配なく、王様。話題になるでしょうね」
「なるほど……それはビアンカ様にお任せします」
「ええ、ええ。それでは、ザビエル王様」
彼女はふざけた仕草で別れを告げると、部屋を出ていった。
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リバダビスの森
太陽の光が古木の梢の間から差し込んでいた。ローズはまばたきをし、視界を捉えようとした。最初に目に入ったのは、皿のように大きな、黄金色の猫のような瞳だった。
「ん……ん?」
ローズは視点を集中させた。わずか数センチの距離で、巨大な猫科の動物が自分を見つめていた。威圧的な存在感を放つ捕食者だ。 ローズがその光景を理解するのに3秒かかった。
「ぎゃああああああ!」
アドレナリンが噴き出し、飛びのこうとしたが、筋肉が言うことを聞かなかった。
ドスン!
再び苔の上に倒れ込んだ。猫はゆっくりと近づき、予想外の優しい声でこう鳴いた。
「ニャー」
その生き物は、ローズの傷口を舐め始めた。ローズは身構えたが、痛みは訪れなかった。自分の体を見ると、彼は呆然とした。致命傷だった傷跡は、ピンク色の瘢痕だけになっていた。
「俺の傷……治ったのか? お前は神か?」
「ニャー」
突然、ローズは絶望的に胸に手を当てた。指は冷たい金属の感触を探したが、何も見つからなかった。
「ない……」
彼は囁き、その顔は曇った。
「俺の鎧が……消えた」
怒りの戦慄が背筋を走った。あの首飾りは、彼の力との唯一の繋がりだったのだ。
(チッ……盗まれたのか? つまり近くに誰かがいるということだ。見つけ出して……殺してやる)
ローズはよろめきながら立ち上がった。猫は歩き始め、茂みの中へと彼を導いた。
「あっちに行くのか?」
何時間も歩いたように感じた。ローズは忍耐力を失い始めていた。
(このクソ猫、どこへ連れて行くつもりだ)
「ニャーオオオオオ!」
「まさか……俺の心を読んだのか?」
「ニャー」
ついに森は夢のような風景へと変わった。透き通った湖と、小さな木造の小屋。 家の中では、誰かが静かなメロディーを口ずさんでいた。ローズは筋肉を張り詰め、殺気立った眼差しを向けた。
(あそこにいる)
彼は拳を握りしめた。
(俺の力を奪った奴が、あそこにいる)
著者注:
第5章をお読みいただきありがとうございます! 強力な「十二人」の一人、ビアンカが登場しました。彼女の力は圧倒的ですね。 そして、ローズを救った謎の猫と、森の小屋に住む人物……。
次回、ついに新展開が始まります! ぜひブックマークと評価で応援よろしくお願いします! Pura Vida!




