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第5章:権力者たちの忘却

ミンゴです!

デビューから1週間が経ちました

第5話をお楽しみください!

気に入ったら、お気に入り登録や評価で応援をお願いします!

Pura Vida!

風がローズの耳元で唸り、彼の体は北東へと空気を切り裂いて飛んでいった。アルフィルの鎧による跳躍は、一つ一つが苦痛だった。金属はますます重く感じられ、視界はぼやけ、赤みを帯びたベールに覆われていく。


「はあ……はあ……」


ローズは下を見下ろしたが、そこには果てしなく続く樹木の海しか見えなかった。


「どこ……ここはどこだ?」


村もなければ、明かりもない。ただ、次第に弱まりつつある嵐の轟音だけが響いていた。


(出血している……)


彼はそう思い、四肢を走る冷たさを感じた。


(もう追ってこないだろうけど……うっ)


世界が回り始めた。彼の力は完全に失われ、首飾りの輝きは消えた。ローズは空中で倒れ込み、森の暗い抱擁へと急降下した。


(本当にここで死ぬのか? 嫌だ……戻る前に……)


その思考は途切れた。首飾りの輝きは完全に消え、ローズは森の闇へと呑み込まれていった。

バキィッ!

枝が彼の落下を和らげ、苔の上に激突するのを防いだ。ローズは一瞬目を開けたが、影しか見えなかった。そして、完全な闇が彼を飲み込んだ。

________________________________________

リバダビス中央首都:王宮


「そして……それが最終報告です、陛下」


ルー将軍は汗を拭いながら報告を終えた。ザビエル王は石の玉座にもたれかかり、ため息をついた。


「なるほど。街が無事だと安心した。しかし……囮となった囚人が消えたと言うのか」

「はい、陛下! フローレスです」とルーは確認した。」

「うーん……」


ザビエルは、銀色の髪の一房を弄んでいる若い女性の方を向いた。


「ビアンカ様、お越しいただきありがとうございます。あなたがいなければ、我々は一体どうなっていたか」

「いえ、大丈夫ですよ、ザビエル王様」


ビアンカはいつもの歌のような口調で答えた。


「でも本当に、ルーおじさん……10キロ圏内に誰もいなかったのよ。あなたが言うその囚人……そんな人物は存在しないわ」

「しかし……私は彼を見ました、ビアンカ様。彼は負傷していて――」


突然、居間の温度が氷点下まで下がったように感じた。目に見えない圧倒的な圧力がルーの肩にのしかかり、彼は膝をつかざるを得なかった。ビアンカは彼をじっと見つめていた。彼女の笑顔は、もはや目に届いていなかった。


「ねえ……」


彼女の声は、今や電気を帯びたささやき声になっていた。


「私、十二人のうちの一人が、目に見える人物を感知できなかったとでも言うの? 私の知覚は間違えないわ、将軍」

「うっ……」


ルーは震え、肺から空気が抜けていくのを感じた。


「たとえフローレスであっても」


彼女は冷たく鋭い口調で続けた。


「遠くからでも見抜くことは可能よ。私の知覚は間違えない、将軍」

「ビアンカ様、どうかお落ち着きを……」


王は恐る恐る口を開いた。ビアンカは鼻を鳴らし、圧力が一気に消えた。


「チッ。まあいいわ」

(王の前で私に『チッ』と言ったのか?)


ルーは恐怖で思った。


「十二人の大規模な会合は八か月後よ」


ビアンカは気楽な口調を取り戻して言った。


「8人の部門長と10人の冒険者マスターが参加する大集会で、今日の出来事は私が報告しておきます。ご心配なく、王様。話題になるでしょうね」

「なるほど……それはビアンカ様にお任せします」

「ええ、ええ。それでは、ザビエル王様」


彼女はふざけた仕草で別れを告げると、部屋を出ていった。

________________________________________

リバダビスの森

太陽の光が古木の梢の間から差し込んでいた。ローズはまばたきをし、視界を捉えようとした。最初に目に入ったのは、皿のように大きな、黄金色の猫のような瞳だった。


「ん……ん?」


ローズは視点を集中させた。わずか数センチの距離で、巨大な猫科の動物が自分を見つめていた。威圧的な存在感を放つ捕食者だ。 ローズがその光景を理解するのに3秒かかった。


「ぎゃああああああ!」


アドレナリンが噴き出し、飛びのこうとしたが、筋肉が言うことを聞かなかった。


ドスン!


再び苔の上に倒れ込んだ。猫はゆっくりと近づき、予想外の優しい声でこう鳴いた。


「ニャー」


その生き物は、ローズの傷口を舐め始めた。ローズは身構えたが、痛みは訪れなかった。自分の体を見ると、彼は呆然とした。致命傷だった傷跡は、ピンク色の瘢痕はんこんだけになっていた。


「俺の傷……治ったのか? お前は神か?」

「ニャー」


突然、ローズは絶望的に胸に手を当てた。指は冷たい金属の感触を探したが、何も見つからなかった。


「ない……」


彼は囁き、その顔は曇った。


「俺の鎧が……消えた」


怒りの戦慄が背筋を走った。あの首飾りは、彼の力との唯一の繋がりだったのだ。


(チッ……盗まれたのか? つまり近くに誰かがいるということだ。見つけ出して……殺してやる)


ローズはよろめきながら立ち上がった。猫は歩き始め、茂みの中へと彼を導いた。


「あっちに行くのか?」


何時間も歩いたように感じた。ローズは忍耐力を失い始めていた。


(このクソ猫、どこへ連れて行くつもりだ)

「ニャーオオオオオ!」

「まさか……俺の心を読んだのか?」

「ニャー」


ついに森は夢のような風景へと変わった。透き通った湖と、小さな木造の小屋。 家の中では、誰かが静かなメロディーを口ずさんでいた。ローズは筋肉を張り詰め、殺気立った眼差しを向けた。


(あそこにいる)


彼は拳を握りしめた。


(俺の力を奪った奴が、あそこにいる)






著者注:

第5章をお読みいただきありがとうございます! 強力な「十二人」の一人、ビアンカが登場しました。彼女の力は圧倒的ですね。 そして、ローズを救った謎の猫と、森の小屋に住む人物……。

次回、ついに新展開が始まります! ぜひブックマークと評価で応援よろしくお願いします! Pura Vida!


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