第2.2章:フローレス
第2.2章は期待大です。読んでみて、感想を教えてください
雨に濡れた戦場は敵陣営の緊張を漂わせていたが、それは戦いの始まりに過ぎなかった。
「へへへへへ!! じゃあ、みんなで片付けようぜ!」
ウィルが旋風のごとき速さで飛び出した。
ローズは優雅に降下し、迫りくる鋸刃を紙一重でかわす。空中で彼の腕が形を変え、金属がねじれ、艶消しの黒い槍へと変貌した。
ザシュッ!
「ぐっ……」
ウィルは後退し、切られた頬を拭った。
「今の……何をした?」
「……構えろ」
ローズは冷静だった。狂った殺人鬼の乱撃を、まるで踊るかのようにすべて受け流していく。
突如、ローズの槍が収縮し、重厚な金属のガントレットへと変形した。
ウィルの顎に、強烈なアッパーカットが叩き込まれる。
ドゴォォォン!
ウィルの身体が空へ吹き飛んだ。
ローズは一瞬の躊躇もなく、ゴリアの肩を踏み台にして跳躍し、巨人の頭上からクレーターへと叩き伏せた。
老龍の瞳が驚愕で見開かれる。
「まさか……あれはポーン・アーマー。六つの『万丈の鎧』の一つ。首輪から溢れ出る未知の金属を、持ち主の意志で自在に成形する伝説の遺物……」
「でも、ネクロフローなしでどうやって動かしているの?」
「……必要ないのだ。あの鎧には独自の意志が備わっている。形を与えるのに必要なのは魔力ではなく、強固な精神と鋼の意志だけだ」
クレーターの中央で、ローズは追撃の手を緩めない。
ガントレットは鋸歯状の刃へと姿を変えた。
ザクッ!
「あああああああ!!!」
ゴリアの絶叫が戦場を震わせる。ローズが巨人の腕を根元から切り落としたのだ。
「お前もやるか?」
浮遊して近づいてくるミネルヴァに、ローズは淡い視線を向けた。
「……私の可愛いゴリアを殺させるわけにはいかないわね」
ミネルヴァは闇のエネルギーで巨人を救出し、後方に下げた。
その時、上空から腐敗した紫のオーラを纏ったウィルが猛然と落下してきた。
ズドォォォン!
ローズは直撃を受け、軍用馬車に叩きつけられた。
ウィルは狂ったように笑いながら着地する。
「まだ戦うつもりか? 今度はどんな手を使うんだ、魔力なしのクズが!」
ローズはゆっくりと立ち上がった。泥を拭い、冷静に相手を分析する。
(一撃で仕留めなければならない。奴の速度は私を上回っている……ならば)
カチッ…… 突然、鎧の金属が完全に引き込まれた。ローズは無防備な姿でそこに立ち尽くす。
「降参か? 賢明な判断だ。もっとも、お前に勝ち目など最初からなかったがな――」
バァン! ローズの姿が消えた。ウィルの顔面に、純粋な物理衝撃の拳がめり込む。その音はまるで砲撃のようだった。
「信じられない……」
ミネルヴァは魅了されたように呟いた。
「鎧をパージし、重量を極限まで排除することで瞬時に加速した……? あの暴力的なまでの力、すべてが肉体のみの力だというの?」
「この……クソ野郎がぁぁ!」
ウィルが顎を歪ませたまま立ち上がった。
「これでも喰らえ! 〈火の深淵〉!!」
ウィルの頭上に絶大なネクロフローが蓄積され、小さな太陽が形成された。
「消えちまええええー!!」
ローズは奥歯を噛みしめた。指先が、首輪の刻印をなぞる。
「――万……丈……の……鎧……城……」
ドォォォォォォン!!
爆発が戦場全体を包み込み、天を突く火柱がローズのシルエットを完全に消し去った。
煙に巻かれた戦場に、ただ恐ろしいまでの沈黙だけが残った……。
ミンゴと一緒にスペイン語を学ぼう!スペイン語で「桜」は「cerezo」と言います。
この章を楽しんでいただけたでしょうか! 次章を楽しみにしています。




