第11章:棘の薔薇と密約
こんにちは。
ミンゴです。
第11章をお届けします!
皆さん、ぜひ楽しんで、応援してくださいね!
私にとって大きな意味があります。
コスタリカより、愛を込めて。
PURA VIDA!
ベネシア城の大広間は、黄金の輝きを放つランプと磨き上げられた大理石の床で満たされていた。整列する執事たちが完璧な布陣を敷く中、リリア、カオリ、アンバーの三人は巨大な正門の前で待機していた。リリアの額には冷や汗がにじみ、その呼吸は重い。まるで目に見えない山を背負っているかのようだった。
「リリア様……」
アンバーが手を差し伸べ、彼女を支えようと囁いた。
「震えていますよ」
「大丈夫……よ」
リリアは嘘をついた。『深層ドメイン(ディープ・ドメイン)』
を維持するために奥歯を噛み締める。
「お見えになりました」
カオリが背筋を伸ばして告げた。
(ギィィィィィィッ!)
重厚なオーク材の扉が左右に開け放たれた。夕日の光が差し込み、傲慢に近い優雅さで歩く二人の少女のシルエットを映し出す。ざわめきが一瞬で止んだ。
「……それで私が言ってやったの。『あなた、王族なの? なら私の視界から消えて、二度と話しかけないで』ってね」
一人の少女が、髪を弄びながら言った。
「本当に? 反吐が出るわね……」
もう一人が氷のような声で応じる。
「そうよ。この旅で振った男は十四人目。もう、うんざりだわ」
一人の少女――二乃が、ひどく思い上がった口調で言い放った。
「そう。私はあなたより多く振ったけれどね」
もう一人の少女――三玖が、触れるものすべてを裁くような鋭い視線で返した。
「ふん、運が良かっただけよ。時間があれば私の圧勝だったわね」
「……お好きに」
リリアは一歩前に出た。声が震えないよう、超人的な努力を払う。
「お帰りなさいませ。ニノ王女殿下、ミク王女殿下。お二人のご帰還、心より歓迎いたします」
ニノはリリアを家具の一部か何かのように一瞥した。
「ああ、リリア。お母様はどこ?」
「女王陛下は食堂でお待ちです」リリアは視線を落としたまま答えた。
「そう。行くわよ、ミク。――執事たち! 私たちの荷物を今すぐ部屋へ運びなさい。早く!」
「「「はっ、王女殿下!」」」
二人の姉妹は、高価な香水の香りと蔑みの余韻を残して、中央通路へと消えていった。
「ふぅ……やっと行ったわね」カオリが肩の力を抜いた。「虫歯の痛みくらいには『魅力的』な二人だこと」
その瞬間、リリアは激しく息をつき、膝をつきそうになった。
「リリア様!」カオリが彼女の腕を掴む。
「今すぐローズをドメインから出してください! 客間にでも運ばせないと……」
「ダメよ……」
リリアは喘ぎながら首を振った。
「ローズを普通の客として休ませるわけにはいかない。貴族たちに見つかれば、彼は生きたまま食い物にされる……。私が守るって……女王陛下と、自分自身に誓ったんだから……」
リリアは周囲を確認し、近くを通った非の打ち所のない制服姿の中年女性を呼び止めた。
「家政婦長!」
「はい、リリア様! ……まあ、何ということでしょう。お加減が悪いのですか?」
「よく聞いて……。誰にも、筆頭執事にさえ言わないと誓って。……西塔の、一番奥の部屋を準備して。公式には『メンテナンス中』扱いにすること。分かったわね?)」
「……承知いたしました」
リリアは目を閉じ、残された最後の『流れ』を集中させた。
(ローズ……もう少しだけ、耐えて……)
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【義務の影の下での晩餐】
王宮の食堂は、贅沢な静寂に包まれていた。エリザベス女王が冷徹な優雅さで食卓を支配している。
「旅が順調だったようで何よりです」
女王は外科医のような精密さで肉を切り分けた。
「それで? ベネシアの王配に相応しい候補は見つかりましたか?」
ニノは軽蔑の色を隠さず、皿を遠ざけた。
「いいえ、お母様! 全員反吐が出るわ。自分の血筋や領地の話ばかり。これっぽっちも興味ないわ」
「ニノ。政略結婚は我が国の経済と軍事を強化するためのものです。子供の遊びではないのですよ」
「分かっています。でも、せめて少しは好きになれる人がいいわ」
女王はため息をつき、沈黙を守っていたもう一人に視線を向けた。
「ミク、あなたは?」
「え……? 私は……その……」ミクは視線を逸らした。
「……いません」
女王が置いた銀食器の音が食堂に響いた。
「これ以上真剣に取り組まないというのなら、私自身が婚約者を決めさせていただきます」
「そんな、お母様!」
ニノが顔を青くした。
「あと一ヶ月で中央アカデミーに入学するのでしょう? そこなら、もっとマシな選択肢があるはずです!」
「……よろしい」女王は二人を品定めするように見つめた」。
「ですが、アカデミーでも見つからなかった場合は、私が選びます。いいですね?」
「「はい、お母様……」」
(気まずい……)
リリア、カオリ、アンバーの三人は同時にそう思った。
「話を変えましょう……リリア」
女王は青い踊り子に視線を向けた。
「新しい奴隷はどうですか?」
「彼は私の奴隷ではありません」リリアは弱々しい声ながらも即座に訂正した。
「女王陛下、彼は今のところ悪い兆候は見せていません」
「そう。手に負えなくなったら殺す権利がお前にはあることを忘れないように」
「はい……(はぁ……)」
「どうしました? 顔色が悪いようですが」
「……護衛任務の疲れが出ただけです」
「そう。では、最後の議題です。モンク(修道士)たちが国家任務から戻ってきます」
カオリが軍人のように硬直して立ち上がった。
「はい! モンク、マルセリーヌ、五条は間もなく帰還します。雷電も『愛の国』から戻ります。全員、間もなく帰還し、公式報告を行います!」
「その後は?」
「一ヶ月半後、モンクと五条は『十二人の大集会』に出発します。彼らは四人の追加同行者を求めています。理由はまだ不明です」
「……リリア、カオリ、アンバー。下がってよろしい」
三人が去るのを見送りながら、女王は思った。
(あの三人が不在の間の攻撃を懸念していたが……リリアたちだけでは本物の脅威から王国を守るには不十分ね……)
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【眠れる騎士と王女の秘密】
リリアは西塔の隠し部屋で、ようやくローズをドメインから解放した。
「はぁ……はぁ……ローズ……。……明日は、目が覚めるといいわね……」
限界に達したリリアは、彼の体温を求めるように寄り添い、深い眠りに落ちた。
――ローズの意識の中で、空白が埋まり始めた。
何年も前、茂みの中で倒れている負傷した体に寄り添う小さな少女のビジョン……。
『て……く……だ……れ……』
『み……て……て……き……た……よ……(ほら、これ持ってきたよ)』
『い……つ……か……め……さ……(いつか、目覚めてね)』
『え……?……よ……ろ……い……?(え……? 鎧は……?)』
『こ……れ……?……(これ……? ネックレス……?)』
ローズは暗闇の中で微かに目を開けた。
悲しげな瞳の少女と、輝く首飾りの記憶。その光景は消えたが、「恩」という感情だけが、彼の心に深く刻まれていた。
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