第9章:炎の舞姫と闇の側面
みなさん、こんにちは、ミンゴです。
第9章をお届けします。楽しんでいただければ幸いです!
今回の更新で、物語の「第一章」が完結となります。ここまで読み進めてくださった皆様には、心から感謝しています。かつての夢が、少しずつ現実のものとなってきているのを肌で感じています。
これからも、ローズたちの旅を温かく見守っていただけると嬉しいです。皆様の応援が、私の大きな励みになります!
コスタリカより、愛を込めて。Pura vida!
ローズはベネシアの中央地区の通りを、ポケットに手を突っ込み、眉をひそめて歩いていた。その横で、フェリックスはいつもの優雅さで後をついて歩き、時折立ち止まって自分の足を舐めていた。
「うーん……ああ……」
ローズは独り言をつぶやいた。
「お金が必要だ」
(いつもリリアに頼っているわけにはいかない)
彼は苦々しい思いで考えた。
(それに、自分のベッドも必要だ。あんな女性が数センチのところで寝ているなんて、一晩中眠れない……それは拷問だ)
彼はショーウィンドウの前で立ち止まり、自分の姿を眺めた。
(この国でフローレスは何の仕事ができるだろう? 中央首都では、パン屋のオーブンに火をつけるのにも火の流が必要だった)
「ニャー」
フェリックスが彼の足を軽く叩き、恍惚状態から引き戻した。
「何? 何かアイデアでもあるのか、猫?」
ローズが尋ねたその瞬間、静電気のような空気を帯びた声が聞こえた。
「ん? ローズ?」
ローズが振り返ると、カオリが立っていた。しかし、彼女だけではなかった。その傍らには、ほとんど物理的な熱を放つような存在感の少女が立っていた。その髪は、燃え盛る焚き火の火の粉を思わせるほど鮮やかな赤だった。
「こんにちは、カオリさん」
ローズが挨拶した。
「ここで何してるの?」
「ああ、えっと……ほら、君は知らないだろうけど」
カオリは優しい笑顔で言った。
「こちらはアンバー。リリアや私と同じくダンサーよ。さあ、アンバー、挨拶して」
「やあ!」
赤毛の少女は、ローズを後ずさりさせそうなくらいの勢いで叫んだ。
「ああ、リリア様からあなたのことを伺っていました。ローズくんですね」
アンバーはすぐには握手しなかった。代わりに、身を乗り出し、目を細めて、まるで顕微鏡で珍しい虫を観察するかのようにローズをじっと見つめた。
「うーん……」
「え? どうしたの?」
ローズは妙に気後れした。
「あら……」
アンバーは彼を見つめたまま微笑んだ。
「まさか、カオリがいつも話しているフローレスくんじゃないの!」
ローズは呆然とした。その「侮辱」は彼のプライドを直撃した。
(この子、何て言ったんだ……!?)
「えっ!? アンバー、シーッ!」
カオリはトマトのように真っ赤になり、仲間の口を押さえようとした。
「まあまあ、でも君、結構強いんだね」
アンバーはカオリの抵抗を無視して続けた。
「ネクロフローがないから、鍛えられるのは筋肉だけなんだろうね? 便利だわ!」
(殺してやる……絶対に殺してやる)
ローズは歯を食いしばり、怒りに額に血管が浮き出るのを感じた。
「じゃあ、よろしくね。チームへようこそ!」
アンバーは彼の肩を叩いた。その勢いで彼は倒れそうになった。
「カオリがあなたのことをずっと話してたの。もしかしたら好きなんじゃないかとか、そんなことまで思っちゃったよ、ハハハ!」
「……え?」
ローズは、今にも自然発火しそうになっているカオリを見た。
「アンバーーーー!」
カオリの叫びは、苦悶の囁きだった。
「誤解しないでね、ローズさん」
アンバーは無邪気な笑顔で付け加えた。
「強がってふざけているように見えるかもしれませんが、実はカオリはとても優しくて純粋なんです」
ローズはまばたきをし、完全に混乱した様子だった。
(この女、フィルターが全くない……カオリはいつ爆発してもおかしくない。誰かが死ぬ前に話題を変えなきゃ)
「で……ここで何してたの?」
ローズは素早く尋ねた。
「香織のドレスを探してたの! いつもズボンで、すごく覆い隠してるでしょ? もう少し女性らしく見せられないかと思ってね」
墓場のような静寂がグループを包んだ。ローズはカオリを見た。少女はもはや赤くはなかった。今や彼女からは暗いオーラが漂い、周囲の空気さえも殺意に震えさせていた。
「なるほど……」
ローズは一歩後退した。
(気まずい……この女、黙るタイミングがわからないのか?)
「アンバー……」
カオリの声は、今や冷たい囁きだった。
「あっちへ行こう……へへへ……」
「行こう!」
カオリは超人的な力でアンバーの腕をつかみ、路地裏へ引きずり込もうとした。
「待って! 勘弁して! カオリさん!」________________________________________
(ズダーン!)
ローズは、路地裏に消えていくカオリとアンバー(アンバーは首をつかまれて引きずられていた)が巻き上げた砂埃を見つめた。通りに静寂が戻った。
「……さっきの出来事、何か理解できたか?」
ローズはフェリックスを見た。
「ニャー……」
猫は首をかしげるだけで、同じように困惑しているようだった。
「そうだろうな」
ローズは長いため息をついた。
「もういい。何か食べに行く。頭が働かない」
二人は歩き続けたが、ローズの食欲は疑念によって減退していた。
(ふう……どうしよう。仕事も見つからないし、その上、鎧の気配も全く感じられない。近くにいるなら呼ぶはずなのに……何も感じない。くそっ、フローレスって難しいな)
しばらくして。
「あ、ローズ!」
明るい声がまた彼を呼んだ。
「ん? あ……?」
ローズは赤毛の少女を見て足を止めた。アンバーが小走りに近づいてくるが、頭には二つのこぶができ、服も少し焦げていた。
「え? どうしたんだ、それ?」
「ああ、これ?」
アンバーは頬のあざを何気なく掻いた。
「大したことじゃないよ。カオリはすぐ怒るんだ」
アンバーが先ほどのことを根に持ってないのを見て、ローズは自分の状況を話すことにした。仕事探し、リリアへの恩返し。アンバーは腕を組んで聞いた。
「えーっ!?!」
アンバーの叫び声に、通りすがりの人々が振り返った。
「シーッ!」
ローズは素早く彼女の口を押さえた。
「黙ってくれ!」
「ごめん、ごめん」
アンバーは解放されると、くすくす笑いながら言った。
「でも、どうしてそうなったの? 詳しく教えてよ」
ローズは、リリアが提案した「監護権」について簡単に説明した。
「ああ、すごい。彼女の権威を使ってあなたを救ったのね。リリア嬢はいつも、自のためにならないほど心優しいの」
「だからこそ、何らかの形で感謝したいんだ」
ローズはそう締めくくった。
「でも、フローレスであることがすべてを難しくしているわ」
アンバーは微笑んだ。
「あなたのような弱虫にも、必ずチャンスは訪れるわ! 希望を捨てないで!」
(くそっ……)
ローズは目の痙攣を感じたが、無理に笑顔を作った。
「ああ……ありがとう」
「じゃあ、私は行くね。明日はとても大事な日だから。王女たちが学問の旅から戻ってくるのよ」
「王女たち……」
ローズは女王の言葉を思い出した。
「そうよ。じゃあ、またね、ローズ。気をつけて!」
アンバーは力強く手を振って別れを告げ、人混みの中に消えていった。
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ベネシアの街で、ローズが自分の運命を探している間、空気は重く、暗く、息苦しいエネルギーに満ちていた。
「チッ、おい、じじい……12人に襲いかかるまで、まだどれだけ待つつもりだ……?」
「落ち着け、時機は来る」
影に座る人物が答えた。
「いや」
狂気じみた甘さを帯びた女性の声が割り込んだ。
「まずはあのフローレスを見つけることだ。自分の手で殺し、ゆっくりと解剖したい……」
「その名前を口にするのに飽きないのか?」
新たな傷跡が肌を刻んだリュウは、光の方へ一歩踏み出した。
「おそらく彼は死んでいる、ミネルヴァ。そのままにしておけ」
「殺してやる!」
ミネルヴァは新たな男、エンジに飛びかかった。
「〈槍の──〉」
(ドカン!)
鈍く重い衝撃が建物の基礎を震わせた。その衝撃で二人はその場に立ち止まった。
「終わりだ」
古くて力強い声が館内に響き渡った。
「ここで争うな。殺し合いたいなら外へ出ろ……だが、外に出る前に、俺が直接、お前たちを始末してやる」
息が詰まるような圧迫感が部屋に降りかかった。それはジャック・ザ・リッパーVOIDのリーダーだった。
「お前たちのうち一人はベネシアへ行け。潜入して王女たちを殺せ」
「おい、じじい。そのクソみたいな王国に甘すぎるぞ」
怠惰な声が、あくびとともに割り込んだ。
「俺自身が直接行って殺してやる。潜入する必要なんてない」
「……セス」
ジャックは暗がりの隅に向かって、慎重にその名を呼びかけた。
「あそこの連中は、結局のところ……俺を懐かしんでいるのさ」
闇の中から、セスが不敵な笑みを浮かべて言葉を繋いだ。
「……俺はかつて、あそこのダンサーだったからな」
その告白に続く沈黙は、墓場のように静かだった。
「行け、そうしよう」
ジャックは認めた。
「さあ、行くぞ。すぐに戻るから、夕食を待たないでくれ」
セスはあくびをしながら立ち去った。
「リュウ、他の者たちを呼べ。募集を始めなければならない」
ジャックは命じた。
「VOID……は、勝利するだろう」
リュウは地平線を見つめ、戦場と化そうとしている緑の王国について考えた。
「ベネシアか……」
【第一章:囚人の始まり 完】
ミンゴからのメッセージ
読者の皆様、最後までお読みいただき誠にありがとうございます!
第1章はここで終了しますが、物語は始まったばかりです。次回、ローズは新たな驚きと試練に直面します。お見逃しなく!
次章でお会いしましょう!
コスタリカより愛を込めて。
Pura Vida! CR




