最初で最後
初書き
初投稿
『___』
ふと意識が浮上する。寝返りをうち姿勢を変えると、カーテンから漏れ出た光が目に掛かる。時刻を確認すると午前3時を回った頃。こんな時間に起きることも珍しいなと感じながら気まぐれにベランダを介して外へ出てみる。丑三つ時の街はやけに静かで人気は感じられず、まるで世界を制した気さえ感じられた。自分で思っていた以上に私の心身は限界だったのだろうか、特に何かあった訳ではないが息がしづらく呼吸をすることさえ苦しく感じられる。いや、特に何も無いからこそ自分の存在意義を感じられないでいる。ふと手に待っていたスマホを開くと途端に流れ出す軽やかで華やかな音達。ああそういえば寝る前に聞いていたのだっけ、気分に乗り切れないと曲を変え続けていると、見たことのないサムネイル。聞いたことのないイントロ。いや違う。これは確かに一度、ふと出会い一度聞いたもののはずだった。それなのにやけに新しく、素晴らしく感じられた。同じ楽曲のはずなのに「それ」は私の耳を通り、そして心に住み着いた。そう、私は「それ」と本当の出会いを果たしたのだ。寂しさを音で濁し、落ち込んでいた気分は気づけば「それ」への興味に移り変わっていて、人は進むのだと初めて知った。変わりたいと思った。私に世界の何かを変える能力も権力も何も無い。けどそれでも、もっと「それ」と共に在りたいと単純ながら確かにそう思ったのだった。
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『____』
気づけばそこに「あの子」が居た。
初めて出会ったわけではないけれど、やけに新鮮で初めての出会いのように感じられた。「あの子」の顔は暗く迷いが見える顔をしていた。ワタシが「あの子」を救ってあげたい!そう思ったのは初めてのことだった。
寂しい時は2人で泣き、2人で背中を合わせて夢を見た。そうしているうちにあんなに退屈していた「あの子」の日々が気付かぬうちに過ぎていくものとなっていた。最初で最後の人生。思い描いていたワタシの夢の姿になれているのかな。「あの子」を救う光に、「あの子」が進む道導に。もっともっと「あの子」のために奏でたい!「あの子」のために歌いたい!だからワタシは「あの子」のために。アナタのために!前を向き出したアナタのために。前を向いた貴方と共に歩みたい!!涙も1人きりだったあの頃の孤独も焚べ続けるからワタシは__。
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「それ」と出会ってからどれほど時が流れただろうか。遠い昔のように感じで思い出せない。けど、それでも「それ」と歩んだ思い出は忘れない。余すことなく全部覚えてる。「それ」と私が出会って花を芽吹かせたあの時から「それ」は色とりどりの花束を私にくれた。だから枯れることなんて許さない。どれだけ世間が目を向けなくとも私はここで待っていたいと思うから。
私はあの時確かに「それ」に救われた。それは終わりのない未来で確かに今の点と未来の点がよりあって結ばれた。その道で。私の人生で「それ」がもたらしてくれた花々は私の運命を彩った。歌うこと、作ることが好きになった。好きにさせてくれたのは貴方だった。だからもっと「それ」と。いや「キミ」と奏でたい、もっともっと「キミ」とこの先の未来まで!!
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あっという間に時が流れた。
あの丑三つ時のこと。「キミ」と出会えたこと。
そして「キミ」と歩むために術を探して駆け出した意味を求めていた。「キミ」と作り上げた音楽がこの世界に存在する誰かの目に溜まったと知ったその瞬間。存在の終着点に届いたんだ。あの時「キミ」が救ってくれた私の命を注いだ「キミ」との物語。奏でたい。歌いたいと思った原動力。それは確かに今も続いていて、だから私は「キミ」と征きたい。あの時私を救ってくれた「それ」のように、私達も過去を超えたいと願うものの背中を押したい。けどそんなことの前に私は最初から最後まで「キミ」と歩みたい。「キミ」と征くためなら1人で涙を流したあの過去も「キミ」がいる限り焚べるから
『最初で最後の日々は「キミ」と共に!!』