表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブ顔の俺が男女比1対12のパラレルワールドに転生。またも同じ女の子を好きになりました   作者: #とみっしぇる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/307

62 夏休みも初日から忙しい

夏休みになった。


初日であるが、すでに朝4時からパンの『ウスヤ』に行って軍曹こと、ユリエさんとパン作り。


開き直って、動物パンの造形はゴブリンに絞った。少し手先が器用になって熊に見えるパンが完成した。


ユリエ軍曹も熊と言ってくれた。


満を持して店に出してもらったけど、ウケなかった。もう勇太はゴブリンしか期待されていない。


「小さい女の子に、ゴブリンのユウちゃんって呼ばれたけど、ディスられてる訳じゃないよね・・」


純子は両親にも謝って、少しずつ柔らかな関係に戻りつつある。ちょうど、歌の著作権の話もあって勇太も立ち会った。麗子も挨拶に行った。


今はきちんと両親に理解してもらった上で、純子は麗子のパン屋に入り浸っている。


家でも両親とルナ、純子の姉妹でお茶をする時間が復活したそうだ。


勇太は、笑顔のルナがその話をするのが可愛くてたまらなかった。純子に関わって良かったと思っている。


ちょうど2人きりの時だったから、思わずちゅっちゅから、アレに突入したのは内緒だ。



そして純子は、勇太が前世からパクって作り上げたパンの歌を、今日もアーケード街で歌っていた。


コーラス係は勇太、麗子、ルナ。ついでに、こっちの世界の童謡も歌った。


歌は幼稚園児と小学生に、特に人気がある。


純粋な子供からしたら勇太はついでである。


しかし、付き添いのお母さん方はTシャツ、バミューダパンツの勇太をガン見していた。


勇太が5月に転生する寸前は、全く違うパラレルワールドライフを思い描いていた。


こういうのは想像していなかった。


だけど充実感がある。相変わらず多忙だけど、それが苦にならない体を女神様にもらっている。


7月21日。今日は、カフェで働いたのは午後1時まで。


2時から茶薔薇学園の柔道部にルナと出向く。


桜塚部長の願望をカオルから聞かされた。8月2日にインターハイが始まる前に、士気を上げるために勇太に練習に参加して欲しいとのこと。


柔道が強くなりたい勇太としても、練習相手が増えるのは大歓迎だ。


梓の誕生日7月31日に合わせ、梓一緒に勇太の母親の墓前に結婚の報告に行く。


もう梓と入籍することに異存はない。ただ、セットになっている前の日からのシティホテルでの一泊というのが、プレッシャーである。


梓はカオルに出会えて愛を感じるけど、勇太もルナも大好き。それが当たり前でしょと言った。


勇太からすれば、何が当たり前なの、である。


複数の人間を同時に愛する感覚。もちろん性的なものも込み。


浮気者。前世の非常識は、今世の常識。


一夫多妻が当たり前になって400年、重婚が公的に認められて120年。梓にも、多くの女性にも男性にも、この世界の人間には感覚として備わっている。


勇太にもそれは分かったけど、あくまでも前世と違う知識として。まだ転生して2か月と10日。梓と関係を持つのはルナへの裏切りにも感じる。


そのルナが『早く梓ともしなきゃダメだよ』と再三言ってくる。


ここだけは、前世のルナとまったく違う。なぜ愛する男に、他の女を抱くことを勧めるのか。


一度死んで、順応力が前世より遥かに上がっている。


だけど、これって二股でしょ、前世の妹と同じ顔をした梓の処女を奪うって、と具体的なことを考え始めると、汗が噴き出る。


その考えを、前世絡みの事柄を隠してルナに打ち明けると、背中をパンパンされて「ドンマイ」と言われた。


これ、単にお気に入りのようだ。それだけは分かってくれない。


男女比1対1の世界から来た『異物』の貞操観念は、笑顔でスルーされた。


◆◆

茶薔薇学園に着いて20分。


「よっ、勇太とルナ。おっ、パラ高柔道部は全員で来たな」


カオルが出迎えてくれた。


来る予定だったのは勇太とルナだけど、結局はパラ高柔道部10人で集まった。


茶薔薇の部員30人も全員参加。また情報非公開だったが、勇太を見かけた他の部活で学校に来ていた女子生徒からの口コミでギャラリー40人。


なかなかの騒ぎになっている。


勇太も希少な柔道男子を見に来てくれたと分かっている。


柔道着を着て、みんなの前に出るとざわつく。だけどサービスの仕方が分からない。


なので普段通りに、激しくウオーミングアップを始める。


ざわつくギャラリー。意外にこれを期待する女子が多いのだ。



勇太は段々と集中してきて、周囲の声が聞こえなくなる。


たまに近くにいた茶薔薇の部員に、ストレッチの仕方を聞いたりするが無作為。必要なら肩などへのタッチもやるし、やってもらう。


雑念がなく遠慮もない。いや、女子の方はドキドキだ。


いつも、あとになって愛想よくすれば良かったと思う勇太だが、なにげにこの姿がこの世界の女の子からしたらレアモノ。


男子が他の柔道部員とまったく同じことをして、みんなとシンクロする。



この世界では見られない、運動をする場においての男女の共感シーン。


勇太が意識してウケを狙ってることは、意外にスルーされている。


逆に、普通と思ってやっていることの方が女の子のハートを刺激している。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ