336 世界柔道3日目の夜は男女比3対12
早くも世界柔道の3日目が終わった。
残りは1日。最終日は伊集院君も仕事で来て、勇太と一緒に閉会式に参加する。
逆に不知火マイコは本日まで。パラレル市に帰って練習を再開する。
「勇太君、キミとファミリーの本物の仲間になれるよう、限りなく努力するよ」
「うん、こっちもマイコさんに認めてもらえるように頑張る。けど、疲れたらいつでも呼んでね」
「ふふ、その時は遠慮しないからね。じゃあ、またね」
夕食に誘われたが、一部の選手団とともに帰った。
勇太にファミリー入りを望まれ、時に王子様キャラが可愛く崩れる不知火マイコ。だけど柔道優先で節度を保つ態度に、女子の好感度は高いまま。
その自分らしい形を保ったまま勇太ファミリーに溶け込むんだろうと、羨ましがる人はいる。
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勇太は16人で食事に行く。
2日目の夜は、みんなのスケジュールの都合でルナとふたりきりだった。エロも含めて、濃厚な夜を過ごした。
今日は真逆になった。
勇太ファミリーにはルナ、純子、しばらく純子と離れて寂しいからと再来した臼鳥麗子が加わった。
風花と中戸明日香はギタリストの集いに行って別行動。
4人でご飯に行く予定だった。ところが自称・勇太の弟子達が乱入した。
引き金は、茶薔薇学園1年生で、柔道部のハラダヨシノの彼氏になった時田ユウキ君。彼がハーレムメンバーと共に3日目も残った。
勇太を手伝いたいと言って、午前中からリクエストがあれば純子&風花、中戸明日香と一緒に歌ってくれた。弟子入り希望とハッキリ言われた。
すると、勇太の弟子を自認する男子中学生が現れた。
勇太の異母妹メイちゃんの正式な彼氏になった冬木ゲンジ。
2人のクラスメイトであり友人になったヤマモトタロウ。
勇太には2人一緒にLIMEを入れた。『仕事の手伝いに行きます』。意外と息が合っている。
メイちゃんと、タロウの彼女3人も一緒だ。
みんな中3。高校受験は2月中旬に終わっている。勇太の前世より受験日が早いのは男女比1対12の影響。
希少な男子は、芸術系や女子校以外なら好きな学校に入れる。その時に自分の彼女、彼女ズ、または嫁に合わせることも多い。
だから2月中に女子の高校受験と結果発表まで済ませる。男子にその結果を見て学校を選ばせるという図式も一般的。
ゲンジはメイちゃんがパラ高に落ちたら、滑り止めで受かっている茶薔薇学園に行く。
タロウの彼女3人もパラ高を受けている。誰か落ちたら、4人一緒に茶薔薇学園に行く。
「こんにちは、時田ユウキさん。勇太さんの一番弟子のヤマモトです」
「はじめまして時田さん、勇太兄さんの最初の弟子の冬木ゲンジです」
社交的なタロウはともかく、ゲンジまでもが対抗意識を見せている。
愛するメイちゃんの異母兄である勇太だから、遺伝子的にも義理の兄でもある。
ユウキ君も負けられない。
「ゆ、勇太さんに聞いたら、正式に弟子入りを希望したのは僕が初めてだって言われた。だから、僕が一番だと思う」
「え、それはダメでしょう」
「そうだ、勇太兄さんに聞こうよ」
とまあ、勇太が選手インタビューで忙しく動いている時、会場入り口付近ではこんな戦いが繰り広げられていた。
◆
誰が1番弟子か本人に決めてもらおうと、休憩中の勇太のところに3人で現れた。
なにげに3人は足並みが揃っている。
「お、もう3人して仲良くなったのか。じゃあ、『立ち上がる君へ』を純子&風花のとこで歌ってきなよ」
「へ」「へ」「へ」
「ゲンジが1番を歌え。タロウが2番、ユウキ君が3番だな」
「その順番は弟子のナンバーですか? どういう基準で決めたんですか」
「上下はないよ。歌ってもらうのは俺と知り合った順番だよ。俺のサポートなら、女の子を楽しませてくれよ」
『男子3人追加だ』
『みんな可愛い顔』
『オ~、ウラヤマシイデス~』
『ユウショウシタラ、ダレカモラエマスカ?』
本能剥き出しな白人選手の意見は怖かったが、3人は言われた通りに歌った。
ハモったら意外にうまくいったりと、勇太が見たとおり息が合ってしまった3人だ。
巨漢なアメリカのお姉さんがゲンジにアプローチする一幕もあったが、またも柔道連盟会長の鬼塚一子が予想していなかった盛り上がりを見せた。
ネットで一連の流れを見ていた伊集院君は、勇太と弟子3人が会場内で別行動なことに満足していた。
現在は東京でサッカー日本代表を激励しているところだ。政略婚約者の一人も一緒。
「仕事で勇太君と並ぶ男子は僕だけ。弟子より親友だよね」
「光輝君たら、勇太さんのことになるとムキになって…。けれど、そんなところもいいわ。ふふふ」
◆◆◆
そんな流れで、男子4人、女子12人でご飯を食べに行く。
前世感覚が残る勇太からしたら、まだ男子が少ない。けれどギャラリーからしたら男女比1対3。
ルナ、純子、麗子さえ予約した店に向かうとき、同性からの殺気を感じた。
初めて勇太ファミリーの側に立って同性からの嫉妬を食らった女の子は汗がだらだら。
タロウの彼女3人も、ここまでなのは初めて。
ハラダヨシノをはじめとするユウキ君の彼女5人なんて、全員が恋愛初心者。みんな大柄なのに体が縮こまっている。
平常モードから変わらないのはこいつらだけ。堂々の恋人つなぎで先頭を歩くメイ&ゲンジだ。
「メイちゃん、勇太兄さんも兄弟弟子も、みんな格好よくて俺、自信なくしそう」
「大丈夫だよ。ゲンジ君の歌が一番良かったよ」
「ホント?」
「本当」
「おせじでしょ」
「本気だよ。どうしたら信じてくれるのかな~」
「……してくれたら…」
「そんなんでよければ……、たくさん…してあげる」
2人とも男女比1対12世界でモテているくせ、1対1恋愛を選んだ異常者カップル。メンタルが鋼と化しつつある。




