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モブ顔の俺が男女比1対12のパラレルワールドに転生。またも同じ女の子を好きになりました   作者: #とみっしぇる


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319/342

319 ここって柔道の会場だよね

高校柔道・冬の選手県は2日目の最終日を迎えた。


2月15日の試合は午前10時開始だけど、勇太達は仕事の準備がある。8時に水前寺にある武道館に到着した。


純子&風花、ルナ、梓、そして助っ人ギタリスト中戸明日香と一緒にタクシーに乗った。明日香は今日が、勇太からプレゼントされた曲のお披露目の日。


どんな曲か注目されているし、明日香自作の曲も聞く人が増えて少しずつ人気が出てきている。


柔道連盟会長・鬼塚一子が仲間を大事にする勇太に恩を売るため、明日香の仕事を新曲のお披露目のみでなく、それ以外の仕事もねじ込んだ。


今日は純子&風花と一緒に、夕方から地元テレビに出演。長崎、佐賀、福岡の仕事も一緒にやる。


勇太は会場に到着して目を見張った。ギターを演奏したり、歌ったりする女の子がたくさんいる。


なんだか前日ともムードが違う。ちょっと予想外だ。


ここは武道館だけでなく、野球ほか色々な競技施設がある。だけど音楽堂はないと聞いている。


なのに、広い駐車場のスペースが、別のイベント会場のようになっている。


♪♬♩♪♬♩♬♪♬♪♪

「明日香さ~ん、聞いて下さ~い」

「勇太く~ん」

「いっきますよ~」


それぞれ楽器を手にした女の子達が演奏を始めた。これは周辺の音楽で有名になりたい女子達が口コミで集まった。


ポイントは中戸明日香。


勇太は歌を人に作ってあげているけど、ファミリー絡みで限定されていた。嫁ズでない風花も勇太の義母葉子と籍を入れる間柄。


それが、初の例外を作ったという話が聞こえてきた。曲を渡した理由も、ただ純子&風花が世話になったという程度。


アメリカで売れているABシスターズが直接勇太に曲の提供を頼みに来ても断った。なのに一介の助っ人を優先している。



明日香には同業者からの目が向いている。


勇太の心に響く演奏や歌を披露できれば、自分も曲を作ってもらえるんじゃないかと期待する子もいる。


また明日香が提供される曲がバンド形式にも向いていという噂がある。そこで勇太に起用してもらえないかと期待する。


情報は鬼塚一子のSNSから漏れた。新曲を中戸明日香が披露するとき、ルナが今回限定で最初の数秒間だけ前奏を演奏すると告知した。


音楽女子が『ルナさんもギターやるんですか?』と鬼塚に質問メールを送ると、鬼塚は答えた。 


『いんや、ルナちゃんはキーボード。そういう曲だよ』と。


サプライズのはずの情報、だだ漏れ。


鬼塚は策略家の反面、うっかりさんでもある。


明日香は武者震いした。

「よ~し。演奏まで時間もあるし、知らない誰かと一緒にセッションして気持ちを高めてみるか」


「お、やる気ですね」

「もちろんですよ、勇太君。君にもらったチャンスを最大限に生かさないとね」


「ですね~」

「私達もサポート頑張ります」

「頑張って下さい」

「よっしゃ、その意気だね!」


勇太、純子、梓、風花が次々とエールを贈った。


「メンタル強い・・」

ルナが珍しく、青い顔になっている。


「どうしたルナ」

「ほんの少しキーボードを弾くだけだから気軽に引き受けたけど、思った以上に柔道女子以外からの注目が・・」


勇太が提供した前世パクリの『S』が作った曲。最初の導入部分の3秒だけ、今回限定でルナのキーボードが入る。


失敗しても柔道女子なら笑ってリスタートさせてくれると思ったが、ムードが違う。


柔道の大会だけど、閉会式まで一般客の観戦は自由。本気で音楽をやっている、この場に詰めかけている人が見に来る。


「大丈夫だよ、ルナ」

「な、なにが?」


「失敗しても、俺が一緒に謝ってあげるよ」

「ホント?」


「うん、本当に」

「じゃあ、頑張る」


これはこれで、ギャラリー女子を刺激した。



勇太自身は、この状況を楽しんでいる。色んな人の生演奏を聴ける。


その中で、ふと耳に入ってきたメロディがあった。

♩♪♬♪♪♪♩


サビの部分だけを思い出していた前世のヒット曲に似ている。思い出せなかった、前半部分そっくりのフレーズを3人組が歌っていた。


「♪♩♪♩そんなときは~!!!♬♪♪」 


期待したサビが大きく違った。


トーンダウンした。聞き入っていたのに、盛り上がりに欠けていた。


思わず「惜しい!」と声に出した勇太。


喧噪の中なのに、パワーアップした女神印の響く声は相手に届いた。そのせいで演奏が止まった。


「え」「勇太さんがダメって・・」「ああ、やっぱり・・」


演奏を中断させてしまった。大学生3人も、何か足りないと感じているようだ。


「やべ・・」勇太は何か言わないといけない。


「いやあ、ケチつけてごめんなさい。みなさんの歌を聞いてたら、続くフレーズが勝手に浮かんだもので・・。中断させて申し訳ない」


バンド名を『cooL』と聞いて、勇太は驚いた。


歌が似ているはずだ。


勇太前世でも、その歌は『cooL』という3人組が作ったもの。目の前の3人は、その人達のパラレル人物だったのだ。


ぼそっ。「ある意味、作った本人の歌だもんな。似てて当たり前か」


結局、勇太は3人に、こんなフレーズもあるんじゃないかと提案しだ。


「このフレーズは3人の歌を聞いたからこそ浮かびました。なので、使えるなら遠慮なく使って下さい」


売り出すときに勇太の名前を出してもいいけど、利益に関しては勇太は主張しないと約束した。


ルナ達も、周囲の女の子達も拍手して、3人は大いに喜んでくれた。


勇太自身はパクリそうになった歌を、事故寸前で本人達に返した気分。そもそも8割方は完成していた。


むしろ、ほっとしている。


ぼそっ。「今回の歌を公表してたら、努力して作った人達に迷惑かけるとこだった・・」


勇太前世と色々なものの時系列が微妙にずれているパラレル世界。


前世の平成後期から令和の新しい歌は、今後のパラレル世界で生まれる可能性があると思うべき。


だからパクるのは古めの歌にしようと誓った。


ここで『cooL』の3人も閃き、曲は格段にレベルが上がった。勇太的には才能ある人だと確信しているから当たり前のことだけど、前世絡みの事情なんて誰も知らない。


勇太は人の才能を見いだすことに関しても、天才的だと勘違いされることになる。

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