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モブ顔の俺が男女比1対12のパラレルワールドに転生。またも同じ女の子を好きになりました   作者: #とみっしぇる


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269 恋人未満、だけどそれ以上に見えるふたり

キスする勇太とルナを目の前で見てしまったメイちゃんとゲンジ。


メイちゃんはパラ高に入るため、必死で勉強したばかり。なのに英単語が3つくらい頭から飛んでしまった。


ゲンジは、幕末に日本を変えた坂本龍馬子、大久保利通子といった名前が吹き飛んだ。


生のキス。


ネットでは勇太絡みで何度も見た。だけど生の1回は、映像の100回分を優に上回る迫力だ。


生々しい。



ふたりはぶっちゃけ、ものすごい両片思いだ。身近な誰もが分かる。


メイちゃんは、ゲンジの気持ちを知った。そして惹かれた。


けれど、勇太に失恋したから乗り換えるような状況がゲンジに悪いと思った。


だから踏み止まった。


ゲンジは失恋したばかりのメイちゃんにアプローチして彼女を苦しめたことを知った。


だから時間を置くために、メイちゃんのパラ高受験が終わるまでは何も言わないと本人に誓った。


受験終了後に、何を言うかは誰もが分かっている。


何かの弾みでキスでもすれば、この世界の常識として、そのままセッ●スに到達するくらい好き合っている。


だけどふたりは、自分に課した足かせが邪魔をしている。



気持ちの中で進展している。メイちゃんは、ゲンジの気持ちを行動と言葉で示された。


ゲンジは、心に残る歌を歌ってモテ度に加速がついている。


ゲンジは人前で歌っている。普通の男子はやらない。だから、本当は陽キャだと誤解されている。


だから言い寄ってくる女子もオープンセ●クスなアプローチをしてくる。


交際希望者が増えている。


とうとう隣の原隣北中学で一番と言われている美女も来た。メイちゃんといたとき、自分も一緒に彼女にしてくれと言われた。


女の子をイカすのも得意だから3Pアリとアピールされた。


略奪ではないし筋は通っていた。


ゲンジは他の人と同じセリフで断った。


『僕は今、メイちゃんしか考えてないです』


そのたびにメイちゃんはドキンとする。


なのにふたりは、付き合っていない。キスもしていない。


凍った道路で転びそうになったメイちゃんをゲンジが抱き抱えて、ハグ未満が1回だけ。



今、ふたりはお互いの唇を見ている。ここまで求め合っているのに恋人ではない。


「メイちゃん」「ゲンジ君」


「は、はい」「な、なんでしょうか」


「寒いから、お店に入ろうよ」


勇太とルナに呼ばれてふたりは我に返った。


最近、勉強しているときはどちらも集中している。


だけど、ちょっと気を抜くと見つめ合ったり、指を絡めたりしている。


今も、塾から出たあと無意識に手を繋いで、そのまま歩いてきた。


しつこいようだが、付き合っていない。


コーヒーショップに入った。


パラ高柔道部員はゲンジと話している。


だけど、座り位置はメイちゃんとゲンジで肩をくっつけて横並びだ。


スパゲッティやホットサンドを食べながら談笑している。


マルミが聞いた。

「ゲンジ君、パラ高に来たら、部活は考えてるっすか?」


「可能なら、柔道部ですね」


おお~と、部員から喜びの声が上がった。


メイちゃんも笑顔だ。


「ゲンジ君、体力付いてきたから、歓迎されるよ」

「けど保留。メイちゃんが入部試験に通ったら、俺も入部試験受ける」


「ふふっ、その前に私がパラ高に落ちたらどうするの?」


「男子枠でメイちゃんと同じとこ行く」


「・・真面目に考えようよ」

「真面目だよ、俺」


笑顔の中3ふたりに、あま~~~い空気が流れている。


ふたりを囲むパラ高1年生は、恋人にしか見えないけど、そうでないふたりが不思議だ。


実は1年生は部員に2人ほど、彼氏持ちが出てきた。


勇太効果。普通の男子と気楽に接することができるようになり、クラスメイト男子に気に入られた。


思い切って彼女にしてくれと言ったらOKが出た。


その子らから見ても、メイちゃんとゲンジの空気感は、かなり羨ましい。


マルミ、タマミ、キヨミの長谷川三姉妹も秘かに人気がある。美少女だし。勇太の嫁候補を公言しているので、男子からの打診はない。


「ゲンジ君って、やっぱメイちゃん一筋なんだ」

「ええ~、私はふたりが落ち着いたら彼女に加わりたいな~」

「ゲンジ君、私達はどう?」


やはり肉食乙女がはびこる世界。


勇太がいても、そちらは望み薄だしゲンジにアプローチをかける1年生部員だ。


ルナがとがめるでもなく、ニコニコして後輩を見ている。


その顔を見た勇太は、それも男女比世界の常識かと納得するしかない。


ゲンジはスパゲッティを飲み込んで、返事をした。


「みなさん素敵ですが・・。今はメイちゃんの受験のことと、自分の進路で頭がいっぱいなんです。すみません」


真剣だ。スパゲッティのトマトソースを口元につけたまま真剣だ。


「ゲンジ君、ソース付いてる」

メイちゃんがナプキンを持って、ゲンジの口に付いたソースを拭き取った。


「サンキュ、メイちゃん」

「うん、きれいになった」


この世界では珍しい光景。そして自然だ。パラ高柔道部の1年生達は、しばし見いってしまった。


ゲンジはお姉さん方に質問され、また色々と答えている。


メイちゃんは、横でニコニコしている。


ふたりは恋人未満。だけど端から見たら、長年付き合ってきたカップルにしか見えない。

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