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モブ顔の俺が男女比1対12のパラレルワールドに転生。またも同じ女の子を好きになりました   作者: #とみっしぇる


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196 手術の日

12月9日。とうとう由乃の手術の日。


勇太は前世の移植の手順を知らないが、この世界ではスピードで勝負する。


早朝から風花の骨髄をもらう手術をして、準備ができたら由乃に移植する。


事前検査と前処置のために、風花は2日前から入院。


前日の8日には、すでに風花が1個目のイベントに穴を空けている。その代わりに、勇太とルナで純子に付いて行ってフォローした。


ルナは柔道部は休みがち。後輩の長谷川三姉妹に部を任せている。


ジオンタウン原礼留のイベントで歌ってきた。


「代役で来た勇太とルナでーす。風花さんが来れなくてごめんね」


「勇太君だー」

「やったー」


「風花ちゃんはどうしたんですかー」

「彼女のギター楽しみにしてたのにー」


「実は・・」。勇太は脚色せずに真実のみを話した。


とにかく勇太は、風花が人の命を救うために、イベント参加を断念したと強調しまくった。


ゴブリンクッキーを来てくれた子供達に山ほど配った。


そして残ったクッキーは女性客の賞品になった。希望者が勝手にじゃんけん大会を始め、「あーんしてクッキー」が始まった。


勇太はイベントに参加するごとに大量のクッキーを焼くことになる。


そんな感じで勇太は1回目の代役を果たした。


もうすぐ手術の時間だ。まだ風花は病室にいる。


ドナーとして手術室に入る前の風花の前には、勇太の義母・葉子がいる。


葉子はパラレル母さんで、すでにパラレル父さん風花の彼女になっていた。


「・・風花、偉いね」

「何が、葉子さん」


「香里奈さんと由乃ちゃんのために、ためらわず決断したこと」


「へへ、惚れ直した?」

「・・うん、惚れ直した」


「えへへ。けど、不安だよ」

「体のこと?」


「何度か言ってるけど、仕事かな。私程度のギタリストはたくさんいるもん。代役で誰かうまい人が弾いたら、私の出番がなくなるかもね」


「大丈夫」

「なんで」


「私のハートには響いたもん、風花のギター」


「おせじでも嬉しいよ」


「ふふ。いざというときは、うちで働いてリーフカフェの中でギター弾きなよ」


「それもアリだね。あ~、気持ちが楽になってきた。ありがと葉子さん」


風花は退院後、色々と不便になる可能性もあるから坂元家に来る。そして葉子が世話をする。


実質的な同棲から、そのまま・・という気がしている勇太だ。


病室を出ようとすると、由乃の実母・香里奈をはじめとした間門家の大人や姉妹がいる。


もう無関係ではない吉田真子も来ている。そして嘉菜の肩を抱いている。


香里奈が頭を下げた。

「風花さん、由乃をよろしくお願いします」


「はい、任せて下さい。って、私は麻酔して寝てるだけですけどね」


手術室に入って行った。


同じ手術室にはすでに由乃が運ばれており、治療がスムーズにいっても移植後の処置を入れて数時間かかる。



勇太はベンチシートに座って再び考えている。梓が倒れたときに肝を冷やした、予定調和についてだ。


前世で自分が死んで梓の代わりになった。


この世界でも梓のピンチが起こったと思ったが、盲腸だった。それで収まったと思っていた。


だけど今度は由乃。すなわち梓の異母姉妹。


考えないようにしている。かわいそうだけど、パラレル勇太が逝って予定調和は終わっているはず。


だけど勇太は、あちらの世界で5年間も闘病生活をして、こっちの世界に来た。


他のことと違って、病気のことだけは気楽には考えられない。


「・・・まさか」



ぺちん、と頭をたたかれた。


勇太が見上げると、カオル、ルナ、梓が目の前に立っている。


カオルがにっか~と笑っている。ルナも微笑んでいる。


「なに考えてっか知んないけど、大丈夫だ勇太」

「・・何があっても、勇太のせいじゃないからね」


梓が勇太の手に自分の手を乗せた。


「ユウ兄ちゃん、由乃さんの無事だけを祈ろうよ」


「・・みんな」



思い出した。


間門家の人達は肉親のピンチ。


辛いのは、あちらの人達だ。


最適のドナーを見つけて、由乃の生存率は20パーセントから90パーセント近くまで跳ね上がった。


けれど、恐らく次がない。


残りの10パーセントに入ったときのことを考えると、特に間門香里奈、間門嘉菜は胸が締め付けられる思いだろう。



けれど・・


「勇太さん・・」


嘉菜&真子が来た。嘉菜が口を開いた。


「風花さんに会わせてくれてありがとうございます」


「いや、まだ手術は終わってないし・・」


「それでも感謝してます」



間門の人間は、本当に勇太に感謝している。


もちろん調停を間門の傷が残らないように収めてくれたこともある。


それ以上に、今回の由乃のドナーである風花は勇太を介さなければ見つからなかった。


ただ希少な男子というだけではない。


不思議な人に会えた気持ち。そこに邪な感情はない。


ただ感謝している。



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