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モブ顔の俺が男女比1対12のパラレルワールドに転生。またも同じ女の子を好きになりました   作者: #とみっしぇる


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174 勇太、責任取ってくれるんでしょ

勇太は、間門家との調停で間門家との約束を破った。


簡単な言い方をすれば、予定していた間門家有責でなく、勇太有責の形に強引に変えることにした。


この形を取ると、勇太には過去の人間性に問題があったと記録が付く。


覚悟を決めていた間門の大人達のメンツも潰れる。


代わりに、恩を感じる吉田真子と、その彼女・間門嘉菜が傷つかない。


真子の母親は嘉菜の母親の部下だから、なおさらだ。


前日、葉子、梓、ルナ、カオル、純子、麗子、風花に急な方針変更を明かした。


坂元家のリビングのラグの上に円座で座っている。勇太が神妙な顔だ。


「すまん、この問題の最初の原因を作ったのは俺だ。だから、こっちが不利になっても、俺から解除の申請がしたい」


「けれど、間門側からは勇太に強い制限をかけたのは自分の側だから、陽介さんも第一婦人の彩奈さんも、責任は自分達で取るって強く言われてるわ」


葉子も意外なようだ。


「・・申し訳ない。みんなにも不利益が生じる可能性がある。けれど、これは俺が責任を取りたい」


この形を取れば、間門側に被害はない。


けれど、すでに籍を入れた梓、その義母葉子は、家族に問題アリの男がいることになる。


ルナとカオルは、婚約者が入籍前に調停で負けたことになる。親が婚姻に反対するかも知れない。


また、勇太が作った歌で音楽活動をしていく純子&風化に何の影響があるか分からない。



けれど転生した次の日には、パラレル勇太がやったことから逃げないと決めていた。


ここ数日、それを思い起こして悪者になることを決めた。


「俺が、今後は不良物件になるかも知れない。それでも被害者ヅラすることができない。愚かだと罵ってくれ」


勇太は、集まってもらったみんなに深々と頭を下げた。


「将来に不利益があると思えば、今のうちに俺を利用して、タイミングを見て捨ててくれてもいい」


体勢はそのままだ。


「馬鹿だね、勇太」

けれど、下げた頭を誰かが抱いた。


ルナだ。


「勇太、勇太が人のために選んだ方法だよ。反対なんかしないよ」


「けれど、調停の結果によっては、俺は前科者みたくなる・・」


「私達の肩身が狭くなるとか?」

「そう」


「そんなの気にしない」


「けど・・」


「きちんと、責任取ってくれるんでしょ・・。私が離れると思ったの?」



「そうだぞ勇太」

「・・カオル」


「アタイも、柔道界の評判と関係ねえくらいおめえが好きになった。そんな風にした責任取ってくれるよな」


「私、もうユウ兄ちゃんの奥さんだから離れないよ。もちろん責任取ってくれるよね」

「ありがとう梓」


そして楓花と純子。


「勇太君、私達ってあり得ないチャンスもらったんだから、ここで終わったとしても、十分に感謝してる」

「調停で負けて就けない職業って教師くらいだよ。足かせにもならないよ」


麗子も続いた。

「ハル母さんのことで、一番世話になってるのは、私だよ。恩を返さないとね」


「・・ありがとう、みんな」


間門側には知らせない。


反対されるし、間門嘉菜を悩ませることになってしまう。


梓の異母姉だし、間違いなく人もいい。


調停の場で勇太の意見を通すと、嘉菜が反対する。


事前にも言えない。恐らく親に相談するから、捨て身の計画が頓挫する。


だから吉田真子だけに、電話で『解決策があるから、当日に実行する』とだけ明かし、嘉菜を止める役になってもらった。


そして勇太は、悪者になった。



調停は、勇太の全面降伏でケリが付いた。


間門側の弁護士が、勇太が反省しているため和解に応じることを伝えた。


葉子、梓と同じ、坂元家と間門家の間で結んでいる常識的な財産相互放棄だけ。あとの制限を取り払うこととなった。


慰謝料等、間門側から金銭請求がないことも約束された。


元々、間門側から勇太に慰謝料を払う用意があっても、その逆はなかった。


当然、間門側への調査も入らず、勇太的な円満解決になる。


あとは勇太側が再び家庭裁判所を訪れ、不名誉な手続きを取ることになる。


◆◆◆

最低限の手続きが終わると、勇太らは家庭裁判所から出た。そしてパラレル南体育館に向かった。


柔道連盟と契約した、歌の仕事がある。


もちろん、間門家の人間に呼び止められたが時間がないからと断った。



勇太達は、パラレル南体育館で歌った。


柔道連盟で告知していてくれたから、小学生の小規模な大会と思えないほど人が来た。


仲介役をしてくれた鬼塚一子にもお礼を言った。


「勇太君、君は本当にあれで良かったのか・・」


「はい。教師や議員とかなるときは問題らしいけど、自営業なんかだと大したことがない傷だそうですから」


「そ、そんな問題じゃないだろ」


勇太は答えず、笑顔で歌い出した。


一緒に歌うルナ、梓、カオル、純子、そして風花の顔を見て、鬼塚は全員が納得していることを悟った。



こんな男子がいるとは思わなかった。


自分が希少で貴重だからと、責任を取らない男子が大半を占める世界。


勇太は単純に経歴に傷が付くな、と思っただけ。


その世界で何かを守った自分が、どのように見られるか理解していない。



次の日から、ネットで勇太ファンをやめるという書き込みが何件もあった。


勇太も目にした。



しかし、その数倍の女子から注目を浴びていることを知らない。




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