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モブ顔の俺が男女比1対12のパラレルワールドに転生。またも同じ女の子を好きになりました   作者: #とみっしぇる


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135 女神印の吊り橋効果

勇太は、パラレル勇太のせいで不和だった2年3組のクラスメイトと打ち解けてきた。


そのせいもあるけど忙しい。


パンのウスヤに金銭的な余裕も出て、パートさんを雇った。おかげで勇太のパン屋の手伝いも週3に減った。


代わりに、看護師軍団との夜中のファミレス会が増えて、中学生との早朝ランニングをカオルを交えて再開。


放課後は自分のクラスの劇シンデレラの大道具作りも加わった。


勇太ら大道具班はカボチャの馬車も完成させて、次はお城のセット作り。


今日は赤絨毯を敷いたお城のホール風背景を布で作った。目の錯覚で奥行きを作ろうと美術美の面々が主導している。


木曜日なので伊集院君は登校していない。



そのときに、事故が起こった。


背景の出来上がりを確認するために布を広げようとした。


教卓や机をどかして、黒板上の天井に布の端をピン止めしていた。


委員長の吉田真子が黒板の左上に届かず、机の上に椅子を乗せた。その上に立っていた。


勇太は、下に並べる小物を取りに行って帰ってきた。


「危ないよ委員長~。代わるから待ってて~」


「え、男の子に危ないことさせられないよ」


優しい~など口々に言っていた。ムードはいい。


「うんしょ。画ビョウ刺さらない~」

「真子、一旦降りて足場を移動しよう」

「もうちょいで、届くから・・あっ」


机の上に乗せた椅子の上で爪先立ちした真子は足を踏み外した。


とっさに下で机を支えてくれているクラスメイトの上に落ちないように、身体をひねった。


だけど、黒板の下に背中から落ちそうになっている。


みんな固まった。


その中で一人だけ動いていた。



勇太は狭い教室でフルダッシュした。


真子をキャッチできるタイミング。落ちる場所にたどり着ければい。そんな反射行動だ。


ただ、その先には黒板がある。


勇太はジャンプした。


意外に恐怖はない。


完全な女神印の回復力頼み。


黒板にぶつかると同時に、真子をお姫様抱っこのような感じで空中キャッチ。


勇太のミッションはコンプリート。


勢いが付いて真子が黒板と勇太に挟まれたけど、落下の衝撃に比べたら微々たるもの。


弾力がいくらかある黒板に弾かれて、勇太が下になって落下。真子をかばいながら、どんっと背中と後頭部から床に落ちた。


追加で落ちてきた椅子は、奇跡的に横にいた女子がキャッチした。


真子の体は横抱きにして、なんとか真子を擦り傷程度で済ませた。


「けほっ。委員長、大丈夫?」

「え?え?勇太く・・ん」


勇太はとっさに痛い頭を働かせた。女神印の回復力で治るといっても、肋骨が前も後ろも痛む。


転生後、何度か怪我している勇太は冷静だ。勇太的には深刻ではない。


30分ほどで回復するだろうけど、その30分の間に騒ぎになりそうだ。


見ると真子はガタガタ震えている。


「ご、ごめんなさい、勇太君。私のせいで怪我・・」


勇太は無理に笑った。


「ああ大丈夫。ルナやカオルと柔道の練習してたら、こんな衝撃なんて普通だから」


柔道で2メートルの高さから落ちてくる女子を受け止める訓練?

そんなんしないでしょ。みんな言いたいが言葉が出ない。


「それよか委員長、立って」

「あ、あの、あの・・」


腰が抜けて立てない吉田を勇太が立たせた。そして肩をぽんぽんした。


黒板に押し付けられて、真子の右頬に赤い跡が付いている。


「どこも痛くない?」

「あ、うん、勇太君が助けてくれたから」

「良かった」


「良くないよ、保健室行こう」

「そうだね、念のために委員長を診てもらおう」

「違うよ、勇太君が先だよ」


「ええ、俺はいいよ。ほら普通に動けるから俺は大丈夫だって~」


クラスメイトは勇太が根っ子から優しくなったと思った。


そして真子が顔を真っ赤にしている。


勇太が真子を身を挺して助けた。


男子が嫁や娘でもない女子を助けるなんてレアだ。


そもそもの原因が女子の真子。なのに怒りもしない。その上に真子のことを気遣っている。


普通、女子が不注意で男子にのし掛かって怪我をされたら、かなりの問題になる。


けれど勇太は、せっかく距離が縮まったクラスメイトと再びギクシャクしたくない。


「みんな~、大事にならずに済んだから、アクシデントの話は口外しないってことで」


「けど・・」とみんなが口にする。


「伊集院君に心配させたくないでしょ。俺が小さなたんこぶ作った程度だから問題ないって。ほらほら、腕も動くから。あっはっは~」


「ゆ、勇太くん・・」


「委員長、気にしないの~。作業再開しよう。俺が布を張り付けるから。ほらほら、画鋲ちょうだ~い」


しきりに真子の肩を優しくたたいている。


「クッキーあるから、あとでお茶しよう」


女神印の声を響かせながら勇太は道化を演じる。


「ドンマイ、ドンマイ~」


わざとらしい笑い。だからこそ、みんなは勇太の気遣いを感じる。



クラスメイトが吉田真子委員長の顔を見ると、潤んだ目をして頬を赤く染めている。


みんな、勇太は罪作りな男だと思った。




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