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モブ顔の俺が男女比1対12のパラレルワールドに転生。またも同じ女の子を好きになりました   作者: #とみっしぇる


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120/306

120 VS勇太のみを想定した技

9月末の土曜日、秋の柔道新人戦初日。1回戦は聖ジョバンヌ学園戦。


相手は高田選手2年、2段の178センチだ。75キロ級。


「お願いします!」気合を入れた勇太。


「よろしくお願いします。高田カオリ、彼女は過去に2人いました。男性経験ゼロです」

自己紹介を始めた高田選手。


「こら、試合前に余計なことを言わない」


高田選手は審判に怒られた。


勇太は一瞬、この世界のひとつの礼儀作法かと思ったが、単なる過剰な自己アピールだった。


「始め!」


相手校の部長で、まずまずの実力者というデータを頭に入れている。体重、身長ともに勇太より一回り大きい。


威圧感がある。


勇太が襟をつかみにこうとしたとき、相手が大きく構えた。両手を上に上げて、堂々とこいのアピールだ。


勇太は怯んだ。


獲物を見つけた熊のような、大きな構え。目力もすごい。


勇太はフットワークを使って隙を探すけれど、近付くと危険な気もする。


「うっ、威圧感すごっ。かなりの実力か。こっちが格下だし遠慮なくいかせてもらう」


勇太は、思い切って踏み込んだ。しかし、このタイミングが悪かった。


というか、相手の高田は狙っていた。


高田は、せっかく勇太と試合できる幸運を堪能したい。


高田個人は強いけど、段持ちは2人しかいない柔道部だ。初戦から段持ち4人のパラ高戦。


団体戦の敗戦濃厚なら、ジャンケンで勇太戦を勝ち取った幸運を生かそうと目論んでいる。


ぶっちゃけ、勇太が接近してきたら、抱き付こうといていた。抱き付いたあと足でも絡めれば、技として認めてもらえる。


ドントセクハラ、ベリータッチ。


可愛い男子に合法で触れるときの合言葉だ。


そのために両手を広げていた。そして前に出た。


柔道の神様ごめんなさい、こんな私を許してと、謝るくらいの罪悪感は持っている。


高田が抱き付きにくると読めない勇太は、敵のもくろみ通りに大きく前に出た。その瞬間に高田は、ガシッと勇太の肩に抱きついた。


あるギャラリー女子は、パラレル群馬県の山奥でヒグマがオバさんに襲い掛かったニュースを思い出した。


「うぐるああ!」


どんっ、と中腰に構えた勇太は体を浴びせられてしまった。


「うぷっ」

「ほえっ?」


高田の胸は大きい。少し飛び付き気味だったから、緩めに空けたDカップの右パイに勇太の頭が激突した。


「うひゃああ!」


高田は奇声を発しながら、そのまま倒れた。なんとなく小外刈りっぽくなった。


「技あり!」


そして寝技の攻防。高田が勇太に抱き付いたまま、下敷きにしている。そして渾身の力で抱き付いている。


立派な縦四方固めにも見える。


高田は初めての男子との抱擁だ。いや、柔道の試合中だ。抱擁でなく寝技の攻防である。


渾身の力を込めて、30秒を堪能しようとした。


「うへへへ・・」


20秒で試合終了のブザー。


「合わせ技で1本」


「・・あ、技ありが余計だった」


余計でない、試合中だぞ。


先に小外刈りで技ありを取っていたから、技ありと見なされる押さえ込みの20秒で止められてしまった。


がっちりホールドに勇太が怒っていないか、恐る恐る起き上がった高田だが、勇太から彼女に意外な言葉。


「いやあ~、今まで食らった固め技の中で、一番強烈でした」


自分の下心満載の技を褒めてくれた勇太にドッキ~ンである。


見ていた女子達はセクハラ紛いの高田に腹も立つが、離れがたい気持ちにも共感した。


試合中なら、女子に抱き付かれても怒らない男子がいるとわかった。それを教えてくれた高田選手にエールを贈った。


「みんなすまん、いきなり負けた。キヨミ、頼む」


「ん、ドンマイ」


次峰キヨミが両手を広げている。


「慰めてくれるのか」


勇太はキヨミにハグしてもらい、お返しに背中をパンパンして送り出した。


キヨミは、素直に勇太が応じてくれると思わず、内心では驚いていた。


そして会場では、きゃ~~と声が上がった。


キヨミから先は、4人連続でパラ高が勝利。2回戦進出となった。



試合終了時の整列のあと、この世界では先鋒は先鋒、次鋒は次鋒という感じで、対戦相手と握手をして別れる。


だけど相手校は全員が、最後に勇太に握手を求めてきた。






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