117 日曜日の勇太を撮影
9月22日、日曜日の朝4時。
今日も勇太はパンのウスヤに来ている。順番は無茶苦茶だけど、勇太はルナに正式にプロポーズの返事をもらって上機嫌だ。
今日はパンもこねるが、テレビカメラが回っている。
柔道連盟から、勇太の日曜日を撮影したいとリクエストがあった。連盟会長の鬼塚一子から、何でも使えるから、勇太は絡みは撮りまくれと指令が出ている。
それで朝4時のパン屋から撮影がスタートした。
本当は勇太は、2時から活動開始。筋トレ後に3時から走ってウスヤに来た。
勇太の目撃情報から異様な活動時間の報告もあるが、そこまで公開する必要もない。4時にウスヤがあるパラ南商店街で待ち合わせした。
「おはようごさいま~す。朝早くからご苦労さんです」
「勇太君、今日もよろしくお願いします」
「どうもで~す」
早速、白い服に着替えて勇太は熊のパンを作った。
腕は上がっている。造形パンは意識してゴブリンを作れる。動物の腕も上がった。
「よし、熊の出来上がりです、ユリエ軍曹」
「お、それなら焼き上がりは熊になると思うけどな・・」
苦笑いのGIジョー似なユリエママ。
「需要がね・・」
「やっぱり」
時すでに遅しとでも言うべきか。
勇太の造形パンを求める人は国民的ゲームキャラのゴブ君しか期待していない。
焼き上がった熊のパンは、立派な熊に見える。しかし今までのウサギ、猫も含めて売れ行きはイマイチ。
勇太君のゴブリンパンなら遠くから買いにくる人もいる。二ーズの関係上、ゴブリンパンの1択である。
「やっと熊のパンが熊に見えるのに、ゴブリンしか売れないなんて・・」
撮影スタッフに熊のパンをあ~んして味見してもらった。そこは好評だった。
朝7時からサンドイッチをもらって、商店街の特設ステージへ。
大人も混じったギャラリーが50人から、だんだんと増えていった。
純子&麗子、ギタリスト風花と合流してパンの歌からスタート。拍手喝采の中で8時半まで歌って、ひとまず解散。
午前9時過ぎ。
茶薔薇学園でカオル達のところに行って11時まで柔道特訓。
少し早めの昼ご飯で、撮影スタッフと茶薔薇の部員に熊のパンを振る舞った。
3人の撮影スタッフが、そろそろざわついてきた。
「勇太君のパン、おいし~」
「それよか、ちょっと勇太君ってすごくない?」
「朝の4時にパン屋で合流してから、動きっぱなしだよ」
「このあと、日が暮れるまでカフェだよね・・」
事前にネットで調べ、色々と勇太と話しているが、今日の撮影スケジュールの折り返し地点に到達していない。
今日は午後8時までリーフカフェ、それから純子&風花ユニットと、歌の打ち合わせ。
すでに8時間くらいのフル活動なのに、残りが10時間くらいある。
男子の潜在能力なのか、それとも勇太の特徴なのか。男子の密着ドキュメントなんて例が少ないから、判別がつかない。
1時にカフェに行くと、8月まで人がいなかったテラス席に座っている人もいた。
「勇太く~ん」
「どうも、来店ありがとうございます」
いつもの白シャツボタン2個空け、ソムリエエプロン。オーダーを取るためにお客さんの間を動き回っている。
愛想もすごくいい。
早朝からスタンバってクタクタの撮影スタッフを店の控え室で休ませてくれる。スタッフの手には、勇太が差し入れしたアイスコーヒーがある。
「はあ~、すごい」
「私達にも気遣ってくれるし、ホントにいいわ~」
活気あるカフェもやがて閉店となり、近くのスタジオで風花と純子の歌を聴いて、歌詞の変更などを詰めていく勇太。
10時に家に帰って、梓のご飯。そしてフルタイムで働いた葉子義母さんを休ませて、梓と洗い物。
撮影スタッフは、宿舎に帰って話していたが、勇太の食欲にも驚いている。
食欲旺盛は、重婚で大切な要素のひとつなのだ。
男子1人で嫁たくさんだと、場合によってはご飯で尽くしたい妻がいたりする。
それで大量のご飯が用意してあって、誰のご飯を食べる、食べないとかで妻同士の軋轢が起こったりする。
勇太は女神印の回復力の代償で燃費が悪い。だから梓、ルナのご飯やお弁当、女子からの差し入れを全部食べている。
これが、本人も知らずのうちに女子からの好感度を跳ね上げている。




