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100 茶薔薇学園deカオルの監視

柔道合宿のあとは、また柔道だ。


8月24日から1週間は午前中を茶薔薇学園で特訓というか、カオルのお守り役だ。


梓からのお願いだ。そして茶薔薇学園のみんなからのお願いもある。


放っておくとカオルが無茶をする。


インターハイで怪我した左腕が完治していないけど、もう9割方動く。だから激しい練習をしようとする。


いずれは日本一、そして世界一を目指している。3週間もじっとしていられないのは分かる。


けれど検査したら、動かした部分が少し悪くなっていた。


だから勇太が茶薔薇に行って、トレーナーというか一緒に基礎トレや特訓に付き合う。


梓は忙しくなる。カオルにかかりきりで色々とおろそかだった。


真ん中くらいの成績が落ちそうだから、当面は夏期講座とカフェの短時間アルバイトをして過ごす。


カオルに会うけれど、頻度が下がる。


パラ高柔道部員も同じ。部長のルナをはじめ柔道部員も夏期講座を受ける。


勇太は茶薔薇学園の最寄り駅に朝7時40分に着いた。早めにしたのは混乱を避けるため。


なにせカオルに公開プロポーズをした。カオルが学校に顔を出しただけで、部活で学校に来てる人みんなに質問攻めだそうだ。


練習後の勇太はカオルと出かける。


リーフカェの仕事は、明日から再開する。時間は午後2時から、閉店作業込みの夜9時まで。


早朝はもちろんパン屋に行ってきた。勇太の生活は相変わらず時間的にタイトだ。


「おはよカオル。4日ぶり」

「お、おう、駅で待ち合わせなんて初めてだな」


「そういや、そうだな~」


これは梓の勧め。というか、梓もうっかりしていた。ルナもうっかりしていた。


勢いで4人婚をすることに決まった。カオルと勇太も間違いなく惹かれ合っているのに、恋人らしいムーブがない。


キスは何度かしてるけど、その度にカオルの意識が飛びそうになる。


そもそも、梓がカオルにべったりすぎて、カオル&勇太を2人きりにしたことがない。梓は、やっちまったと思っている。


ルナも、何か忘れていると思っていたのに、思い出せなかった。


まあ肝心の本人達も、なんだかすごく仲良しだけど友達のようで、1対1になろうとしていない。



前世ならありえない現象だけど、今世なら仕方ない部分もある。


ここは男女比1対12の世界。


旦那持ちの女子も、1対1のデート経験者は半数程度。特にモテる男子と複数婚をすると、安全確保の意味も考えて多人数で出かける。


そんな事情がある中で、勇太は女子との1対1でも平気な男子。梓とルナは、カオルにもドキドキを味わってもらおうと考えた。


カオルは2人のもくろみ通り、ドキドキしている。いや、デートは午後からなのに早すぎる。


勇太は普通だが、パラレルカオルはこの世界の女の子。


柔道一直線でも、今日は勇太に会う前から、状況の特別さに気付いた。そして焦った。


男女比が1対1の世界を舞台にしたドラマで、美少女俳優がやってたことじゃねえかと。


「おやつにウスヤのパン、たくさん買ってきたからな」

「あ、あんがと・・」


出勤ラッシュ時間帯の駅。高校生は少ないが、人自体は多い。


勇太の待ち合わせの時間のチョイス。思い切り間違ってるぞ、と心の中で叫んでいる。


最寄り駅から茶薔薇学園まで、わずか300メートル。その間もスマホで撮影されまくっている。


「すげえ、梓もルナも、こんな注目されてて平気で歩いてたのかよ」

「カオルも、柔道インターハイの決勝は、すごく見られてたじゃん」


「あれとこれじゃ、質が違うぞ。柔道では格闘家として見られてるからな」


「俺ら婚約者になったろ。別にやましいことしてないし、ここは女の子のカオルでいいじゃん」


「お、おんなのこ・・」


勇太がカオルと肩を組んだ。勇太はワイシャツだけど、ボタン2個空けで夏だから汗をかいている。


いつもやられていることなのに、2人きりだと意識してしまう。


柔道着を着ていないカオルの精神耐性は、かなり低い。


柔道の練習を始めるのはこれから。


なのにカオルのMPはガンガン減り続けている。





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