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流されて

作者: 宮下英二

西の都にて

流されて西の地方都市に来た。

といっても仕事でしばらくいるだけだ。

夏には関東郊外に戻る予定だ。

仕事は順調だけどちょっとだけ地味な作業だ。

営業とは名ばかりの仕事で騙された気分で数年前に入社した。

文系の自分を雇うくらいだからよほど工業系の就活生が集まらないのだろうか。

おそらくそういう方々は開発職に行きたがるものだろう。

とはいえ組み立て作業も重要な仕事だ。

三代目がなんとやらとはよく言うが、社長が交代してからあまり経営はうまくいっていないようだ。

組織の新陳代謝と捉えれ聞こえがいいかもしれないが古参の方々や先輩も割とやめてしまい、何が何だかわからない気分だ。

何を指針に据え、誰をあこがれに目標にすればいいのか。僕はもうわからなくなってしまった。


割と上の先輩が料理を作ってくれる。飲みはたまにでいい。毎日はきつい。自分の時間が欲しくなる。

彼女を連れてくる先輩もいた。羨ましいなあリア充め!!

なぜ結婚の報告は必要なのだろうか。扶養の問題などあるだろうが、しかし「あの人はもう誰かか唾つけてるから手を伸ばしたらダメ!」という意思表示なのだろう、と思う。

海外営業部の先輩の話は乾いた自分の体に染みわたった。外交官になりたい・駐在したいという自分のひそかな希望がもしかしたら叶うんじゃないか。そんな気持ちが復活した。させてくれた。

幸い、それなりに面識があり、好感を抱いてくれている先輩方だったから自分にもいつかチャンスが来るかもしれない。そんな気分にさせてくれた。

大宰府に歩いて行った。天神様も京都の官職から憂き目に会いながら西の果ての地で都落ちしながらも腐らず天神様と称えられるくらいの功績を残したんだ。自分も腐ってはだめだ。

そう言い聞かせた。鑑真だって何度も難破しながら日本にたどり着いて本場中国・唐の仏教を広めたんだ。蒙古来週だって防いだ地だ。楠正成のように、北条時宗のように胸を張れる生き方をしたい。

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