96. 繧ョ繧ャ繝ウ繝医せ
お待たせしました更新です
「各自個々で撃退、若しくは2人組か3人組となって戦え!!」
状況を見て瞬時に判断し、そう言い残したブラドは自分に向かってくる巨狼を誘導しつつその場から離れる。
「いやなんで俺だけ2体!?」
そう叫びながら的確に攻撃を躱し、反撃を入れつつルイズは怒鳴る。
「GRRRAAA!!」
片方の噛みつきをスレスレで躱し、もう片方の鉤爪に腕を当てて弾き、追撃をかけんと身を捻って蹴りをその横っ面に叩き込む。
「GRRRR・・・」
が、しかし。まるでノーダメージかのように巨狼が立ち上がり、すぐにまた自身に生まれつき備えられた爪牙を巧みに使ってルイズに傷を負わせんと反撃の暇など与えないほどの連撃を繰り出す。
「チィッ!拉致があかねえ!!」
「兄さん!後・・・!」
「ああ、分かってる・・!」
金属音。およそ爪と腕が起こしたとは思えないような音が衝撃波とともに大気をふるわせ、地面に亀裂を走らせる。
「シッ!」
魔眼スキルーーー【射手座之魔眼】
振り向きざまに左足一閃。巨狼の体が玩具のように軽々と吹き飛んでいき、なんとも滑稽な光景がその場に展開されていた。
「ッラァ!」
また一方では紫電が迸り、凄まじい速度と怒涛の剣戟によって巨狼を追い詰めていた。
紫電魔法ーーー轟閃鳴神
紫電で形成された龍の鉤爪が右脚を覆い、左で踏み込んで肉薄。巨狼がその姿を捉えた瞬間には、もはやその体は龍の顎に喰らい尽くされた後だった。
「フッ!」
武器魔法ーーー【兵戈槍攘】
展開された漆黒の魔法陣から一切に放たれる同色の槍15本がバラバラに巨狼を追尾し、その背に突き立たんと速度をあげる。
「GRRRAA!!」
それに対し巨狼は、鉤爪で三本をまとめて切り裂き、飛来した4本を噛み砕いて壊す。次いで来た4本を後ろ足で蹴り飛ばし、更に来た2本を避ける。
更に、残りの2本が背後から飛来し、迎撃しようと後ろ足を上げたその瞬間。
「ここだね。」
後ろに引っ張られた意識を強引に前方に戻せば、漆黒をその身に宿した男が飛び上がって拳を握り、銀色に輝く手甲で巨狼の鼻面を思いっきり殴り抜いた。
「さて、他はどうかな?」
「どうだ?ベル?まだ行けるか?」
「余裕ですね。ギル先輩こそ途中でへばんないで下さいよ?」
「愚問だな。」
向かい来る巨狼2体を見据え、世間話をするような気軽さで2人は相対していた。
「「GRAAAAAAAA!!」」
咆哮が2つ響きわたり、それを合図にしてか、2体が飛び上がり、突っ込んでくる。
「あめぇんだよ!」
召喚魔法ーーー『憑依召喚:象仙変幻』
瞬時に体を巨大な象に変化させ、鼻を巧みに使って巨狼を縛り上げ、もう一体の方に放る。次いで閃くのは青い斬撃。
空間魔法ーーー『蒼剣転斬』
剣の斬撃そのものを転移で飛ばし、2体の首を難なく切り落とす。
「これにて落着。」
「まだ警戒しといてくださいよ?」
「了解」
「アリス?リンカ?」
「はい?」
「な、何でしょぅ・・」
「三人組であれを倒しましょう。」
目の前には三体のオオカミが合体し、さらに醜く巨大になった狼がいた。
「いやいやいやいや。」
「むりですよぅ・・・」
「この3人なら大丈夫。私が保証するわ。」
「カーネリアさんがそこまで言うなら・・・。」
「やってみますぅ・・。」
「じゃ、行くわよ。先制は私ね。」
カーネリアが長杖を構えた瞬間、桃色の引き絞られた弓と矢がその場に顕現する。次いで真上から巨大な鉤爪が振るわれ、カーネリアが吹き飛ぶと思われたその瞬間。
魅了魔法ーーー【魅惑之弓矢】
真下から脳天へと一直線に放たれた桃色の矢は金色と白銀の尾を描いて巨狼の頭に直撃する。直後、振り下ろされる鉤爪の勢いが止まり、巨狼がカーネリアを見る目が憎悪から愛へと変化する。
「さ、今よ。」
「「了解」」
札魔法ーーー【式神:騎乗型】
双子スキルーーー入替双人格
鈴魔法ーーー【剛力鈴音】
紙でできた鎧と騎馬に乗り込み、次いで鈴の音が鳴る。すぐさま馬が駆け出し、巨狼の顔に途中で拾った太刀を突き立て、槍をぶっ刺し、斧で切り裂く。
「まだかァ!?」
「あとちょっと!」
「しゃあねえなあぁぁぁぁ!!!」
レンカの問いかけがひびき、それに対する返答がアリスから返されたと同時、聞いて即座に動いたレンカが一際大きく顎を斧で打ち上げ、雄叫びを上げね巨狼に飛びかかる。
「オラァ!これでどうだァ!!」
右の後ろ足を掴んで固定し、そこを軸として25m以上の巨体を持ち上げ振り回して上方向にぶん投げる。その様子はまさに剛力無双であり、巨狼は驚きで目を見張って姿勢を正そうとするが、時すでに遅し。
「装填完了。」
炎魔法ーーー【火焔魔弾】
「ここ。」
短く、小さな呟きとともに鉄砲の形をした指先から放たれた魔弾は巨狼の額を的確に貫き、その巨体を地に沈めた。
「みんな張りきってるねえ!!」
メンバー達を見ながらブラドは独り言ち、ルイズから引き剥がした巨狼と元々ブラドを襲ったもう一体の2体を相手に互角に渡りあっている。あくまでもたった2体集まったところでどうとでもなるという態度を崩さず立ち回り、巨狼の攻撃を的確に迎撃していく。
「僕もちょっと、本気を出そうかな・・・。」
メンバーの成果に魅せられ、ブラドは自分にしていたリミッターをひとつ取り除く。
魔眼スキルーーー【牡牛座之魔眼:多重発動】
本来ならば光った両目から放たれる斬撃が、纏めて身体中から全方位にむけて一斉に放たれる。直後、ブラドの周囲100メートルほどがクレーターとなり、遠くには吹き飛ばされ、体をえぐられた二体の巨狼が横たわっており、不可視の斬撃をそこに飛ばして、ブラドは確実に2体の首を切り落とした・・はずだった。
「・・・なっ!?」
突如として戦場に地震が起き、刹那の間を置いて咆哮が響き渡る。
「AOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!」
規則的な衝撃が戦場の地面を揺らし、まるで大地を踏み締めているかのような音がゆっくりと近づいてくる。
そう、先程までの狼などただの前座。本命は未だ到来せず、こちらの隙を伺っていたのだ。
「な、なぁ・・あれ・・・。」
草原の奥、森とは反対方向にある山間から、その者は巨狼に乗ってその異様を表した。
「で、でかい・・。」
⬛︎⬛︎伝承ーーー繧ョ繧ャ繝ウ繝医せ
狼に乗っているとはいえ、山と同レベルの大きさの巨体が1歩歩く度に地面が揺れ、大地が割れる。かつて太古の別世界の国ギリシャでその異様を表した絶望に対し、人は為す術なく蹂躙されていくのみであった。彼らは絶望の象徴であり、いつだって神々と敵対する運命であった。故に現在の別世界の国ギリシャでは彼らのことをその異様を、巨躯を恐れてこう呼んだ。
【神之敵対者】と。




