85.オルタナ・ガーディアン
更新です。
夏休みだひゃっほぉぉおおお!!!!
ニック達から聞いたところによると、この森で俺に限らず都市国家の兵士を待ち伏せしてるヤツらは割と大量にいるらしい。そして、そのほとんどが東の公国の特殊部隊『オルタナ・ガーディアン』との事。まあ所謂ほとんどが異世界人のみで構成された部隊らしい。まあそこら辺は今は割とどうでも良くて、なんでこの辺にいるか聞いたところ、『ある尊いお方』がこの辺に隠れ潜んで長らく生きていたらしい。だから、その人を探して公国に連れて帰り、滅亡寸前の国家を建て直すみたいなことをする・・・と。んで、その人に会う前にこっちに来る兵士が厄介だったからここで待ち伏せしてたらしい。・・しかも、ニックたちはその尊いお方と既に面識があり、俺の情報を知っていたのはそのためらしい。・・・俄然、その尊いお方とか言うやつが誰なのか絞れてきたな。
「まぁ、そんな確証もないことに縋らないといけないほど切羽詰まってるってことなんだろうけど・・」
にしたって魔力感知に引っかかる程度の実力の奴らだけで40人近くいるのはどうなんだ?しかも全員異世界人なんだろ?
「どんだけ召喚したらそんな人数になるんだ公国・・。」
厄介という言葉よりまず面倒臭いと思ってしまうあたり俺も大概図太くなってきたもんだが、それでも尚この量は無いわ・・。しかも探知に引っかかってないだけで本当はもっといっぱいいる可能性だってあるわけで・・。
「これ無理では?」
いや、全員ニック達以下かそれと同じぐらいの実力だったらワンチャン・・無双ゲーはあんま好きじゃないけど、やるしかねえんだよな。
「腹ァ括るか。」
「その心意気やよし!参る!」
早速1人目。凄まじい速度で放たれる突きを軽々と受け流し、刀を地面に足で踏んで押えてそのまま顎を蹴り抜く。次いで現れる2人目の放つ雷の魔法を着けたままだった血装で蹴り返し、顔面に当てる。続いて現れた3人目の剣技をマフラーで流し、懐に入り込んで肘打ちを鳩尾に当てる。更に現れた4人目5人目のまほ・・・
「いや多い多い多い!!」
こっち1人よ!!そんな数十人で一斉にかかってきて倒すようなやつじゃないだろ!!と、そう考えてる間にも体が殆どオートで動き、剣を絡めて鳩尾を蹴り抜いたかと思えば、顔を殴ってめまいを起こさせた後に地面に引き倒して気絶させたり、魔法を避けて顔を掴み、気にぶつけたり挙句の果てにガトリング砲まで出てきたデカブツには「弾幕が正義だ!」とか言い放ったその口の中にデリンジャーを突っ込んで、予め装填したゴム弾を喉奥に放って気絶。その後もそんな感じで奇襲、格闘、魔法、剣術を駆使してくる奴らにゴム弾と打撃をお見舞いして、気付けば探知に引っかかる奴らの反応は全て地面に伏せていた。
「はぁ・・はぁ・・!!これで、何人だ!!」
最後の方だいぶ手強いやついっぱいいたけど、まだ剣とかマフラー抜くには早いな。もうちょい強くないとこいつらは抜けな・・
「・・!!?」
5つの殺気が一瞬にして到来し、1秒とかからずに木の上に飛び上がる。・・正確にこっちを見て放たれた殺気だったが、それでいてどこから放たれたかは全く分からない。・・予想以上の手練が来たようだな。例のごとく探知には引っかからず、気配消しが大変上手いようで・・。
「5人・・か?」
呟き、すぐさまその場を移動。隣の木の枝の上に立ち、さっきまで自分がいた場を凝視する。直後、轟音とともに矢が枝に突き刺さり、そのまま、さっきまで立っていた太い枝がへし折れた。・・・マジかよあの威力。当たったら確実に死ぬなありゃあ。にしたって何もんだ?いや、公国の人間っつーのは分かってるんだが、矢を打ってきた奴以外の場所もわかんねえし矢打ったやつも早すぎてどっから飛んできたとかわかんなくなった・・・いや、枝が折れた方向見ればワンチャン・・。よし、行けるな。
「・・・・」
多分だけど、あの威力を出すならスキルとか魔法とかの補正があっても短弓じゃあ絶対に火力が足りない。となればロングボウのハズ。そして、ロングボウで狙撃する場合、並外れた便利機能とか、折りたたみ昨日やスキルが使い手に備わってない限り、動けないはず。・・っつーことは。
「はぁい、お兄さぁん。突然だけどさようなら。」
首に巻いたマフラーを迅速に固めて、『枝の地面側』に立っていた青年の頭を迅速かつ確実に意識を落とせるように棍棒を振り抜く(ただぶっ叩いただけ)。次の瞬間にはその体は地面へと脳天から落下し、呻き声を上げて倒れた。瞬間、投げナイフが3本同時に飛来する。超スピードで接近してくるそれらの内、2本を避け、一本を空中で掴んで身を翻す。気を足場に、真っ直ぐとナイフの飛んできたところに跳躍して瞬く間に3回。紅のマフラーと投げナイフが弧を描いた。瞬間、叢に潜んでいた3人の男が初撃の投げナイフを一斉に防ぐ。
「かかったなぁ!!」
血液魔法ーーー血流加速
加速した血流により、振り下ろしの速度が急激に速くなって空気を切り裂く。瞬時に応戦しようとするも時すでに遅く、3人の頭を纏めて地面に埋める勢いで紅のマフラーが振り抜かれた。直後、3人の頭が地面に激突した瞬間、超速の抜刀がキトを襲う。ギリギリで反応し、振り抜いた後のマフラーを引っ張りあげて崩れた体制でガード。抑えきれず、吹き飛ばされて木に激闘し、肺の中の空気がほとんど持っていかれる。
「切り捨て・・御免!」
大上段から振り下ろされる刃を見て呼吸を一瞬止め、全力で叢に向かって跳ぶ。直後に振り下ろされた刃が地面を砕き、大地を抉って小規模なクレーターと斬線を地面に刻んだ。
「っ!・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・はぁ!!」
一瞬で攻守が逆転し、一太刀を避けるだけで背筋を冷や汗が伝って疲労が身体を襲う。・・こいつ、誰だ。
固有魔眼スキルーーー『分析之魔眼』
名前:霧裂 刃一郎
年齢:35歳
種族:異世界人
詳細:東の公国トップの異世界人にして武人。
「英雄ってわけか・・・。」
「そのような大層なものではござらん。某は戦いを求め、ただ生きていたのみ。」
「・・・成程。」
「都市国家指折りの強者とお見受けする。・・是非とも、お相手願いたい。」
チッ!正直ここでこいつと戦うメリットは薄い・・が、このまま周りのヤツらを起こされて首都に直行でもされたらやってられねえ。・・それに、コイツからは逃げても逃げれねえような殺気がプンプンしやがる。
「・・やってやろうじゃねえか!!」
「その意気やよし!!」
「解放!空間貯蔵庫!!招来:『重國』!!」
・・えー、取り出したるは腕と凡そ同じ大きさの布巻き。それを解きまして顕るるは1本の鉈。銘を『重國』と言うこいつはギルドの蔵の奥底で眠っていた物で、目に入った瞬間にこれだと思った武器だ。
「鉈・・・?」
「ああ。こいつが、俺の本気の内の『1本』だ。」
逆手に構え、見据える先には具足を纏った鎧武者。腰だめに構えられた刀に手をかけ、睨みつけるは軽装で鉈を持つ幼女。引き絞られた弓から矢が放たれるように、静寂を切り裂いて、互いの中で号砲がなったのは同時。一陣の風が吹き抜けると同時、両者の激突が始まった。




