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これホントに暗殺者の仕事なの?  作者: 羽根ペン
2章 戦争編
78/242

77.或いは諦観して飲まれた者であったが故に

更新です


或いはそれは圧倒的恐怖と絶望への諦めであり・・・

ああ・・。自分はなんて役立たずなのだろうか。そう、常に思う。何も出来なかった。何も成せなかった。巷では天才と言われているが、未発見の魔法を発見しただけ。こんなことを言うと自分よりも才のない人への侮辱になるだろうか。・・・いや、しかしほんとうに私には才能がない。・・発見した魔法だって、妹のレアから言われた論文を勝手に書き換えて発現した・・つまりはレアのおこぼれに預かっただけ。結局は天才は妹であるし、あの時あの場所で私たち二人を守ってくれたあの人達には及ばない。1番下に見ていたアリスだって、カーネリアさんの影で蛇に魔法を飛ばしたり近づいて打撃を入れようとしたり、活路を見出そうとしていた。・・それに比べ、私はどうだ。ただ妹が呟く大丈夫という言葉に縋って、縋って縋って縋って。結局何も出来ず、こっちに飛んできたあの少女を助けることさえせずに諦めて、絶望して。ただ死を、恐怖を傍受してただけ。天才と揶揄されたところでそれは私にとって枷でしかない。10年に・・いや、100年に1人のと言われたところで私にとってそれは重荷にしかならない。・・結局は恐怖に対して何も行使出来ない凡人だ。魔眼も、魔法もどれだけ自分を『着飾った』ところで結局私は役立たずだ。でも・・あの子は・・・





ああ、私はなんて愚かで、醜く、約立たずの愚図なのでしょう・・・。何も出来ない、秀才と持て囃されるのも、古代魔術の復活も全てはお姉様のおこぼれに預かったただの金魚の糞。挙句の果てにせっかく身につけた魔眼も、古代魔術も、結局のところただの私へ枷をかけた『重り』。いざと言う時に何も出来ないただ華美に見える、何にもならない装飾品でしかない。挙句の果てには出発前のわがまま。私があそこで言い出さなければ、私があそこで嫌がらなければ、あのままあの蛇に襲われることも、あの子が大怪我することも、彼らがボロボロになることもなかったのではないか・・そう思えてならない。・・あの蛇に会った時だって、私だけが反応出来ず、何も・・何も成せないまま、ただお姉様に抱きついて、縋るように大丈夫・・大丈夫とうわ言のように繰り返していただけ。挙句の果てには、せっかく自分で発見したたった一つの古代魔術が回復系であるにもかかわらず、彼女に使ってあげられなかった・・。絶望に飲まれ、恐怖にすくみ、失禁までしてまだ醜く生きているこの身が憎い。下に見ていたアリスと言う者でさえ、カーネリアという人でさえ、私よりも何十倍も、覚悟が決まっていた。活路を開こうと足掻いていた。ああ本当に・・私はなんて愚図なのだろう・・。でも・・あの子は・・・






「「そんな私達を許さなかった。」」


珍しく妹とハモってしまった。・・そう、今目の前で痛みと苦しみの渦に苛まれている彼女は最初に目を開けた時にこちらを睨んだ。・・許さないという意思を込めて。今までそんな目に晒され続けていたからこそ分かる。彼女は私たちを許さなかった。・・『許さないでいてくれた』。だから、私は・・私達はそれに答えなければならない。許されないのなら、何度だって謝ろう。何度だって挑戦しよう。この力は・・発言した魔眼と未発見の魔法はこのために・・彼女を助けるために使おう。・・先ずは彼女が目覚めるのを待とう・・。きっと、返さなきゃいけない物がいっぱいあるから。・・・それに、カーネリア『さん』やアリス『さん』にも。



「「そんな私達を許さなかった。」」


嗚呼本当に、久しぶりではないだろうか。お姉様とこうやって声を重ねるのは。ただその喜びも、今はただ藻屑となって消える。そう、彼女は私達を許さなかった。起き抜けの一発目。私達を睨んだ時にそう感じたのだ。長年、その目に晒され続けてきたからこそわかる感覚に、今だけは感謝しよう。こんな愚図でどうしようもない私を、許さなかったこと、『許してくれなかったこと』に素直に感謝と謝罪を重ねよう。それでたとえ許されなかったら。それはそれでいい。機会があれば何度だって謝るし、何度だって挑戦するのだから。・・常にお姉様の背を追っていた私は、誰かに・・何かに挑戦するのは慣れている。だから精一杯、まずは謝り、許されるところから始めよう。お礼が受け取られるところから始まろう。私がすべきは、きっとそういうことなのだから。・・それに、あの時私達を守ってくれたあの二人にも、感謝を、謝罪を精一杯送ろう・・送ってみよう。願わくばこれからの関係が豊かになるように・・と。


そう、ここから、この場所から始めよう。私達・・ミアとレアという物語じんせいを。










クソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソが!!!!!!!!!!!!!!


何が魔眼!何が天才!!何がギルドマスター!!結局はただの約立たずではないか!我らの役にも立たず、我らを助けようともせずにその身に傷を負った愚かな者共!!私は許さん!!絶対に許さんぞ!!あヤツらの愚行を!あヤツらの愚劣を!!なぜ踞らない!!なぜ諦めない!!何故・・何故見捨ててくれないのだ・・・。いつもそうだ。私は。人の足を引っ張ることにしか才のない凡人。凡愚。何も出来ないただの置物。王の横で調子のいいことを言い、挙句に王の不和を買ってこのような場所にまで送られる。道中では何も出来ず、挙句の果てには迷惑千万。役立たずがいいところな愚劣極まりない愚行を犯した。生まれついてから既に45年。自分の愚かさを呪ったことはあれど自分の有能さを褒めたことも、褒められたこともない。・・いつも人のせいにして、魔眼という才能を経て調子に乗って。何もせずにただ震えてお荷物、役立たずかいいところの立ち振る舞い。・・本当に私は人なのか?ただ人語を解する豚では無いのか?本当に・・救いようのないクズが自分であった時、それに自分が気づいた時、人は死にたくなると言うが。・・本当にその通りだ。このままではゴブリンに食われた方がまだ有益な人生だろう。このままただ時間を浪費して、この場で蹲っているだけでは何も出来ない。何も成せない。ただ、動こうにも足が上がらない。腕を解けない。挙げ句の果てには顔もあげようと思わない。動こうにも体が反応しない。念じても体がそれを拒否して、このままでいることを選択する。何が我が家始まって以来の天才だ。ただの凡愚が図に乗るなよ。私は私だ。天才でもなんでもない、45歳で巨人と狼に恐怖し、天才ともてはやされた凡愚の男アルデイルだ。・・・ふと、頭を過ぎる。このままでいいのかと。このまま死んでいいのかと。・・このまま殺していいのかと。問うてくるその声は、果たしてなんだったのか。既に遠くへ消えていったその声に、私の心は雑にかきたてられる。・・・無意味な人生を、無益な醜態を、無価値な自分を、有意義なものにするにはどうすればいい。どう動けばいい。・・・答えはいつだって簡単で。常に目の前にあったのに気づかなかった私が愚かなほどに私を嗤う。『動けばいい』。我武者羅に、無鉄砲に、無我夢中に。そこで動けば、無駄な行動でも、無駄な思考でも、まだやっただけマシだとそう思えるようになるのだから!・・だから!!


「私は諦めない。」


口を動かし、喉をふるわせ、声に出して。震える足を、指を、腕を、顔を動かして。振り絞り、全身全霊で心からそう言った。


・・いつだって、最初は怖くて嫌で嫌で仕方がない。けれど、けれど!!どんな時でも、憧れだけは砕けない。それを私の矜恃にしよう。それを胸に抱いていれば、私はもう二度と、道を外さないだろうから・・・!!












そして、決意の時よりおよそ3時間後。グレイアス邸の周りに凄まじい殺気が巡る。ズルズルと這い回り、クチャクチャと人だった者を食らう音。ハァハァと熱く吐かれる白銀息。そして、地面を震わす巨大な足音。


・・・絶望が確かにここへ迫っていた。

或いはそれは自己の憤懣と屈辱であったから・・・。








Qもう1人のおっさんは?

Aしょうもない方法で死にました。具体的には自暴自棄なって全員を役立たず、愚かの極み、私に貢献せず何をするのかなどと叫びながら愚かにも森に入って、緑色の何かに足先からじっくり嬲りつつ食い殺されました。彼は本編で書く価値もなかったので、どうしても見たいって人がいたら感想か何かで言ってください。

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