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これホントに暗殺者の仕事なの?  作者: 羽根ペン
2章 戦争編
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71.異世界からの転生者

ちょっと短いけど更新です。

「・・・つまり、我らと和平協定を結びたいと?」


目の前の小太りの男が跪いてこちらに礼をしているのを尻目に、王は重い口を開いた。


「はい。私共の国では現在、謎の魔物が出現していまして・・。我々では手に負えず、そちらの国からも援助を貰えればと思い、こうして参じた次第で・・。」


なんとも生意気なことを言う。古来より我が国に喧嘩を売ってきているのはそちらの国だと言うのに。


「しかしだな、その騒動が終わった後に貴国が我らのことを後ろから刺さないとどうして言い切れる?長年我らはそちらと戦ってきたでは無いか。人の恨みとは、憎悪とは、そんな簡単に振り切れるものか?なあ?東の公国・・・もとい、『バランタイル公国』よ。」


「ま、全くもってその通りでございます・・!ですが、我々には既に打つ手がなく・・。」


「なるほどな・・どうしたものか・・・。」


小太りの使者と王の会合は東の公国から都市国家リオンへの助太刀願いであった。理由としては、男も言っていた謎の魔物・・曰く、巨大な蛇や百の手と50の顔を持つ巨人、白銀の大狼などが公国全体に跋扈しているらしい。それの掃討を都市国家へと願いに来た訳だが・・・


「しかし、こちらになんのメリットもないではないか?聞けば貴国の英雄『ファルムルド』とやらはすでに大蛇に食われ、英傑と名高かったあの『ベルヘルム』でさえも大狼と巨人の餌食となったらしいではないか?」


「し、しかしながら我が国の大公はまだ生きておられます!!」


「貴国の王ごときが生きていたところで何が出来る。せいぜい財宝と家族を連れて逃げるだろうさ。」


「で、ですがどちらにしろ我が国が終われば次は貴国です!!」


そう、それが問題なのだ。東の公国がどこから攻められたのかは分からないが、公国よりも東に国がないことが証明されているため、次に来るのはここらで最も人口の多い都市国家リオンだと言うのが自明の理なのだ。


「ふむ・・・まあ、それは一考の余地がある。が・・1つ解せないことがあってだな?」


「な、なんでしょう?」


翡翠の目が小太りの男を品定めするように見つめる。


「現在、【永遠之棺】は封鎖しているはずだが?貴公はどこから我が国に入ったのかな?」


そう、【永遠之棺】は現在キトたちの戦いによって第五廻廊までの全てが封鎖されており、出てこられない状態になっているのだ。故に、あのダンジョン以外に公国はこちらへとアプローチを仕掛けられないため、封鎖されている今、この者がどうやってこちらまで来たのかが分からない。


「魔道通信か?もしくは元々公国の密偵だったのか・・さあ、洗いざらい話してもらおうか?」


「・・・・」


男は黙ってただ王を見つめる。茶色の至って普通の目が王の翡翠の目と合わさって・・・


瞬間、伸ばされた手を閃いた銀閃が切って落とした。


「・・・」


「やはりな、既に死体だったか。」


おそらくは公国の魔物が使いに出した罠なのだろう。そう結論づけ、王は召集命令をかける。


「集合だ。時間は1時間後。魔眼会議を開始する。死体は片付けておけ。」


黒装束がその場で消え、剣を収めた剣聖が王の後を追いかける。手を切り落とされた死体は、いつの間にか血痕すら残さず消えていた。








えー、俺は今とても怒っています。というのも、今から約1時間ほど前、おれが行きつけの店のマスターにアップルパイを頼んだんだ。数分して出来上がったそれを口に入れた瞬間、視界が暗転して地下に飛ばされた。手からアップルパイは消え、代わりに待っていたのは簡素な円卓とボロっちい椅子。そしてフォークを持った俺を睨む9人の視線だった。


「理不尽だァ・・・。」


「しつこいぞキト。まさか私もお前が食事中だとは思わなかったんだ。この場は、私の顔に免じて許してくれないか?あの者はあとで処罰しておくから。」


あー・・ダリィー。なんでこんな昼間っから陰湿なとこで会議しなきゃなんだよ。1か月前にやったばっかじゃねえか。牛鬼のことだってやっと整理して終わらせたばっかだってのに。


「で?今回は何をするんです?」


ブラドさんが問いかけ、翡翠の目がそちらを向く。


「端的に言えば魔物退治だ。公国でのな。」


そんなん冒険者ギルドにでもやらせとけよ。つーか公国のヤツらやらせろよ。なんで俺らにさせんの?だってこれ国の特殊部隊とかがやるような内容じ・・・


「相手は・・・【国と同じ大きさの蛇】、【城壁よりデカい巨人】・・他にもいろいろあるが・・・どう思う?」


は?え?それって・・・


「なんでも自分達は異世界からこの世界を奪うためにやってきたらしい。・・・戯言を言ってくれる。悪ふざけのようにしか聞こえんわ。」


気づけば、口から言葉が出ていた。


「いや、それは冗談でもなんでもない。」


「・・・ほう?」


あ・・・まいっか、洗いざらいぶちまけてやる。変なことになったらブラドさんに全部押付けてやろう。固く面倒をかけることを誓って再度翡翠の目を睨みつける。


「俺の元いた世界で、そいつらと全く同じモンスターが神話や物語に出てきていた。・・あの牛鬼もそうだ。そして、俺の予想が正しければ、今公国を脅かしているのはそいつらだ。」


「なるほど・・・口ぶり的に貴様は?」


ああ、これは気づかれたな・・・まあいい。洗いざらいぶちまけてブラドさんに迷惑かけるって誓ったんだ。吐いちまおう。


「ああ。俺は異世界からの転生者だ。この体は元はと言えばキトのもの。俺はただそれを間借りしてるだけの、奴らと同じで、この世界にとっての異端だ。」


「きさま・・!!それを今までかくし・・」


「黙れ。・・・そうか、そうか。」


おっさんが口を開いた瞬間、王が黙らせ思案し始める。・・・これはまだ発言していいってことかな?


「・・・改めて自己紹介させてもらおうか。俺の名前は木村永戸。元いた世界の惑星のひとつ地球の中の日本ってとこで学生をしていた。トラ・・乗り物に引かれ、転生してこっちの世界に来た。改めて、よろしく。」


「ふむ・・・凡そ合点がいった。そして私の考えが正しければ・・・キト・・いや、永戸よ。お前、奴らの倒し方を知っているな?」


ま、当然その質問は来ると思った。

黒装束「消えっ・・!?」

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