68.エピローグ
更新です。一応、この話で第1章は終わりになります。皆様のおかげで第1章、書き切ることが出来ました。本当にありがとうございます!!ご愛読感謝です。次回は各キャラの魔法とか詳しい設定の回になります。
それでは、どうぞ
翌日の午後2時。昼も食べて任務もない休みの日。王と剣聖が突然シュトロハイムさんを引連れて現れた。黒い歪みから急に出てきたからマジでビビったけど俺らもああやって議会とかに送られてるんだろうなって思ったらそんなでもなかった。いや、それはさておきなんで今ここに王と剣聖がいるのかと言うと
「【永遠之棺】で得た報酬を持ってきた。」
らしいのだ。おれも詳しいことは分からないし、ただ皆んなに纏わりついた牛鬼をぶっ倒しまくっただけだから報酬とか言われても正直困るんだが。
「えーと、先ずは勲章からだな。」
勲章?国を守った人とかに貰えるやつって聞いたことあるけど、俺みたいな特になんもしてない奴が貰うのはちょっと気が引けるな。今からでもキトに中身変わって・・な!?も、戻れない!!?おいこいつ内側からめっちゃ必死に俺が入れないようにしてきてる!!クソ!我が妹ながら用意周到だぜ。俺の事をよくわかってやがる。
「最初は・・ドレットか。」
言われ、ドレットパイセンが前に進む。
「貴殿に紫雷之虎章を与える。これからも我が国に理をもたらすことを切に願う。」
「謹んでお受け取り致します。」
パイセンの手に虎を模したアメジスト色の勲章が渡る。すげええ・・かっけえ!
「次は・・ルース。」
呼ばれたルースパイセンが王の眼前に進み、
「貴殿に黒翼之竜章を与える。これからも我が国に理をもたらすことを切に願おう。」
「謹んでお受け取り致します。」
跪き、頭を垂れて差し出した手に漆黒の竜が象られた物が乗せられた。あれも中々かっけえなぁ・・。
「ラストは・・キトか。」
え?ブラドさんとルイズパイセンは?いいの?2人に視線を向けても特に何も言わずこちらを見つめている。いい・・のか?まあ、二人がいいならいいのだが・・。
「貴殿に朱宝大連章を贈呈する。これからも我が国に尽くし、我が国の理となるものを齎してくれることを切に願う。」
厳かに取り出されたのは真っ赤に染った蓮の花を象った勲章。跪いて差し出した手にはっきりとその重厚感が伝わり、
「つ、謹んでお受け取り致します。」
緊張感で何も言えなくなりかけた口を無理にこじ開け、言葉を放つ。見据えた先にある翡翠の目と目が合い、慌てて逸らした。そして席に戻った瞬間に
「よし!堅苦しいのはなしで行こう!」
とルイズパイセンの第一声に緊張とかそういった感情が全部流され、全員が笑みを浮かべた。
「さて、もちろん今回の報酬は勲章だけでは無い。しっかりと【永遠之棺】にいた魔物の素材や牛鬼の素材。本来のボス魔物の素材までたんまりとある。」
「よって、それらを等しくとは言わんが、分配することにしたんじゃ。ここに素材を並べるからちぃとスペース空けとくれ。」
いやここって・・
「いやここ僕の執務室なんですけど!?」
「だからどうした。さっさと机を運べ。それとも後ろから刺されたいか?ん?」
「チッ・・すいませんすいません!!・・うぁっ!」
脇腹から抉るようにして肋骨の隙間に王の爪先がめり込んで蹴り飛ばした。
「よし。」
「いや何もよしじゃあないよねえ!!?」
「私が良しと言ったら良しになるんだよ。そんなことも分からないのかブラドよ。」
「それは随分と傲慢な事で!!」
二人が喧嘩してるせいで間に素材とか並べ終わっちゃったけどな。・・・つーかいつまで痴話喧嘩してんだこの人ら。別に仲が悪いって訳でもないくせに。もしかして周りを笑わすためにわざとやってる盛大な夫婦漫才?いや流石にそれはないだろうなぁ・・。
「並べ終わりましたよーブラドさん。夫婦漫才なんかしてないで早く来てくださいよー。」
「「そんなもんじゃない!!」」
「いやそういうのいいんでー。早く来てくださーい。」
さすがルースパイセンだぜ。もしあそこにいたのが俺やドレットパイセンなら絶対開始の合図が飛ぶ前に俺らの首が飛んでいくよ首が。
ドサドサと、作ったスペースにシュトロハイムさんの空間から魔物の素材が出現する。朱雀艷羽、白虎蒼牙、応竜焔鱗、麒麟角閃、純白狼毛、牛鬼蹄爪、四象宝玉、四霊玉石・・・などなど。四象と四霊から取れた素材やそれ以外の魔物。果ては牛鬼からのものまで、多種多様な素材が執務室を埋め尽くす。
「さぁ、お宝分配と行きますか!!・・・と、その前に。」
「ん?・・どうかしました?」
「客人が来ましたよぉ。」
カーネリアさんの声が開いた扉から部屋に響いたと同時に、囚人服を着たオスカーが室内に入ってくる。
「キト。無事でよかった。」
そっと一言そうつぶやき、踵を返して帰ろうとする。・・いや、待て待て。これ俺宛じゃなくて妹宛だよな?おい!キト!!変われ!!お前が行け!!意識を無理やり暗闇に落とした俺はキトと変わって暗闇の中へ。外の映像が映し出され、そこには
『オスカー・・!!そ、その・・助けてくれて・・ありがとう。』
『ん?いや、俺の方こそあのままでは死んでたからな。それはこっちのセリフだ。こちらこそ、助けてくれてありがとう。』
キトの鼓動が痛いほどにドクドクと鳴り響き、紅の目がオスカーを見つめて離さない。
『ま、また会える?』
それは問いかけにしては酷く曖昧で小さいものだった。けれど、少女にとってある種牛鬼と対峙した以上の勇気を振り絞ってした問いかけは
『ああ。会えるさ。』
これ以上ないほどの形で返された。
さて、報酬分配もしないとだが・・まあ、その辺はキトに任せて大丈夫だろ。俺はここらで、少し休むとしようか。
「なあ、ハンズ。そうだろ?」
「ああ。そうだな」
互いに笑いあって目を閉じ、意識すらも横たえて眠りに入る。次に起きた時は面倒事とかなんもないといいなぁ・・・。
「伝え、伝えなければ!!まずいまずいまずいまずい!!!」
【永遠之棺】近く・・東の公国との境界が目と鼻の先にあるその場から兵士は1番近くの森に入って走る走る。顔にかかる蜘蛛の巣も、落ちてくる鳥の糞すら意に介さず、ただひたすら王都を目指して走った。
⬛︎⬛︎伝来ーーー【繝ィ繝ォ繝?繝ウ繧ャ繝ウ繝】
今ここに異界の蛇龍が降臨する。世界を呑み、水を這うその蛇龍は正しく驚異となって兵士に襲いかかった。
後日、報告が上がる。【永遠之棺】近くの森が地形ごと消え去った・・と。残ったのはクレーターと数滴の血。そして・・・雑音と悲鳴に通信が途切れた。




