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これホントに暗殺者の仕事なの?  作者: 羽根ペン
1章 迷宮編
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60.牛鬼

「チィッ!」


向かってくる波のような斬撃を壁から体を引き離して躱し、回りながらシュトロハイムの目の前に降り立つ。振るわれる鋭い爪を避けつつ足の切断を試みる。が、


「硬った!!」


マフラーを振った瞬間手が痺れるような硬さが伝わり、プルプルと指が震える。致命的な隙ができ、そこを突かれるわけにもいかず、


「キトちゃん!そこ変わって!!」


バックステップで距離をとったと同時にルイズが突っ込んできた


魔眼魔法ーーー拘束之魔眼


固有魔眼スキルーーー解放之魔眼


固有魔眼スキル+魔眼魔法ーーー『禁獄解放』


魔眼スキルーーー【射手座之魔眼】


赤いオーラをその身にまとい、踏み込みと同時にシュトロハイムが仰け反る。下を見れば足を振り抜いた体制のまま右目に赤、左目に青を宿すルースの姿があった。


「まだまだァ!!!!」


重複した強化効果で音を置き去りにし、眼前の敵へと踏み込んでいく。敵への到達と同時に振るわれる拳が爪を砕き、前足を折った。即離脱し、振るわれる足を避けつつ再度踏み込む。


武器魔法ーーー【万剣招来】


宙に浮かぶ数多の漆黒の魔法陣から刃がミサイルのように一斉にシュトロハイムへと降り注ぐ。


空間魔法ーーー波刃:小波


爪の先に魔力が宿り、巨体が急旋回して降り注ぐ刃全てを空中で叩き落とし、迎撃する。と、青と紫の残光が廻廊を照らし、紫電を全身にまとったドレットが飛び上がる。と同時にルイズによって真上へとシュトロハイムは蹴り挙げられ、


紫電魔法ーーー紫雷脚閃


武器魔法ーーー刻死武装


漆黒のオーラがルースの体を覆い尽くし、帯電するドレットの蹴りと莫大なバフのかかったルースの蹴りがシュトロハイムの顔面に突き刺さった。


「BRMOOOOOOOOO!!!!」


仰け反り、悶えながら叫ぶシュトロハイムの声は、まるで何かを呼んでいるようで。


空間魔法ーーー荒波:波涛


荒波が迫る。その場で跳んで躱し、身動きの取れないところに鞭のようにしなる尾が一閃。各々がバラバラに弾き飛ばされ、廻廊の壁に激突する。


「グォアッ!!」


凄まじい勢いでの激突に苦悶の声がフォルニュートから上がる。一方で、激突した瞬間に足を曲げて勢いを殺し、壁に足をつけて射出されるように銀色が疾駆する。


布魔法ーーー伸縮自在、刃布、鋼布


血液魔法ーーー血流操作、出血


盛大に首から血が吹き出し、赤い線を尾を引くように宙へ描いて、刃状に固めた布をさらにその上から硬化させてより頑丈に、切りやすくする。駆け抜け、シュトロハイムの腹の下に潜り、足の腱を的確に高速で切っていく。ラストに下っ腹を思いっきり切りつけて、シュトロハイムの後方へ。攻撃を仕掛けてきた尾を掴んで背中側へと飛び上がる。


ちょうどフォルニュートが肉薄し、斧を振るのと私がマフラーを振り抜くのはほとんど同タイミングとなった。背中を大きく回転しながら切りつけ、時に伸ばし、時に縮めたりしてその背中に確かに斬線を刻み込んでいく。


ついで力任せに振るわれた破城槌がシュトロハイムの前爪を尽く破壊し、肉薄してアッパーカットの形で仰け反らせる。


「まだ行くぞ!!」


裂帛の気合いと共に破城槌がシュトロハイムの頭を潰さんと振り下ろされ・・・


「「「「「BRMOOOOOOOOO!!!!!!」」」」」


さらに五体の牛鬼が広間を席巻した。


その光景でフォルニュートは硬直。隙を突かれてその毒牙にかかり、腹部から大量の血を吹き出して倒れていく。


「フォル!!!」


「フォルニュートさん!!!」


魔眼スキルーーー【牡牛座之魔が・・・


魔眼を発動しようとその目に力を込めた瞬間、ブラドが見たのは体が蠢き、変形していくフォルニュートだった。シュトロハイムとそっくりそのまま同じように変形していき、異形となる。


「七・・・体?」


「フォルニュートとシュトロハイムは狙うな!!他の牛鬼は倒せ!!殺すにしろ殺さないにしろ無力化しろ!!!」


「了解・・!!」


魔眼スキルーーー【牡牛座之魔眼】


武器魔法ーーー【一矢一刃ブレード・レインス


紫電魔法ーーー【雷切:千鳥・紫】


魔眼スキルーーー【山羊座之魔眼】


光魔法ーーー【不可避之閃槍ブリューナク


剣技スキルーーー【千斬:吹雪桜】


五人の奥義が瞬く間に広間を席巻し、突然一体の牛鬼が両断されたかと思えば、密度が高く、雨のように降り注ぐ矢の1本1本が刃となって牛鬼を襲う。緑のオーラをその身にまとい、槍の形をした光の魔力をその目に映る弱点クリティカルに向けて放ち、貫く。同時に、雷電を切るような閃光が迸り、紫の残光を漂わせて牛鬼の首がかっ捌かれ、刹那の間を置いて吹雪のように舞い散る桜の花びらが牛鬼の周りを流れ、それら全てが刃となってその体躯を切り裂いていく。


ここに来てようやく冷静さを取り戻した少女は、未だシュトロハイム載せに乗ったまま自信の持つ魔眼を発動し、下を向いてシュトロハイムを見る。


「なに・・・これ?」


ザザ・・・とノイズが耳元で鳴り、目の前のシュトロハイムの情報が書き換えられていく。


「牛鬼・・・特性として、自分が牙を刺した者、または自分を倒した者を次の『牛鬼』として定める。その際に、牛鬼になったモノの能力を引き継具ことの出来る、異界最強の怪異・・・ッ!!!」


振り返るとそこには、オスカー以外の全員が倒れ伏す五体の牛鬼を前にして膝をつき、そのカラダを蠢かせていた。


「な・・・な・・・!!」


絶望が瞬く間に体を支配し、指の1本も動かせなくなる。剣聖を取り込んだ牛鬼と王を取り込んだ牛鬼が同時に魔力をその身に宿す。見れば、ほかの牛鬼も同じように技を構えてこちらを、オスカーではなくキトを、炯々と輝く瞳で見据えている。


「ど・・う・・たす・・おに・・・ッ!!!」


叫びは虚しく、ここにいない者への救いの言葉。届かないとわかっている者への言葉。であれば少女の願いを叶えるのはこの場にいるものただ1人。静観を決め込んでいた男が・・・今、動いた

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