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これホントに暗殺者の仕事なの?  作者: 羽根ペン
1章 迷宮編
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49.修行パート開幕!的な?

「はぁっ・・・はぁっ・・・!!」


荒い息を吐き、再度出現した影を切り捨てる。既に数百体にも昇る影の出現→討伐に俺は徐々にではあるが確実に疲弊していっていた。


「ま・・さか、無制限・・・か?」


そう思ってもしょうがないほどに何度も何度も何度も何度も影は鋭い爪と牙を用いて襲いかかってくる。


「これで・・・何体だ?」


深紅の剣を地面に突き立て、両手をその上に置いて休憩しながら周りを見渡す。


「1体1で来たり他対1で来たり、規則性とかも・・・ねえみてえだな。」


また出現した三体の影の首を跳ね、鳩尾に剣を突き立て、顔を潰して屠っていく。


「もう一挙手一投足が億劫だ・・・はぁ。」


肩で呼吸をしながら魂を見やり、なんとはなしに掴もうとして『すり抜けた』。


「はぁっ!?」


まるでその場に実態がないかのごとく、拳も蹴りも全てがすり抜けていく。


「これだったら・・・あいつら攻撃出来ねえだろ・・・。」


と、そう考えた直後。魂の真下から黒い手が伸び、掴む。


「はぁっ!??」


驚愕の声を上げたのと影が出現と同時に跳躍してどこかに走っていったのは同じタイミングだった。


「待て!!」


ワンテンポ遅れて疲れた体を酷使し走る。


「・・・そういや、なんで、こんな、夢ん中、だってのに、疲れてんだ、よぉ!!」


荒く呼吸を吐きながら悪態をつき、最後の息を吐いて跳躍。振りかぶった深紅の剣が背中側から影を袈裟斬りに落とし、灰に変える。と同時にもんどり打って地面を転がり、奥の方へと転がっていく魂を指先を絡めて掴み取った。


「っし!!取り戻し・・・た?」


何故今は掴めているのか?先程は掴めなかったはずだ。


「は?」


そんな不可解な現象を前にして疑問符を頭に浮かべた次の瞬間、手から魂がすり抜けて落ちていく。咄嗟に何も考えずに魂に手を伸ばした瞬間。


「掴め・・・た?」


本当に訳が分からない。どういう理屈で、どういう理由でこんなことになっているのか皆目見当もつかん。


「意識空間内だからある程度の思考が反映された空間になる・・・ってことか?」


つまりさっきのは掴めないと無意識に思っていたから掴めなかったってことか・・・?


もしもその仮説が正しいのであれば・・・もしもその考えが的をいているのであれば、


「『俺は疲れない』」


瞬間、一瞬にして体の疲れが全て吹き飛んで行った。次いで、体の底から湧き上がってくるのはエネルギー。どことなく怠いと感じていた体が瞬く間に回復する。


「マジかよ・・!!」


今の一言を信じているだけで自分は疲れはしない。それに行き着いた瞬間、もう俺の頭は止まらなかった。


「俺は傷を負わない。」


よっし!これで無双ゲーができる!!そう考えて向かってくる影の攻撃を体に受けた瞬間、痛覚が迸り血が吹き出した。


血液魔法ーーー血流操作


慌てて止血し、


「『俺は回復する』」


唱えた瞬間に元通り。外で操作していた血液が体の中に戻っていく様はなかなかホラーだったが見なかったことにする。


「傷を負わないはダメ。でも疲れないとか回復するは良し。・・・どんな規則性だ?」


「おっ!そのギミックに気づいたか。」


「ああ。てか今までお前どこ行ってたんだ?」


「ちょっと俺の本体の方にな。用事かなんかがあったみたいで呼び出されてよ。」


「なるほどな。で?このギミックなんなんだ?」


「それはなんて言えばいいか・・・。夢ってあるだろ?」


「ああ。」


「あの世界の中では自分が考えたことが現実になるっていう迷信があるのは知ってるよな?」


「ああ、聞いたことはある。・・実際にそうなのかは知らないが・・・。」


「キト曰くここはその考え方が反映されてるんだとよ。」


「だからなんでもありみたいになっていたのか。」


コレで合点がいったな。・・・夢とおなじ技術・・というか、考え方が反映された空間か。悪用は出来そうだが、


「ああ、因みに言っておくとキトはその力。最初からそれを発動した時以外に使ったことは無かったぜ。」


は?それただのバケモンって言わない?自分の妹に対して結構なこと言ってるがかなりエグいだろ。素の状態でほぼ底なしの体力があるか無駄な動きなんかしないで一瞬で狩ってるかの2択だぞ。やべえだろ。


「・・・こいつらこんな小さかったか?・・キトがやってたの見てたが、結構でかかった気いしたけどな。」


「・・・でかい?」


デカいってどゆこと?え?こいつら合体とかすんの?


「え?それどうゆ・・・」


ウジュリ・・・ジュァジュァジュァ・・・ズンッ!!


「は?」


何かが合わさっていく音と、溶け合っていく音が同時に暗闇に響き、次いでなにか巨大な者が地面をふみしめる音が聞こえた。


「ああ、そうそう。ちょうどこんくらいのやつ。」


「デカすぎんだろーがよおおお!!!」


確かに合成させたら一体一体倒す手間が省けてデカいの倒したら待つだけでいいかもしれんけどさそれはそれとしてこんなやつ倒すのめっちゃ体力いるし時間かかるし結局倒しても倒してもそっからくっついてって意味ないから一撃で倒すしかねえしさぁ!ちまちま倒すと体力無くなるしなんであの子こんなのと体力無限無しでやりあえたの!?おかしいだろ!?つかどうやって倒すんだよこんなのさあ!!一撃で落とすとか無理すぎてヤバいだろ!!意外ともろいとかさっき言ったけど限度があるだろ!ってまあた合体してるしもうわけわか・・・わあああああああああ!!!!!????


振りかぶられた右の巨腕をすんでのところでスライディングして避け、思考を回転させながら巨大な影を見据える。


「はぁ・・・。わけわかんねえ。」


溜息とともに剣をかまえ、顔面に向かって跳躍。眼前に迫る左の巨腕に剣を合わせて激突した。










「はぁ・・・わけわかんない。」


王城から城下町に向かって降りていく道で2人の後ろを歩きながら独り言を呟く。


「なんで【永遠之棺】なんかに行かなきゃなのよ・・・。」


思い出すのは先程の魔眼スキル持ち集合会議。通称魔眼会議そのまますぎで国王が放った一言である。


「【永遠之棺】を攻略したい。」


突然卓上に放り込まれた爆弾発言は空気を凍らせ、全員の口を開いたまま塞がらせないようにした。勿論、この私も例外なくほうけた顔をしていたことだろう。何せあの【永遠之棺】だ。凡そ100年以上前に当時の王国の剣聖と国王、筆頭魔術師に近衛魔術士第3位が挑んでほぼ全員が行方不明になったほどに危険な場所。そんな所を今の国王は攻略したいと目に炎を滾らせて言ってのけた。


「信じられない・・・しかも強制参加だし。」


そう、何がヤバいってあの女。あろうことか魔眼スキル持ちはもれなく全員参加だ!とか抜かしやがってホントにもう・・・何がしたいんだって話!!!


オマケに今のままだと全員生き残って攻略終了どころか全員殺されて攻略不能になり、王の跡付ぎもいないまま都市国家リオンが衰退して滅んでしまうとまで想像出来てしまう。し、実際に指摘された。故に


「これから1ヶ月間猶予をやる。その間に何をしてもいいが・・必ず今日よりも強くなって私の元に来い。そうでなければ迷宮で死ぬ前に私が直々にお前らのことを殺してやる。」


とまで言われてしまった。ホントに終わってる。


「だからってなんで・・・なんで1人で迷宮攻略なんかしないとなのよーー!!!」


しかもなんでブラドさんは戻ったら戻ったで直ぐに私に迷宮攻略なんかさせようとすんの?!しかもソロで!!おかしいでしょ!??


「おい!おめえら!ガキがいるぞ!こんなとこに一人で来てえ、もしかして迷子でちゅか?お嬢ちゃん?」


「つーか頭ぁ!この子供結構可愛くねえっすか?」


「おっ!確かにそうだなあ。攫って売るかぁ!!」


一人で来たからこんな変なやつらに絡まれるし・・・。もう最悪・・。なんにも返さなかったから怯えてると思ってるし・・・。


「邪魔だからどいてくれない?」


「おいおい、それは無理な相談なんだ・・・ゴフゥッ!!?」


振り抜いた蹴りが頭と呼ばれていた男の鳩尾に入る。


「何しやがるてめぇ!!」


「ホント・・バカばっか。」


緑の生い茂る森の中、野太い男達の悲鳴が響いた。

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