44.入れ替わってる!?的なやつ
あぁ、また迷惑かけちまったな・・・。そんなことを思うのは通算何度目かもう覚えていない。が、そこまで頼りきっているということは木村永戸にとってある種恥とでも言うべき感情を掻き立てる。
「戻ったら、俺も強くならねえとな・・。」
そんなことを胸に意識の浮上が促されて・・・。
「勝ったぞぉぉおおお!!!!」
暗殺者ギルドの仮ホームから雄叫びが上がる。都合何度目なのかは既に全員が忘れていた。
「取り敢えず、これで大きめの依頼は今年中だとほぼ終わりだから。みんな年末ゆっくりしてね。」
そんな言葉を残してブラドは早々に祝勝会から抜け出していった。未だに貧血で目覚めないキトと抜けたブラド、なんか知らないけどどっか行ってるルイズを抜かしたギルドメンバーはこうしてギルドハウス(仮)でささやかな勝利のお祝いをしているのだ。
「にしてもルイズのヤローどこ行きやがった?」
「また女でもひっかけてんじゃねえの?気をつけろよラミィちゃん。」
「いくらなんで・・」
窓を勢いよく開ける音がひびき、そこから目を煌めかせながらルイズが入ってくる。
「俺だっていくらなんでも犬に欲情とかしないんだけど?」
「おお、おかえり。いい女見つかったか?」
「いやいや俺だって任務に行ってることはあるわけで、それを疑わねえで欲しいんだが?」
「どこ行ってたんだよじゃあ。」
「デブリ・ルーカスとライリー・フォン・テレスタジアのところに行ってた。こっから徐々に尋問とかそういうのしてくつもりではある。」
「・・・」
「プッ。」
ドレットが我慢できずに吹き出す。
「ん?」
「い、いや、なんでも、ププッ、ない、ねえよ。」
「ああ、ならいいんだ。にしてもこれなんのパーティー?女性陣の誰かの誕生日パーティーとかだったら花束と指輪買ってきたいんだけど?」
「よく見ろよw」
笑いながらギルが上を指さす。
「なんか態度悪くね?」
呟いて上から垂れ下がってる幕を見て
「は??」
大きく『事件解決おめでとう!!!』と描かれているのが目に入る。
瞬間、何が起きているのか分からないルイズは情報を処理できずに放心した。
「・・・??!???!?」
「うわこいつ固まって虚無ってるよwww」
「え?みせてーww」
全員がその顔を見た瞬間、笑い声がギルドハウス(仮)が吹き飛ぶかと思うほど大きく響いた。
「う・・んん・・・。」
隣の部屋からの割れんばかりの笑い声がうるさく聞こえ、キトは目を覚ました。
「うるさい・・。」
暗闇に目が慣れず、思うように体が動かない。確か、貧血で倒れてそのまま意識を失っていたはずだが・・・。
「血は足りないけどちゃんと動くわ。」
手を握ったり開いたりして感触を確かめる。次いで屈伸などをしつつ、電気を・・・電気?
伸ばした指の先がボタンに触れてパチッという音と共に電気が着く。
「電気なんて精神世界にあったかな?」
まあいいやと思考を切り替え、隣の部屋へ。部屋があったかどうかすら覚えてないが、精神世界は基本なんでもありだ。きっと兄がそんな夢でも見てるんだろうと結論づけて扉を開く。と・・・
「お!今回の功労者の登場だああ!!」
赤髪の男がクラッカーを鳴らし、金髪の男?女?がクッキーを犬にやりながら食べている。それを見咎めて怒鳴り散らかす男と、その隣でなだめる黒髪の男性。そして・・え?あれは何?部屋の中央で幕を見ながら放心している男が1人。女性陣は男連中と1歩離れたところで飲んだり食べたりしている。そんな考えが瞬時に頭を巡り、あることに気づいた。
「キトくん!こっちで何か食べながら話さない?」
確か・・・アリスさん?だったかが話しかけてくる。
同時に自分の思考に迸った考えが現実味を帯びた。
「あ、はい!今行きます!!」
そう取り敢えず返事を返しながら歩き出す。
記憶喪失?いや違う。しっかりとオスカーを倒したことは覚えているし孤児院のことを協会のことも覚えている。ということは、これは恐らくだけど・・お兄ちゃんと私が入れ替わったまま戻ってない・・?私は精神世界内に居ないということ?・・・嫌に現実味のある夢だとは思っていたけど、まさか本当に現実だとは思わなかったな・・・。
そう、眠りから覚めたキトは訳の分からないままに思考をまとめた。
前回の魔眼の補足
キトの持ってる魔眼は現状1つであり、天性の魔眼が強すぎてスキルの魔眼に昇華してしまっている。
スキルの魔眼を持っているものは世界で12人しかいない。故に希少であり、強い。因みに暗殺者ギルドにはキトの他に2人魔眼持ちがいる。




