39.氷河VS剣
踏み込みの音と共に破城の杭が高速で射出される。
「貫けぇぇぇぇ!!」
「させません!!」
氷魔法ーーー絶氷断壁
雪原と化した月下に青く輝く氷の壁が顕現する。射出された杭は氷壁に激突し、氷片をばらまいた後に貫ききれずに先端が壊れた。
壊れた破城杭を見て、ルースは不敵に笑う。
直後、漆黒のオーラがその勢いを増し、黒い炎のようにルースの体表を踊る。
「行くよ。」
短い掛け声が静寂に響く。
「・・・っ!!」
瞬時に首に迫る音のない刃をギリギリで弾き、片手に握る氷の直剣を舞うようにして振り下ろす。
氷魔法ーーー氷装作成
「そっから反撃は予想してなかったかなー!!」
握られた剣の上を滑るようにして氷剣が流され、転じた剣が首に触れる。
咄嗟の判断でしゃがみこんで刃を避け、剣の腹を蹴りあげて手から取り落とさせる。
「離さない・・よっ!!」
「チィッ!」
氷魔法ーーー氷弾
手のひらに展開した魔法陣から氷の魔弾をルースの顔目掛けて発射。したと同時に足元に氷の短剣を突き刺す。
「わーお、これはどうしようか。」
飛び上がり、足元の刃を避けると同時に氷弾を足に展開した脚装で弾く。
「かかりましたね。」
スキルーーー『魔力徴収』
ガクッと一瞬でルースの体が空中で傾く。
「おっ・・・!?」
「これで終わりです。」
氷魔法ーーー【氷河時代之顕現】
眼前に見えるは三者の頭上全てを覆う白銀の魔法陣。顕現するは氷の時代。太古より封印された氷河の一端が今、この場に到来する。
「これは・・・出し惜しみしてる場合じゃないかもねー。」
あくまでもその緩んだ誤記を崩さずに、ルースは狂笑を浮かべて独り言ちる。そして・・・
武器魔法ーーー【斬界之断剣】
世界を分かつ、巨大な剣が魔力を喰らって顕現する。
相対するは白銀と漆黒の巨大魔法陣。
顕現するは氷河の時代と断界の剣。
純白の世界が草原を覆い、落下する氷河が射線上の全てを押しつぶさんと迫り来る。急激に温度が下がり、凍てつく冷気がその身を犯す。
そんな世界に
漆黒の剣が降臨する。先程までの巨大な様相とは打って変わり、傍目から見ればただの一振の剣。その見た目の黒さを除けばただの剣と呼ばれても仕方がない。
「しかしてその剣はただの剣にあらず。」
古来より伝承に存在するどの剣とも違う物。
「世界を切り裂く我が剣よこの世界を断ち切り分かて!!」
直上から直下まで真っ直ぐ、唯振り下ろす。
それだけの行為で氷河時代が終わる。未だに氷を吐き続ける頭上の魔法陣すらも切り裂いて、顕現した氷河が消えた。
「どうだい?・・・これで、僕の勝ちかな?」
魔力を取られ、極大の魔法を行使した反動で魔力不足になりつつルースは呟くようにそう言葉を吐く。
「えぇ・・・負けました。」
世界を歪め、事象を顕現したからか、ミーヤの返答には覇気がなく、困憊した様子で囁くように、しかし確かに聞こえるようにそう返す。
世界の顕現は文字通り切り裂かれ、為す術のない純白は負けを認めた。漆黒と純白の戦いは、今ここに純白の降参を持って終了した。
負けを認めた直後、限界を迎えて気絶し、崩れ落ちたミーヤを横から抱きとめてルースは呟く。
「危な・・・かった。」
朦朧とする意識の中で心無しか、抱かれたミーヤの口は笑みを浮かべているように見えた。
ルースVSミーヤ、ここに決着!!




