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これホントに暗殺者の仕事なの?  作者: 羽根ペン
1章 迷宮編
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2.たいしたことねえなぁ!

えー、俺こと木村永戸ことキト(十歳)はあれから色々ありまして、現在絶賛子守り中でございます。


いや、誰も思わねえだろミルク飲んで寝た後に起きたら豪雨の中教会の前で籠の中にいたなんて。


でまあ、あれから10年。俺ももう10歳になったわけだが。この世界、10歳になったら三年制の学校に行かないといけないんだ。そこからまた3年間学校に行って、最後に任意で4年間まだ学校に行くと、まあそういう流れな訳だが。


正直行きたくねえよなあ・・・。


おっと、説明を忘れていた。この世界の文明レベルは中世みたいな騎士とかがいる訳じゃなくて、普通にちょっと古いけど車走ってるし、銃もある。まあ明治~大正時代ぐらいのヨーロッパみたいな感じだな。


でまあ、さっきの話に戻る訳だが、正直学校なんか行きたくもない。明治とかそんぐらいの文明レベルってことは中世みたいな四則演算が重宝されまくるようなもんでもないわけで・・つまりめちゃめちゃムズいことも習うわけで・・・。それにわぶっちゃけて言うと、下手に魔法とかが発達しちまったせいでな、あるんだよ。


携帯電話的なのが。しかも一般家庭に普及してるレベルで。だって俺でさえ持ってるんだぜ?ちょっと古い方の中古だけど。これの正式名称はなんかめちゃくちゃ長かったから覚えてないけど、略称としてパッドとかデバイスとか呼ばれてる。ちなみに俺はパッド派。そっちの方が前の世界と名前が同じでいいからな。


んでもって・・・


「キト『お姉ちゃん』急にだんまりしちゃってどうしたの?」


「ああ、ごめんよ。ちょっと考え事をね。」


そう、言い忘れてたが、俺今女なんだよね。そう、生物学的にメスと呼ばれる個体。2歳の時に初めて自分で視界がハッキリした状態で風呂に入って、びっくりして気絶したのをよく覚えてるわ。アレはほんとにね。ふと下を見て見たら『無い』んだからなあ・・ショックだったわあ。


「そういえばお姉ちゃんなんでそのマフラーずっとつけてるの?」


「ん?これ?俺のお父さんがつけてた物でね。これだけが唯一親の手がかりなんだよ。」


そう、あの時に見た赤いマフラーが何故か俺と一緒に籠に入ってたんだ。まあ、俺が寒くて死んじまったりしないようにするための配慮だろう。いやあ、感謝感謝。


「ん?アレは・・・。」


ふと森の方を見てみると、大人より少し小さいぐらいの影が身を隠しきれてない状態で隠れていた。こちらに気づいている様子は無い。


「どうしたの?また考え事?」


「ああ、そうだよ。・・・今日の散歩はこの辺で終わりにしようか。」


「「「「うん、わかった!」」」」


「よしよし。聞き分けのいい子達で助かるよ。」


そう言って、俺たちは来た道を戻って教会に向けて歩き出した。


(後であの影のところ行ってみよう。)


内心でそう考えつつ、みんなが駆け出した方向に向かって俺も歩き出した。にしても、早いもんだな、この世界に来てもう10年か。さてさて、これから何が待ってる事やら。


「何やってのお姉ちゃん!早く早く!!」


「おう。今行くよ。」










「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ。」


「お、お姉ちゃん。早いよぉ〜!」


「また・・追いつけ・・なかった・・・。」


「くっそーやっぱ早いよぉ!!」


「俺に勝とうなんざ10年早いぜ!!」


小学生どころか幼稚園児レベルの子供たちに向かってマウントをとる中身27歳の男ってどうなんだよ。・・まあいいか。


さて、教会に着いた訳だが。これからどうするか。ここには間違いなくあのババ・・おっと失礼。シスターがいるからなあ。


「こら、じっとしてないと魔法がうまく効かないわよ。」


うわ、出やがった。さっき転んだ子供に向けて回復魔法を使っているのはババアことシスターの【ラミア】さんだ。そろそろ三十路らしい。まだ30前なことに驚きが隠せない俺としては厄介な相手だ。


「あら、キト。帰ってたの?」


「帰ってたの?も何もそいつら連れて散歩してきたの俺なんだけど?」


「ああそう。ありがとうね。」


ほらな?くそババアだろ?ありがとうのひとつでさえ嫌味たっぷりにしか言えないんだよ。こいつは。


「シスターラミア。台所の包丁借りてもいい?」


「何をするのか言ってご覧なさい?」


「料理。」


「あら、やっと女の子らしいことやるのね。」


「その言い方はないでしょうよ。」


まるで今まで俺が女らしいことしてこなかったみたいなこと言わんでくれます?まあ、した覚えないけど。


「本当に『料理』のためならいいわよ。」


「よっしゃ、サンキューラミアさん!」


「いつまでたっても口調は直らないわね。」


背後から聞こえる小言を無視しつつ協会の奥の居住エリアにある台所を目指す。


よし、着いた。それじゃあ包丁を持って・・・


2時間後


・・・ハッ!?おれはいったいなにを!?

まさか、2時間ずっと夕飯をつくりつづけていたのか!??


「くっそ、まんまとあのババアにはめられちまった・・・。」


「あら、やれば出来るじゃないの。これから毎日頼もうかしら。」


クッソ上からなのがめちゃめちゃムカつく。そう考えつつ、包丁を布でくるんで手に持ち、教会を出た瞬間一気森へとに駆けだす。


さっきのやつがいたとこにはもう誰もいなかった。


「流石にいないか。」


呟いて踵を返し、後ろを向いた直後!


MOBUOOOOOOOOO!!


草むらからイノシシの魔物が出現した。


ここで、この世界でのモンスター達について話そうと思う。さっきも話に出てきたが、まずこの世界には中途半端ではあるのだが電気に変わって魔法が発達している。そして当然、魔法を使うにはそれの元となるものが必要だ。


そう、それが魔素粒子。縮めて魔素と呼ばれるものだ。魔物とかモンスターって呼ばれる奴らは一般的にこれを摂取しすぎてしまうとなるものだ。動物だったら魔物。人やそれに近いものであればモンスターというふうに。


んでもってここ数ヶ月、この村の近辺には何故か分からないが突如として猪や狼の魔物が現れるようになった。しかも群れじゃなくて1匹のみで。普通は群れているはずなんだよなぁ。


よし、モンスターの話はこれで終わり。元の話に戻ろう。


突然茂みから出現したイノシシの魔物に対して、俺は臆することなくその突進をジャンプして回避。空中で身をひねる間に包丁を抜刀して落下の勢いを利用しながらイノシシの首を切って落とす。小型の個体で助かった。前に来た奴はちょっとでかかったから倒すのに時間かかっちまったからな。


まあそれでもたった10歳の女子に殺されるなんてこの世界の魔物はたいしたことねえなぁ!ホントによぉ!!


ガサッ!


「!!?」


まだ・・・いやがるのか?この茂みだよな・・?


茂みに近寄り、中を確認すると・・・『何もいなかった』。


「なんだよ、びっくりし・・たっ!!?」


後ろに強烈な殺気・・・なんだコイツなんなんだよこいつ!!


ゆっくりと後ろを振り返ると、そこには・・・


馬鹿みたいにデカい白毛の猪の魔物がこちらを睨みつけながら立っていた。



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