20.未発見
えー・・・という訳でね、現在都市国家『リオン』が所有するっつーかつい1週間前ぐらいに村の人が発見したらしい新しいダンジョンにやって来ています。名前とかは特にないっぽいんだけど、一応国からの呼称とかも決まってないらしい。というのも、
「ダンジョンっつーのはクリアした奴が名前付けていいことになってんだ。そうすることによって新しいダンジョンと古いダンジョンの見分けが着くからな。」
だそうで。ちなみにもう1人のパイセンは電話でブラドさんと話してた。なんでも、緊急要請のやり方とかを確認してるらしい。俺もやり方さっき学んだばっかだけどね。
「つーことで、用意もできたしそろそろ入るとするかぁ!!」
用意っつってもそんなに大それたものは持ってきてない。投げナイフ三本と包丁サイズの短剣が2本、携帯食料2日分と水三日分をそれぞれが持つ感じだ。あとはそこに持ってきた武器とかがつく。俺だったらギルドの倉庫からかっぱらってきた鉈と銃。ドレットパイセンとかルースパイセンは知らん。手ぶらっぽいから素手で戦うんかな?
ゴゴゴゴゴゴという、石と石が擦れ合う音とともに石造りの大扉が開いていき、人が3人通れるぐらいの大きさの隙間が空いた。
「こっから入る感じっすか?」
「ああ。ブラドさんから話は聞いてると思うが気をつけろよ。中には罠もあるし、未発見のモンスターとか魔物もいるかもしれねえ。十分に気ぃ引き締めてくぞ!」
「「了解!」」
いつの間にかドレットパイセンが仕切ってるが、まあそんなこと指摘する事でもないし、何より今は周りに気を配りたい。故に反応は返事だけに留め、辺りを見回しつつ罠を探る。
「ドレットー罠はっけーん。」
「OK。この術式は・・・矢か。」
「罠を術式だけ見て探れんの今んとこうちのギルドじゃドレットとカーネリアさんぐらいだねー。一応発動しとく?」
「いや、新入りに危険があってもまずいだろうし、発動しないでおく。」
「ああ、俺の事気にしなくても大丈夫っすよ?自前で何とか避けたりするんで。」
「じゃあルース、迎撃頼んだ。俺は発動した瞬間離れる。」
「OK。いつでもいいよ」
「よし、それじゃあ発動!」
ルースパイセンの応諾の後にドレットパイセンが魔法陣に触れて一瞬でその場を離脱。瞬時に矢が飛来し、前にいたルースパイセンを『素通り』して一直線にドレットパイセンが狙われる。
「なるほど、触れた者の魔力を記憶してそれを元に追尾する魔力の矢か。初見で防ぐのは、俺以外だったら無理くせえな。ルース!武器!!」
「あいよー」
武器魔法ーーー武装召喚
ドレットパイセンの指示出しが始まる前から魔法陣がルースパイセンの右手に展開されており、そこから長剣が1本出てくる。
「サンキュー!」
紫電魔法ーーー紫電雷閃
瞬く間にドレットパイセンに長剣が飛んでいき、1本目の矢をドレットパイセンが回避したと同時に長剣がドレットパイセンの手に吸い込まれるようにして収まる。直後、一瞬だけ紫電が瞬いたと同時に、通り過ぎてった後にブーメランみたいに追尾して来た矢と、まだまだ飛来して来る矢が10本分一気に斬られた。
「スゲー!」
「カッチョいいでしょー。僕とドレットはよくタッグ組まされるからね。ああいうのやるの結構慣れてるんだよ。」
「道理で洗練された動きだったわけっすね。」
「この罠あんま早くねえし、追尾性能もそこまでって感じだから初見以降は普通に対処出来そうだな。先に進もう。」
そう言いながら戻ってきたドレットパイセンがルースパイセンに長剣を渡して、先に進むよう提案する。快諾した俺たちはそのままダンジョンの奥へ奥へと進んでいく。
ー1方その頃
「え!?あのダンジョンに未発見の魔物若しくはモンスターがいる!?!」
ブラドの焦る声が響き、呼応するようにしてアリスが返答する。
「マズイですよブラドさん。あの三人にはこのことを伝えてないし、ダンジョン内でしょうから通信もできません!どうしますか?」
「・・・。」
「ギルとベル、ただ今起床しましたー。今日はなんの任務しましょかね?」
唐突に部屋に入ってきたギルベルトが二人の会話の間に入る。
「ああ、ちょうどいいところに来てくれたねギル。」
「・・・ちょうどいいところ?」
「今3人が行ってる新発見のダンジョンにどの『レート』にも情報がない魔力反応を観測したんだ。だから、ベルと一緒に現場に急行して欲しい。」
「・・・・了解しました。おいベル!飯食ったら行くぞ!」
気だるげな顔をして逡巡し、ギルベルトは承諾する。
「了解です!!」
「2人の元の依頼主には話を通しておくよ。安心して行ってきてくれ。」
ギルとベルが出発することを決めた頃、ダンジョンでは
「・・・パイセン方、アレなんすか?」
今まさに未発見の魔物と三人が相対していた。正確には、影から三人が魔物を見てるだけなのだが・・・。
「いや、俺も知らん。未発見のモンスター、もしくは魔物じゃね?」
「ドレットと同じ意見だねぇ。記憶にある限りどこのレートにも載ってないし。新発見のモンスターっぽいネ。」
「レート・・・?」
急に新単語出てきたんですけど?
「この国に対する危険度指数が数値化されたもんだ。たとえば、一般的な乳幼児がおよそレート2、一般の少年~青年男性がレート15、女性がレート14、冒険者がレード20、ゴブリンがレート12とかだな。」
「ちなみに、今まで観測?で合ってます?」
「あってるよー」
「あざす。で、今まで観測された中で1番数値が高いのはどんぐらいですか?」
「レートっつーのは世界共通単位じゃねえからわかんねえが、現代の剣聖がレート1200ぐらいだったか?」
「次点でうちのギルド長のブラドさんだねー。彼のレートは確か1100とかだった気がするよ。」
「3番目まで行くと割と多いからな。カーネリアさんとか、ギルベルトとか、あと俺ら2人も3番目だ。」
「ほえーなるほどぉ。じゃあ、今俺たちの真上にいるこいつってどんぐらいなんすかねぇ?」
「・・・1000とかかな?」
「隠密性も加味して1020とかじゃない?」
「俺ら3人で勝てる相手っすかねえ?」
「うーん・・・後衛職が2人欲しいよね。」
「同意見だ。」
「つまるところ?」
足音が響く。ガパァと開けられた竜の顔に牛の体、狼の爪が生えた魔物が咆哮する。
「GRRRRRRRRRRAAAAAAAAAAAA!!!!!!」
「まあ、3人だとちょっと無理かなー。」
「同意する。」
「なら、どうします?」
「「勿論、徹底抗戦だ!!」」
そう来なくっちゃあ!!!!




