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これホントに暗殺者の仕事なの?  作者: 羽根ペン
1章 迷宮編
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14.旅立ちと手紙

意識の最奥にて、男はある概念的存在と相対することとなった。


『あら?外からのお客さんなんて、珍しいじゃない。』


『き、君は・・・。』


『その魔力反応からしてあなた、さっきの人ね。』


『い、いかにも。先程キト君に手を貸したのは僕だが・・・』


『ふーん。随分と魔力の扱い方が上手いのね。あの距離からお兄ちゃんまで魔力を伝えて精神に干渉してあまつさえ魔力を操作するなんて並大抵の人間じゃあ出来ないわよ?』


『いやいやいや。あなたこそ、先程キト君の内部から彼を支えていたじゃないですか。精神内から外への干渉なんかそれこそ絶対的存在にしか許されない事象でしょうに。』


『別に私は神でもなんでもないわよ?ただ偶然生まれた不完全な意識生命体ってだけ。そこ以外に何もイレギュラーは無いわ。』


じゃあなぜそこまでの威圧感と殺気をこんなところではなち続けることが出来るのか?と質問するのをブラドは躊躇った。聞いた瞬間に殺されるかもしれないからだ。キトの精神を実質的に握っているのはこの目の前にいる絶対的存在であり、彼女がその気になればブラドの精神は一瞬で廃人にされてもおかしくはないだろう。


『(なぜこれほどまでの存在がこんなところに・・・!!)』


『で?私・・・キトになにか用があるの?』


『はい、実は彼を・・・。』








ー数十分後



さて、あれから数十分経過した訳だがブラドさん・・・だったか?が一向に戻ってこない。おかしいなあ。別にそんな変なこともないと思うだが・・・あ。キトのこと完全に忘れてた・・・。そりゃあこうなるわ。他者の精神内に入ったら別の精神生命体がすでに住み着いてるんだからな。


「・・・・ブハァっ!!」


「あ、帰ってきた。」


まるでとても深い水のそこにいたような、そこはかとなく長く息を止めていたかのように大きく息を吸って吐いてを数秒ほど繰り返したブラドさんは俺の方を見て一言。


「採用だ。」


そう呟いて紙切れを渡し、「なんであんなのが・・・。」とかブツブツ言いながら帰って行った。


まあ、十中八九キトのことだろうが。仕方ないことと割り切ってもらおう。うん。


「で?この紙はなんだ?」


ああ、地図か。えーっと?ギルドのある場所は首都『アーク』・・・え?首都?この国の?


「道わからんて・・・。」


こっちに来てから勉強してなかった弊害が今表れた。


あの後神父さんとラミアさんに相談したところ、無事にOKを貰えた。人命に関わることは極力手を出すなと念を押されつつ準備するように言われて部屋を退出。朝イチの馬車に乗っていかないといけないため、今日は早く寝ろよとの事らしい。


「やっぱ神父さんに聞いて正解だったな。道もわかったし、これで安全に行けるはずだ。」


なかなか寝付けなかったが、ついに就寝。意識が暗闇に落ち、その日はしっかりと寝ることが出来た。




ー翌朝



「お姉ちゃん、行っちゃうの?」


「やだよぉ!まだここにいてよお!!」


「行かないで・・・」


など、めちゃくちゃ子供たちにせっつかれて教会の前からうごけなくなってしまった。


「大丈夫だって。危険なことするわけじゃないし、極力帰ってくるようにはするからさ。」


そう声をかけてゆっくりと子供の手を振り解き、村の広場へと急ぐ。ヤベエやべえ。馬車来るまでにあと8分しかねえよ。


「急げ急げ。」


きっかり3分後に村に着き、村の人達に挨拶しつつ馬車乗り場に向かう。と、乗り場の前で神父様とラミアさんが待ってくれていた。


「見送りに来てくれたんですか?」


「ええ。キト、あなたの旅路に幸せが多いことを私達教会の人間みんなが願っているわ。」


「キト、昨日の夜も言ったが・・」


「はいはい、危険なことと人名に関わることは極力避けろ。でしょ?分かってるって。」


「ならいいんだが・・・」


「では2人とも。」


もう既に馬車が目の前まで来てる。早く乗らないとだから残念だが挨拶は手短にせざるを得ないな。まあしょうがないか。


「ここまで俺を育ててくれてありがとう。これからも元気でね。また逢う日まで・・!!!」


そう勢いよく叫びながら、俺は馬車に乗った。どうやら始発でこの馬車に乗っているのは俺だけらしく、4人乗りの席にどっかりと荷物を置いて座り込む。


荷物を置いた拍子に何か紙のような物が袋から地面に落ちる。寸前でキャッチし、運動神経の良いところを見せつつ眼前に紙を持ってくる。


「・・・これ、手紙か?」


封蝋がしてあって、中に紙の感触がある・・・間違いなく手紙だな。


「これ俺宛か?ラミアさんたちに当てて書かれたものではなく?」


なんかちょっと怖いな。


「ん?この文字は・・・。」


『キトヘ。・・・両親より。』


おおっとぉ?これもしかしなくても俺宛確定じゃねえか。っつーかこの場合キト宛になるのかな?


「ま、どっちでもいいだろ。」


にしても両親からか。


「随分とまあ今更って感じだなあ・・・。」


呟きつつ封蝋を取り、手紙のつつみを開く。中には花柄の縁どりと、表面に多量の文字の書かれているまあ要するに手紙が入っていた。


「えーっと?内容は・・・。」






キトヘ。これを読んでる時、お前はいくつになっているだろうな?10歳?15歳?それとも5歳?何歳であれ、お前が幸せなら俺たちにとってこんなにいいことは無い。もしかしたら結婚してるかもな。お互いに直接逢いに行ったりもできないような関係だし、不安がったりして当然だと思う。ここの教会の神父は気の良い奴でな、俺の昔の友人なんだ。お前の面倒をきっとみてくれているだろう。お前のことを捨ててどこかに行ってしまうような不甲斐ない両親で本当に済まない。まだ若いお前にこんな仕打ちをして申し訳なく思っているし、お前が俺を復讐に殺そうなんてのをしてきてもおれはそれを否定しないし、むしろ喜んで受け入れる。もう一度言おう。本当に不甲斐ない親で申し訳ない。どうか俺達みたいなのにはならないでくれ。こんなクズにはなるな。キト。ちょっと湿っぽくなっちまったな。じゃあキト、また逢う日まで。いつか笑いながらお前と会えることを願っているよ。



追伸:言い忘れてたが、お前の種族は人間じゃなくてダークエルフと吸血鬼のハーフだ。じゃあ、また逢う日まで。






ふむふむ、なるほど。吸血鬼とダークエルフ。なるほどなるほど。だから夜とかあんなに調子よくなるんだな。うんうん。分かるよ。この人間離れした膂力や運動神経も吸血鬼由来の物だと考えれば納得ができる。なるほど、なるほど・・・・・。


「最後の最後についでみたいな感じで重要情報はいてくんじゃねええええええええ!!!!!!」


旅立ちを決意したキト。魂の叫びであった。

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