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これホントに暗殺者の仕事なの?  作者: 羽根ペン
1章 迷宮編
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13.勧誘

色々あって1週間ほど投稿を休んでました。すいません

「ん・・うーん・・・」


眠りについた意識を強制的に覚まさせて、二度寝しようという脳にこびりついた思考を目を開くことによって取り払う。


「えーっと・・・どこだここ?」


周りを見渡せばヤケに変なデザインのカーテンと真っ赤なカーペット。他にはタンスなどが置いてある。まあ所謂個室的なところだ。


「ああ、思い出した。ここ・・暗殺ギルドだ・・・。」


直後、建物が爆発し同時に瓦礫がパラパラと外に落ちていく音が聞こえた。慌ててカーテンを開けると、外には朝焼けの太陽に照らされた都市国家『リオン』の首都『アーク』が広がっていた。


「なんで、こうなったんだっけ?」


窓の外を落ちていく大量の瓦礫を見ながら虚無感に浸りつつ、俺は回想した。


・・・時間はあの巨大牛を殺したあたりまで遡る。


「ト・・!キト!!!」


「はいぃ!!!」


ラミアさんの呼び掛けで目を覚ました俺は教会の硬い椅子から身を起こして辺りを見渡す。どうやらみんな無事のようだ。


「もう、心配したんだから!!」


激怒して俺のことをポカスカ叩いてくるラミアさんに適当に返事をしつつ、俺はさっき戦っていた時に聞こえた2つの声の内、男の方の声がなんだったのか、誰だったのかと自問を繰り返していた。


キトの方はさっきから聞こうとしても意識内に入れないし・・・本格的にアイツが誰だったのか分からねえ。オマケにあの魔法だ。


血液制御クリムゾン・コントロール・・・」


まず間違いなく血流操作の上位互換魔法だよな・・。思考しつつ自然な動作で指先を包丁で切る。深紅の液体が流れ、それを操ろうと魔力を込めようとしたその時


ーーーキィィィィィィィン!!!!!


「ガッ!!?」


激しい頭痛が俺の体に襲いかかり、視界が歪むほどの苦痛と吐き気が体を支配した。


「あぁ、魔力酔いね・・・。」


ラミアさんがなんか言ってるが、何も聞こえない。それほどまでにヤバい痛みが続く。歪んだ視界の中でラミアさんが俺の頭を両手で掴もうとしてるのが見えた。


「う・・・」


ヤベエ吐きそう・・・。我慢だ・・・我慢・・。


「はぁい、全部出しちゃおうねぇ・・。」


頭を掴まれた状態で背中をさすられた直後、虹色の液体が俺の口腔内から一気に射出された。


「おげぇぇぇぇええええ」






数分後、全部出し切った俺はスッキリとした面持ちでラミアさんと対峙する。


「さっきのあれ・・・なんなんですか?」


マジできつかったんだけど・・・ほんとにあれなんだ?


「突発的に大量の魔力を消費した後にもう一度魔法を使おうとするとなるものよ。症状が車酔いとかと似てるってとこから魔力酔いって言われてるわ。」


なるほど、さっきの戦いで突発的に大量の魔力を消費した・・・絶対『血液制御クリムゾン・コントロール』やんけ・・・。


「魔力酔いを治すのにいちばん簡単な方法は、なるべく多くの胃の内容物を吐かせて体に回った魔力を外に出すこと。これぐらいしかないわ。」


あの苦痛をずっと味わってるよりはマシ・・・なのか?まあいいや。


「そういやラミアさん・・さっき・・・。」


バタン!!


話題を切り出そうとしたその時、協会の扉が勢いよく開かれ、外から黒いマントを身につけて漆黒のタキシードに身を包んだ30代前半ぐらいの見た目の男が入ってきた。


「やぁやぁやぁ・・・僕の名は・・。アーー、お取り込み中だったかな?」


「「違うわ!!」」


確かに絵面的に俺がラミアさんに膝枕されてるみたいになってるけども、俺は気分が悪くて寝てるだけなんだよ。決してラミアさんの太腿きもちぃーとか考えて無いですよ。ええ。考えてないですとも。・・・ラミアさんの太もも最高。


ま、それは置いといて。俺は膝枕から身を起こし、男に歩み寄る。


「あんたさっき俺にバフかけてくれたよな?」


「ああ、いかにもそれは僕のことだが・・。」


急にそんなことを聞かれるとは思ってなかったのか、男はどもり、目を泳がせる。


「だとしたら、ありがとう。あんたのおかげで俺はあの牛に勝つことが出来た。本当に精一杯感謝の気持ちを伝えるよ。というか、伝えさせてくれ。」


それを聞いたラミアさんもおもむろに立ち上がり、同じく男にお礼の言葉を贈った。


「で?あんたなんの用なんだ?」


一通り自己紹介が終わり、相手の名前がブラドだとわかったところで目的を聞く。


「ああ、やっとそっちから話を振ってくれたね。ありがとう。実は僕が今日ここに来てる理由は、キト・・・ちゃん。君をスカウトするためなんだよ。」


なんかめっちゃ逡巡してたな。これもしかして俺の中身ばれてる?


「スカウト?なんの?」


考えつつも口は停めない。


「暗殺ギルドの・・・さ。」


えぇ・・・名前からして物騒じゃん,やだよそんなギルド・・・。


「まあ、暗殺とは名ばかりのただの何でも屋なんだけどね。そんで、君をスカウトしたのさ。何せ人手が足りなくてねぇ。」


ここまでラミアさんが黙っているのを見ると真剣に考えてるか怒りで声も出ないかのどっちかなんだろうな。


ぼんやりと思案にふけりつつ目の前の男を注視していると急にやつの声色が変わった。


「僕達は暗殺とは名ばかりの何でも屋。でもね?何でも屋ってとこは情報の一つや二つ、あるいは3つ4つ溜まる場所でねえ。もしかしたら、君の求めるものが見つかるかもしれないよ?」


・・・は?今こいつなんて言った?俺の欲しいもんが手に入るって?じゃあ、もう、やるしかねえだろうがよ・・!!


「具体的にそこに入るには何をすればいい?勉強か?戦闘か?」


「違う違う。君はただ僕に体の情報を渡すだけでいい。それを解析させてもらえれば万事OKだから。」


「了解した。」


「ちょ、ちょっとキト!!」


「ごめん、ラミアさん。俺はあんたに止められてでもこの人について行かなければならない。それだけの理由をこいつは俺に提示した。」


「で、でも・・。」


「大丈夫ですよ。取って食ったりはしないので・・・ね。」


「ほんじゃま、始めてください。」







男は目の前に立つ少女の頭に手を当て、自分の魔力をそこに流し込む。


干渉魔法ーーー精神侵食スピリチュアル・ドミネイト


刹那の間を置いて男の視界が暗転し、意識の奔流にその身が飲まれた。


暗闇の中で男が見たのは・・・

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