110.戦闘試験 其の四
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「随分とその・・若く見えるが?」
「ああ、国から許可もらってるんで大丈夫ですよ。」
笑いかけながら重國をアイテムボックスから取りだし、逆手に持って構える。足は肩幅より若干広く、右足を引いて重國を持つ方の腕を垂らす。最後に持ってない方の手を前に出し・・・
「始め!」
号令とともに左手で空気をかき分けるようにして前へ。踏み込みと同時に重國を振りかぶり、到達したと同時に振り下ろす。ほんのコンマ1秒に満たない瞬間で刀と鉈が交差し、火花を散らしてぶつかり合う。
「シッ!」
1合、2合、3合・・・段々と加速しながら激突を繰り返し、徐々に互いの身体が目で捉えられなくなる。サイモンあたりだともう既に俺達の動きは見えてないだろう。
攻守が激しく入れ替わり、斬り裂いたと思ったら横薙ぎが目の前に。流した瞬間にはもう振り上げて。金属音が鳴り響き、高速のぶつかり合いによって刃が赤熱する。
「「(スピードは同じ!!)」」
互いに思うことが重なった瞬間に、示し合わせたかのようにバックステップで距離をとる。何も言わずに視線を交差させ、呼吸のタイミングもほぼ同じ。
「「スゥッ!」」
刃技スキルーーー『蓮血紅牙』
武神一刀術ーーー『一夜霹靂』
紅を刀に纏わせ、踏み込む。と同時にアルバートさんが稲妻のような速度でこちらに突っ込み、抜刀しようと刀を抜いた。瞬間、刃の閃きと同時に鉈を構え、赤いオーラに刃先が触れた瞬間に体が回転。瞬時に順手に持ち直した鉈をアルバートさんの右肩から左脇まで袈裟懸け一閃。とった!と思った次の瞬間・・!
「ここ。」
は?俺の回転に合わせて刀を振りおろし、脳天に刃が触れる直前で止める。
「ま、いいしあ・・・」
「まだ終わってないよ?」
終わりの言葉を食い気味に遮って首元に突きつけた鉈がよく見えるように少し振る。
「・・ッ!!」
瞬時に突きつけた刀で鉈を弾き、バックステップで此方から距離をとる。そう、回転からの袈裟懸けはブラフだ。本命はこっち。袈裟懸けと見せかけての坂手振り上げ。原理としてはちょっとしたテクニックで、順手から瞬時に逆手に切り替えるというものをしただけだ。
「厄介だな・・・。」
「でしょうね。」
あんたも充分厄介だよ。まあ、言わないが。さて、こっからどうするか・・。力は体格的にあっちの方が上、スピードは互角・・とすると、こっちは必然的に受け流してのカウンターが有効打か?・・待つのは嫌いなんだがな。
「「・・・。」」
互いに睨み合い、今度はあちらの方から仕掛けてくる。俊足の踏み込みで瞬時に間合いを詰め、抜刀術かなんかなのだろう。腰だめに構えた刀を容赦なく振り抜いてくる。それを逆手に構えた鉈で受・・・無理だな。即座に判断し、高速で振るわれた刀の先に着地。あまりの衝撃に呆けてる顔を蹴り抜き、離脱。
「チッ・・ガードされたか。」
「危ねぇ・・。」
馬鹿言うなよ。俺が逃げなかったら受けた腕で足つかもうとしてたくせに。まあその時はもっかい蹴り返すが。
「いいね、楽しくなってきた。」
「こっちはさっさと終わらせたいんだがな・・。」
じゃあ負けてくれよと言いたいが、そういう訳にも行かないんだろう。・・だから真っ向から叩きのめす。自分の口角がつり上がってるのが嫌でもわかる。歯を剥き出しにし、威嚇するように目かっぴらいて・・・
「シッ」
踏み込む。加速。振り上げ、下ろす。順手に持った重國と上に構えられた刀がぶつかる。瞬時に体を丸めて肘と膝で、放ってきた膝蹴りをガード。蹴られた勢いそのままに後ろに飛び、壁を蹴って再加速。
「っラァ!」
「ふっ!」
下から上へ振り抜いた鉈が受け止められ、流される。一瞬、致命的な隙を晒して・・
「とっ・・」
「てねぇ!!」
流され、転びかけた体制のまま前へ重心を移動。左手を地面についてシャチホコのような格好で刃を靴の裏で止め、蹴って弾く。
「ッ!!」
「崩れたなぁ!!」
刀ごと後ろに蹴られて、アルバートの上半身が崩れる。と同時、左手を一瞬曲げて力を込め、地面に五指の穴が空くほどの勢をつけて腕のみで飛び上がる。
「っラァ!」
先ずは一撃。飛び上がりの勢いを利用した飛び蹴りをその腹に当て、当然腹筋でガードされる。故にその腹を足場とし、そこから天井に向かって全力で腹を踏み込む。
「グァッ!!」
踏み込みの蹴りの勢いに負け、アルバートさんが尻もちを着いたと同時。天井に到達。体を回転させて上下逆さに。天を蹴って地へと降り、落下の勢いそのままに一閃。首元で刃を止める。
「どうでした?」
「あぁ、俺の負けだ。降参だよ。」
あぁ・・・疲れたぁ。特に最後の立体機動。天井に頭から突っ込んじゃ死ぬほどダサいから何とか回れてよかったよマジで。着地してからもあんだけ上手く行くとは思わなかったからな。いやぁ助かった助k・・
「ししょおおおおおお!!!!」
安全のために囲っていた結界内からサイモンが飛び出て来て俺に抱きつく。
「すげえカッコよかったっす!いや!ほんと!マジで!!」
「あぁ、あぁ、分かった。分かったからもう離せって。まだ次の人残ってんだから。」
「あっ!そうだ!いっけねぇ・・つい落ち着かなくて・・。」
俺の言及に気付いたのか、サイモンも大人しくなり、二人で一緒にラシアさんの所へ。俺とアルバートさんの治療を終わらせ次第次を始めるらしい。と言っても、ダメージらしいダメージも無いが。
そうこうしてる間に治療が終わり、俺は待機場所へ。アルバートさんは最後の一人の前に進み、口を開く。
「さて、じゃあ次やりましょうか。」
・・・ん?なんで敬語?
「ははっ・・もしかしてこれバレてる?」
え?まさかこの声・・!!
「どうもぉ!なんかすぐバレちゃったけど、この冒険者学校の校長だよぉおお!!!サプライズで来てたのになぁ・・・。」
「いやバレバレですよ」
「えぇ!!?」
やっぱりか・・・。




