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これホントに暗殺者の仕事なの?  作者: 羽根ペン
1章 迷宮編
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10.なわけねえだろ!!

まあ、魔法属性が判明してから1週間ほど経った訳だが・・・こってり絞られたなぁ・・・。


「まさかあんなに怒られるとは・・。」


帰りの馬車の中から教会に着いてからも延々と怒っていた。まさしく般若のようだったと言っていいだろう。


一応、先方には意識が回復した頃に謝罪し、彼女の冒険者仲間・・・まあパーティーメンバー的な人達にも謝意を伝えて帰ってきた。


神父様には特に小言を言われることもなかったが、流石に右腕を包帯で釣っている状態で喧嘩は良くなかったらしい。普段温厚な神父様もここ最近は俺の顔を見る度にため息をついている。


「いや~ホントに申し訳ないなぁ・・・。」


ちょっと友達とかがバカにされても無視出来ず過剰に反応してしまうのは前世からの悪い癖と言えるだろう。それのせいで友達の努力やらなんやらも色々と無駄にしてきちまったし。


「直さねえとだな。」


まあそれはそれとして、ラミアさんの継続的な治療魔法のおかげで俺の右腕はめでたく完治した。それに加え、1週間が経過したことにより、教会の外での活動もできるようになった。


「よし!準備はできたし、さっさとエリクサーでも探しに行こう!」


と意気込んでみたはいいものの、


「エリクサーってどこにあんだろうな?」


そうなんだよなぁ・・そこが重要なんだよ。どこにあるかすらもわかっていないものをどうやって探すっつーんだよ。ホントに、向こう見ずというかなんというか・・。


「適当に冒険者してたら見つかったーとか、そういう話は昔はよくあったって聞いたけど、今はそんな話も希少だしな。」


っつーか冒険者自体もそんなにいっぱいはいないんだよな。みんな自分の領分を弁え、それを活かして生活したりしてるからな。


そんなことを考えつつ、教会への道を畑で作業してるおばちゃんに挨拶しながら歩いていく。


時刻は夕方。今日もいい日だった。明日は朝一番に出発しようと思う。


「決戦は今夜・・か。」


さて、そろそろ着きそーーー


「「「ウォォォォォォンン!!!!!」」」


夕闇を切り裂いて狼の遠吠えが森の方から聞こえてきた。畑のおばちゃん達はすぐに家に帰り、俺は教会の中に入って包丁を1振り、刃に布を巻いて柄を握りしめる。


「いつもの柳刃包丁が折れちまったからな。今日は肉切包丁君が俺の相棒だ。」


裏口の戸を開けて、中にいるラミアさんや子供たちに気付かれないようにしてそっと閉める。


血液魔法ーーー血流操作


教会の外に出た瞬間、足に大量の魔力と血液を貯め、一気にそれを爆発させて踏み込み、加速。


森へと爆走しつつ木が見えてきたら思いっきり飛び上がって枝に着地する。ここ一週間も魔物は2、3回来ていたらしいのだが、その度に村の男衆が討伐していたらしく、何故こんな田舎に大量の魔物が出現するのかの原因を突き止められていない。


「もしかしたら召喚士とかが居たりしてな。」










「冗談のつもりだったんだけどなぁ・・・。」


時間はあれから10分ほど経過し、俺は現在枝の上から3人の黒いローブを着た、いかにも私たち怪しいですよって奴らが無数の狼の魔物を召喚し、従えてるのを発見した。


「おいおい、あれ何体いんだよ・・・。」


ひぃ、ふぅ、みぃ・・・ざっと15体か。多いな。


「幸運だったのは狼の魔物だから耐久力がそんなにないってところか。あとは、俺の武器が肉を切ることに特化した肉切包丁ってとこぐらいだろう。」


位置的なアドバンテージは俺の方に軍配が上がるが、単純な頭数の差なら絶対的にあっちの勝ちだろ。


「まあ、考えても始まらないし、開始しますか!」


血液魔法ーーー出血


効果的にはまあ血が流れた量とか傷の大きさとかによってステータスが上がるってとこかな。


「こっちは風下だからあっちに匂いは流れない。」


よっし、準備は整った。戦闘開始だ!!


「まずは先がけ一閃」


そう小さく呟き、肉切包丁で手前にいた狼の魔物2体の首を一息に切り落とす。


「続いて二、三。」


血流操作で加速し、音を立てないようにして踏み込みつつ狼の魔物2体に肉薄。それぞれに一閃ずつ斬撃を加えて吠えるまもなく殺す。


「5体目・・!!」


瞬時に枝に飛び乗り、上から5体目の狼の首を叩き切る。ズダンッ!と、勢いよく音をその場に立てて着地。瞬時に近くの茂みを触ってわざと音を立て、反対側の木に飛び乗る。


「っ!!何者だ!!?」


ほら、音に反応した。


「くっ・・音はこの辺りのはずだが・・・。」


「居ないな・・。」


「猫かなにかだったのか・・?」


「警戒はしておくぞ。」


「「了解。」」


「(ちょっと失礼するよぉ。)」


1人のふくらはぎを軽く切って膝裏を蹴り抜き、包丁の峰で首裏をどついてグラつかせた後、血を染み込ませたマフラーを操作して首を絞め、気絶させて木陰の茂みの中に引きずり込む。


瞬時にバレないうちに2人目の後頭部を蹴り抜き、首をちょっとやばい角度まで折って意識を飛ばし、2人目が倒れた音でコチラを向いた3人目の背後に周り、目と鼻をマフラーで塞いで引き倒し、鳩尾に拳を入れようとして


「狼どもぉ!!こいつを殺せえ!!!」


男が叫ぶ。


瞬時に20体の狼が全員こちらを向き、手前にいた何体かが一斉に飛びかかってきた。


「ふっ!!」


ここまでは想定内!!男の首裏に渾身の峰打ちを叩き込み、意識を落とす。そのまま男の体を払い除け、飛びかかってきた三体の狼の顔を蹴り、殴って飛ばし、首を落として対処する。が、如何せん


「数が多すぎる!!」


三体倒したら六体来たんだけど!?多すぎ多すぎ!!


「チッ!」


首に巻いたマフラーを左腕に巻き付け、飛んでくる狼に向かって肉切包丁を振りつつ左手に傷をつけてマフラーに血を染み込ませる。


血液魔法ーーー血液硬化アイアン・ブラッド


左手に巻きついたマフラーを硬化させて鉄の棒のようにし、間合いを取りつつ二刀の構え。


「シッ!!」


マフラーで叩いて怯ませ、肉切包丁でその隙を狩りとる。時にはマフラーで殴り殺しつつ大体の狼の首を落として掃討していく。


「お前がラストだ!!」


そう勢い良く踏み込んで間合いを詰め、一気にマフラーを振るって足を刈り、倒れたところに包丁を合わせて首を切り裂く。


「これで終わり・・・と。」


ふぃー。疲れた疲れた・・・。あいつら、どこに消えた?確かにこの茂みに放っといたはずなんだが・・・。


「「「其は大罪の権化にして嘆かわしいほどの白銀!其は豪炎の魔物にして憤怒の氷!!今ここに我に従い、姿を現せ!」」」


召喚魔法ーーー無双憤怒之熱牛インカンデシェント・テヴロマキア


俺から10メートルほど離れた場所で地面にインクを垂らして魔法陣を描き、奴らは詠唱を口にした。


直後、とてつもない揺れとともに魔法陣から白銀の炎を纏った巨大な闘牛が姿を現した。


「ははっ・・・」


思わずかわいた笑みが盛れる。・・なんせ、召喚した本人らがあっという間に蹴散らされたのだから。


「こいつを止めるには倒すしかねえってことか・・・。」


いや、どう倒すんだよこんなやつ・・・。


「とりま二刀流じゃ威力が低すぎて話にならねえだろーから・・・。」


血液の硬質化を解除し、深紅に染ったマフラーを再度首に巻き付ける。


「しゃあねえ、やったろーじゃねえか!!」


体格的にはフェンリルと同等か少し小さいぐらい。だが、それがどうした?でかいからビビるのか?


「なわけねえだろ!!」


思いっきり声を上げ、ついでに自身を鼓舞するように右手の包丁を左手に持ち替えて拳を作り、ぶっ叩く。


握り直した包丁を手放さないようにきつく握り締め、なんならその上から血液硬化で硬めて牛を睨む。


「行くぞぉ!!」


返しの返事はなかったが、牛がコチラに向けて突進の体勢を取った瞬間、俺の体は天高くに飛び上がっていた。

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