表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これホントに暗殺者の仕事なの?  作者: 羽根ペン
終章 学園編
109/242

108.戦闘試験 其の二

更新です

「じゃあ、私が行こうか。」


そう言ってゆったりと前に出たのは西部劇に出てきそうな格好をしたカウボーイ・・・いや、女だからカウガールか?・・・だった。腰にはベルトとホルスターが下げられ、首元にあった帽子を引っ張って頭に乗せ、構え構える。


「南のオアスという国から来た。アッシュだ。」


「わかった。」


短い応答の後、アルバートさんも刀を腰だめに構える。抜刀かなんかの構えなんだろう。対してアッシュの方はと言うと、左手を開いた状態で鳩尾の前に構え、右手は腰のホルスターに入ってる銃を握っている。グリップの形状からしておそらくリボルバー。更には構えから見て早撃ちが得意と見た。そういや異世界こっちにも普通に銃あるけど使ってる人すくねえんだよな。やっぱ魔法の方が遠距離攻撃として便利だからなんだろうなぁ。


考えにふけっていると、2人の目線が交差し、体に力が入る。一瞬の間を置いてラシアさんが手を振りあげ、


「始め!」


号令が聞こえたと同時に部屋に響く銃声と閃いた剣閃。勝負は一瞬で決まった。


「俺が手元を見えないとはな・・・」


ボソッとそんなことを呟いてアルバートさんがアッシュの後ろに現れる。と同時、アッシュの体が崩れ落ち、気絶した。見れば、アルバートさんがいたところには地面にめり込んだ銃弾が1つと真っ二つに切られた銃弾の合計2発が落ちていた。


一発目は足を撃っての機動力の低下、それに当たった後に来る2発目が頭を射抜くっつー二段構えって訳か。どおりで俺にも一発目が見えないわけだ。おそらく予め撃鉄を下ろしておいて、1回引き金を引いた瞬間にもう一度撃鉄を下ろして引き金を引いたんだろうが・・・。


「「化け物だな・・。」」


おっと、被ったか。呟きが重なったのが聞こえたのか、眉をひそめてアルバートさんがこちらを見る。それに対し、なんでもないですという意味を込めて首を横に振り、試験の続行を促した。


「・・・?次だ。」


「私がやりましょう。」


次に出てきたのは薙刀を背負った大和撫子然とした顔つきの清楚な女性。黒い生地に赤い花が描かれた着物を着ており、とても落ち着いた様子でアルバートのことを見ている。


「・・・薫お嬢様・・・でしたっけ?」


「あら?既に知っていらしたのですか?・・・そうです。薫・エラ・春山と申します。わたくし達どこかでお会いしましたっけ・・・?」


薫と呼ばれた女が自己紹介をする前にアルバートさんが口を開いた。なんでも、ちょっと前のパーティーかなんかで偶然見かけた際に名前を聞いていたそうだ。成程、格好からしてこの国の人間・・それも貴族なんだろう。ミドルネームもあるしな。だからこっちで教師をやってる・・・恐らくSランク冒険者のアルバートさんが呼ばれたパーティーにもいたと。


「・・・では話が早いですわね?」


「ああ。ラシア、頼む。」


双方共に己の武器を構える。アルバートさんは正眼に。薫は穂先を下に向けて。


「始め!」


号令の声が響き、すり足で薫の方から動き出す。アルバートさんの両肩を切り裂かんと右に左に薙刀の刃を振るうが、おそらく本命は・・


「ここです。」


春山流槍術ーーー兜割かぶとわり


右肩と左肩へのフェイントをかけて脳天への一撃を入れるというのが薫の作戦だったのだろう。見事に吸い込まれるようにして薫の薙刀がアルバートさんの脳天に叩き込まれ、金属音。アルバートさんは刀を水平にして受け止め、瞬時に斜めにして穂先を流す。予測していたのか、薫は流された勢いを利用して回転しつつ勢いを乗せて横薙ぎの一撃を繰り出す。直後、アルバートさんが屈んでそれを回避したのと同時に薫の着物の帯が少しだけ切れた。


「あら・・・。」


「俺の勝ちですかね。」


もう一歩アルバートさんが踏み込んでいれば薫の上半身と下半身は泣き別れになっていただろう。それを理解したのか、薫も残念そうな顔をしてラシアさんとほか数名が座っている場所に移動する。


「負けてしまいましたわ・・・。」


薫が座ったのを見届けて、アルバートさんがこちらを見る。残りは俺含め6人。もうあと半分だな。


「次。」


「薫様の仇はわたしがとりましょう。」


そう言って即座に手を挙げたのは、薫よりも髪の短い、巫女服のような白い服を着た女だった。


「いや仇とかそういうのじ・・・」


「葵・桜坂と申します。よろしくお願いします。」


食い気味にアルバートさんの話を制して自己紹介を行い、教師ふたりに目線を送る。既に主武装らしきクナイと札を構えており、準備は万端に見える。


「ラシア、頼む。」


アルバートさんは眉間をトントンと指で叩いて自身を落ち着かせ、同時に刀を持った右手を頭の後ろに。無手の左手を二本指を立てて前に構えて両脚を開く。


「では・・・始め!」


号令が響く。同時に2人の手が目まぐるしく動いて印を結び、葵の札が浮いた。


式神操術ーーー口寄くちよせ稲荷神いなりのかみ


浮いた札が共鳴し合い、次々にくっついていくことで人の腰ほどの高さがある狐が召喚された。と同時、左手のみで印を結んだアルバートさんも動く。


「はっ!」


地之印ーーー土竜顕現


気合いとともに、地面に描かれた陣が輝き、土でできた土竜がその姿を現した。その大きさは約1.5m。・・・今の俺よりデカイな。


「まさか高位の召喚士でありましたの!?」


「あいにくと伝手で習っただけだ。地面以外はこんなことできねえよ。」


そう言いながら土竜と共にアルバートが前へ踏み込む。手に持つ刀は未だ肩に担がれており、怪しい輝きを放っている。対して、アルバートが向かってくるのを見た葵は瞬時に魔力を飛ばして狐を光らせ、向かってくる土竜に対して激突させる。と同時、接近してきたアルバートさんに対してクナイを振るい、それを刀で受けたアルバートさんが押し込もうとした次の瞬間。


式神操術ーーー式神召喚


アルバートさんの空いた左手を掴んで強引に印を結び、紙でできた鎧武者を2体召喚する。


「ふふっ!これで対処できn・・・」


鎧武者が召喚された時点でアルバートさんはその場を移動しており、瞬時に葵の背後へ回っていた。


「印の展開の速さは見事なもんだな。」


ボソッと呟いてチンっ!と刀をアルバートさんが鞘に収めた瞬間、葵の体が峰打ちの衝撃で軽く宙を舞って気絶した。


「葵!」


地面に落ちた葵に向かって薫が駆け寄り、心配した様子でその顔をのぞき込む。まあ、使用人かなんかなんだろう。傍付きの。考えてると、瞬時にラシアさんが長杖を使って打撲を治し、気絶からも回復させた。葵が目を覚ましたのを確認し、アルバートさんが口を開く。


「次。」


「俺がやります。」


続いて出てきたのは腰に剣を下げた、いかにも戦士っぽいガタイのいい男。年齢は顔立ち的にサイモンとおなじくらいだろう。腰に下げた剣もなかなかな名剣っぽいし、鎧もいいものを使ってる。ただ、ひとつ気になるのは先程の薫や葵と違って、青みがかってない単純な黒の髪色であること。というか、あれは俺の見間違いじゃなきゃ日本の・・


「佐々木 蓮翔。よろしくお願いします。」


やっぱりか・・と思う反面、こいつもかと思ってしまう。おそらくは転移者なんだろう。いつこっちに来たかは知らないが、公国のヤツらみたいな生半可な奴では無さそうだが・・と考えていると、両者が腰の剣を前に構える。同じ正眼で向かい合い、号令を待って・・・。


「始め!」


飛び出した蓮翔が大上段から轟速で剣を振り下ろす。対してアルバートさんは、その斬撃を半身になって躱しての一撃。なぎ払われた刀を強引に装備した手甲で流し、振るったあとの隙を狙って右上から袈裟懸けを敢行。


「オラァ!」


蓮翔は雄叫びを上げて力任せに剣を振り下ろし、ガードさせたところでアルバートさんの腹を蹴る。が、


「なっ・・!?」


腹に力入れて強引に弾いた!?あの威力の蹴りを!?弾かれたことによって驚愕し、致命的な隙を晒した蓮翔は、大上段からの唐竹割りをなんの防御もなしに受け、気絶した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ